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浦和レッズ、開催国王者アルジャジーラに敗れる~FIFAクラブワールドカップUAE2017~
2017年12月11日
2007年大会以来、10年ぶりにAFCチャンピオンズリーグを制した浦和レッズが日本時間の12月10日(日)未明、FIFAクラブワールドカップ UAE 2017準々決勝に臨みました。対戦相手はオセアニア代表のオークランド・シティを開幕戦で破った開催国王者のアルジャジーラです。Jリーグ勢が海外で開催されるクラブワールドカップに出場するのは史上初めてのこと。この準々決勝に勝てばヨーロッパ王者のレアル・マドリードと夢の対戦が実現するため、浦和の選手たちはモチベーション高く、準々決勝に臨みました。
浦和のフォーメーションは、基本布陣の4-1-4-1。「サイドからの攻撃をするという意図を持っていた」と堀孝史監督が話していたように、攻撃時の浦和は宇賀神友弥選手、遠藤航選手の両サイドバックが高い位置を取り、サイドを起点に相手守備陣の攻略を狙っていました。
対するアルジャジーラは4-4-2のフォーメーションで守備に重心を置く戦い方を採用。浦和にある程度ボールを持たせて、攻撃に切り替わった際には2トップのFWアリ・マフブート選手とFWロマリーニョ選手を生かすカウンターを狙っていました。
試合は攻める浦和、攻撃を跳ね返すアルジャジーラの構図で進みます。浦和は狙いどおりに高い位置を取った右サイドの遠藤選手を中心に攻撃を構築し、時折、左サイドハーフに入ったラファエル・シルバ選手の個の突破力を生かす形で相手ゴールに迫りました。
そして前半の28分にはチームの狙い通りの形でビッグチャンスを作り出します。敵陣の右サイドで遠藤選手がボールをキープし、ルックアップすると、前方をフリーランニングする武藤雄樹選手へスルーパスを供給。そのパスを受けた武藤選手はすかさずゴール前にクロスボールを送り、ファーサイドから飛び込んできた興梠慎三選手が右足のボレーシュートを放ちましたが、惜しくもゴールの枠を外れました。決定機を逃した興梠選手が頭を抱えるほどの絶好機を作り出したものの、浦和は得点を奪えず、前半を0-0で終えました。
「後半の入りからしっかりやろうと話して、後半に入っていった」と遠藤選手が話したように、後半の立ち上がりの時間帯を警戒していた浦和でしたが、後半立ち上がりの52分にピンチを迎えます。センターサークル内でボールを持ったロマリーニョ選手に絶妙のスルーパスを通されると、槙野智章選手と阿部勇樹選手の間をすり抜けてパスを受けたアリ・マフブート選手にゴールを決められてしまいます。この失点により、アジア王者の浦和は1点のビハインドを負うことになりました。
準決勝でなんとしてもレアル・マドリードと対戦したい浦和は、攻勢を強めて反撃を開始します。しかし、守備に重心を置いて戦うアルジャジーラに対して、ボールを保持しながらも、浦和はなかなか決定機を作ることができません。堀監督も選手交代で活路を見出そうと試みましたが、刻一刻と時間だけが過ぎていきます。
終了間際の90分には西川選手のロングフィードに反応した興梠選手が左サイドから折り返し、ラファエル・シルバ選手がフィニッシュまで持ち込みます。しかし、体勢を崩しながらも放ったシュートは左ポストを直撃し、ゴールならず。最後は槙野選手を前線に上げてパワープレーを試みましたが、最後まで1点を奪えず、浦和は開催国王者であるアルジャジーラの堅い守備を崩すことはできませんでした。
アルジャジーラは浦和をよく研究し、相手にボールを持たせて、カウンターで隙を突く戦い方を徹底してきました。「相手の策にはまってしまった」と武藤選手が振り返ったように、アルジャジーラの綿密なゲームプランに屈した浦和は、12日(火)の夜に行われる5位決定戦でアフリカ代表のウィダード・カサブランカと対戦することになりました。
