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【最後の青春ドラマ】自分だけの武器を手に入れ、夢の舞台へ~第99回全国高校サッカー選手権大会・渡辺剛(FC東京)中編
2020年12月26日
第99回全国高校サッカー選手権大会が12月31日(木)に開幕します。高校年代の大舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。ここではFC東京で主力を担い、U-23日本代表でも東京オリンピック出場を狙う渡辺剛選手の高校時代のストーリーをお届けします。
インタビュー前編 ~急激な体の変化とセンターバックへの転向~ 渡辺剛選手(FC東京)
FC東京U-15深川から山梨学院大学附属高校(現山梨学院高校)に進学し、1年の夏ごろにセンターバックへと転向した渡辺剛。確固たる武器を身につけるために取り組んだのは、現在の彼自身の特徴でもあるヘディングの特訓だった。
最初は基礎的な練習からスタート。ある程度できるようになったら、ペンデルというボールに紐を付けたヘディングの練習用具を使い、全体練習後にひたすら反復練習を行った。
「タイミングよくジャンプしないとうまく当たらないし、当たりどころが悪いとしっかりとボールが戻ってこない。そういったことを意識しつつ、とにかく数をこなそうと思ってずっとやっていました」
1年生の終わりごろにはヘディングのタイミングや歩幅のコツをつかみ始め、どうすれば相手に競り勝てるかが分かるようになってきた。2年生になった頃にはセンターバックとしてトップチームに定着し、徐々に自信を深めていった。
クラブのアカデミーから高校の部活サッカーへと転じた渡辺にとって、全国高校サッカー選手権大会への出場は大きな目標の一つだった。国立競技場に満員の観衆を集めて行われていた当時の決勝戦は、渡辺にとって憧れの光景だった。「あの舞台に立ってみたい」という想いがあったからこそ進んだ山梨学院で、選手権への思いはさらに強くなった。
2年時にはレギュラーとして山梨県予選に出場したが、準決勝で敗れ選手権出場はかなわなかった。「正直、実力だけなら自分たちが山梨ではナンバーワンだったと思う」というチームでも手が届かなかった全国の舞台。それだけでは勝てないことを思い知らされたという。
「チームの雰囲気や、サッカーに対する姿勢や思いなど、そういうものも備えていないと勝てないことにその時、気づきました」
悔しさを糧にし、「絶対に選手権に出場する」という強い気持ちとともに臨んだ最終学年。山梨学院は見事に県予選を突破し、第93回大会に出場する。
「みんなで『優勝するしかないよね』と言い合っていました。『ここまで来たら突っ走ろう。最後まで行こう』と考えていました」
入学時に掲げた目標に向け、初めて選手権のピッチに立った渡辺。憧れていたそのままの景色がそこにはあった。
「山梨学院は全校応援で、生徒全員が試合を見に来てくれたのです。吹奏楽部の演奏もすごかったですし、お客さんも大勢見に来てくれて。あれだけ観客が入った中で試合をするのは初めてだったので、緊張感と高揚感と、いろいろなものが混ざり合って、逆にそれを楽しめている自分もいました」
「これが夢の舞台か」という高揚感の中、山梨学院は接戦を制しながら勝ち上がっていく。1回戦で滝川第二高校(兵庫)に1-0、2回戦は岐阜工業高校(岐阜)に0-0からPK戦7-6。堅守を持ち味とするチームにあって、渡辺自身もチームのパフォーマンスには手応えを感じていた。
「失点したら厳しい戦いを強いられるチームだったので、とりあえずゼロで抑えようという気持ちで戦っていました。それが結果として出ていたので、苦しい試合が続きましたけれど、うまく勝ち進めていたという印象はありました」
全国制覇に向かって突き進む山梨学院と渡辺。3回戦でその前に立ちはだかったのは、優勝候補の呼び声も高かった群馬県代表、前橋育英高校だった。
インタビュー後編 ~悔しさを原動力に成長を続ける~ 渡辺剛選手(FC東京)
第99回全国高校サッカー選手権大会
大会期間:2020/12/31(木)~2021/1/11(月・祝)
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