監督・選手コメント
堀孝史 監督(浦和レッズ)
前半に1点でも取れていればと思いますが、それでも後半に入るときも、一瞬の隙を突かれて失点しないようにと伝えました。自分たちのミスから失点しまったところはあります。最後まで得点を狙っていましたが、うまくいかず本当に残念に思います。先制点を取られたときに焦ってしまった部分もあると思いますし、疲れも出てきてミスも増えてしまった部分があったと思います。サイドから起点を作ってゴールを狙っていこうという意図がありましたが、そのへんが少しうまくいかなかったと思います。次に試合があることは決まっているので、そこに向けての準備をしていきたいです。そういう(レアル・マドリードと戦う)チャンスに近づいていたと思いますが、そこは選手もそうですし、われわれを応援してくれるファン・サポーターの方も非常に残念に思っていると思います。なかなかこういう機会はないかもしれませんが、また次の試合に向けて、この結果を受け止めてやっていきたいです」
GK #1 西川周作 選手(浦和レッズ)
「相手も前から来るというよりは、引いて守るような形をとって、取ったら自分たちの背後を常に狙っていたので、試合の入り自体は悪くはなかったですけど、やっぱり少し前半は相手に合わせてしまった部分があるのかなと思います。後半はもっと攻撃的にサイドを使いながら、攻撃はできていたと思いました。チャンスはあったので、決め切れなかったというのは、チーム全体の悔しさですし、ピンチもそうない中で、あのパス1本でやられてしまったというのが、悔しいです。縦パスというのは本当に絶妙なパスが来たと思うし、自分のところでしっかりとそれを止めれば、こういう結果にもつながっていなかったと思うので、GKとして、あと何ができるかというのを残りの1戦、全力を尽くしてやっていきたいなと思います」
DF #46 森脇良太 選手(浦和レッズ)
「前半30分くらいに最初の決定機が浦和にありましたが、もうちょっとシュートシーンというのをバリエーション多く増やしたいなというのはありました。最初のビッグチャンスが決まっていれば、また展開は違ったかもしれませんが、負けちゃいけない相手でした。(チームに)硬さはないと思いますけど、より自分たちが保持して、攻め込むとなってきたときに、もっともっと運動量多く、動く必要は多少あるのかなと。その中でも決定機というのは、あったので、決められれば良かったですし、やっぱりこういう相手というのはワンチャンスを、必ずチャンスの後にピンチがあるというのは鉄則ですが、その1本を確実に決められたという感じでした」
MF #10 柏木陽介 選手(浦和レッズ)
「まずは決定機を決められなかった。もちろん、(興梠)慎三(選手)だけのせいじゃないけど、そういうチャンスを決め切れなかったというところと、ちょっとスタジアムの雰囲気、相手の入り方の緩さとか、そういう部分で、少しチームとしての油断が生まれたのかなという気がしました。やっぱりACLで勝ったのも、皆守備を頑張ってやったから。攻撃に関しても、もちろん皆で攻撃してた部分があったと思うので、ボールを持てているけど、最終的なところで自分が決めたいとか、ここで一個持ち出せば、自分で何とかできたというところがあった。守備に関しても、今日はもうちょっといけたんじゃないかなというところが全体的に多かったし、ボール取られて切り替えのところも少し遅かったような気がするので 今日は悔しいというよりも、情けないという気持ちのほうが大きいです。たくさんの人が夜中に起きて見てくれているわけだし、たくさんのサポーターが今日も応援しに来てくれていて、皆がレアル(マドリード)との試合を見たかったと思うし、皆が(本田圭佑選手のいる)パチューカとの試合を見たかったと思うので、そういうのを実現できなかったことも本当に情けなく思う。アジアのチーム、Jリーグのチームを背負って、僕らはここに出てきたのに、本当に情けない試合をしてしまったなと思います」