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第96回天皇杯 鹿島が逆転勝利でラウンド16進出。横浜FC・三浦知良選手が最年長出場記録を更新
2016年09月23日
ピックアップマッチ
鹿島アントラーズ(J1)2-1(前半0-1、後半2-0)ファジアーノ岡山(J2)
第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会は9月22日(木・祝)、各地で3回戦が行われ、茨城のカシマサッカースタジアムでは、鹿島アントラーズ(J1)とファジアーノ岡山(J2)が対戦しました。
2回戦でJ2首位の北海道コンサドーレ札幌(J2)に勝利した岡山は、今度はJ1チーム相手の勝利を狙い、鹿島のホームに乗り込みました。その意気込みが、前半から表れます。
岡山は両サイドがつるべの動きをしながら、最終ラインが左右へスライドする守備を続けます。中央にはパスを通させず、サイドに振らせては数的優位をつくり出し、鹿島に効果的なプレーを許しません。機を見て、相手陣でのバックパスや横パスに狙いを定め、奪いにかかる場面も見られました。
岡山は辛抱強い守備から、速い攻撃を狙いました。その形が実ったのは22分でした。自陣からのロングボールに抜け出したのは藤本佳希選手。ペナルティーエリアへと持ち込み、鹿島DFブエノ選手のマークを振り切ってシュート。これが決まってリードを奪います。
ペースがつかめない鹿島は、34分にCKからDF植田直通選手がヘディングシュートを放ちますが、ボールは力なくGKの正面へ。鹿島は前半シュート2本に終わり、ビハインドを背負ったままハーフタイムに入りました。
後半に入ると、鹿島が勢いを取り戻し、前へと出る意識を高めて、波状攻撃で岡山に圧力をかけていきます。サイドバックも前半より高い位置を取るようになり、横パスやバックパスが減り、ボールが前に送られるようになっていきました。
そして60分、鹿島が試合を振り出しに戻します。流れの中からではなく、自陣CKでの守備からの反撃でした。一度は奪われたボールを取り返し、ハーフウェーライン付近にいたMFの鈴木優磨選手に縦パスが入ります。後半から交代出場していた鈴木選手は懸命にボールをキープして、攻め上がったMF永木亮太選手につなげます。ドリブルで持ち運ぶ永木選手の前方でFW金崎夢生選手がサイドに開く流れで相手を引きつけると、チャンスと見た永木選手が右足を一閃。相手選手にも当たったペナルティーエリア手前からの一撃は、急激に落ちる軌道を描いてゴールネットを揺らしました。
この1点は鹿島をさらに勢いづけ、交代出場したMF杉本太郎選手がよく動き、78分にはフリーでシュートを打つチャンスもありましたが、勝ち越すまでにはいたりません。
しかし延長突入も見えてきた88分、鹿島がついに逆転します。岡山ゴール前でのワンツーパスからMF柴崎岳選手が送ったボールに、岡山DFは必死のクリアを試みますが、頭でクリアを狙ったボールは自陣ゴールに収まってしまいます。このオウンゴールが決勝点となり、鹿島が3年ぶりの16強入りを果たしました。
ラウンド16には、鹿島を含めJ1の10チームとJ2の清水、Jリーグ勢に3連勝したHonda FC(静岡)が進出しました。なお、長野対横浜FC戦において、横浜FCの三浦知良選手が、紺野悦男選手(新日鉄釜石)が1997年に記録した45歳219日を大きく上回る49歳209日で出場し、天皇杯における最年長出場記録を19年ぶりに更新しました。
この日の試合を終えて、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場によりシードされていたJ1チームを含めて、今大会のベスト16が出そろいました。ラウンド16(4回戦)以降の組み合わせ抽選会は10月4日(火)に行われます。
監督・選手コメント
石井正忠 監督(鹿島アントラーズ)
後半のミドルシュートで追いついて、2点目はラッキーな形、相手のオウンゴールで逆転につなげました。本当に厳しい戦いの中、勝ち進んでいかなければいけないので、まず次の試合に勝ち進めたことが一番よかったです。(久々の公式戦出場となった植田直通選手らCBは)思ったほどよくなかったと思います。先制点を取られたことによって少し不安定になり、それを引きずってしまいました。組み立てる際、最終ラインから速い展開を狙っていましたが、そこもうまくできませんでした。後半は改善して、相手陣内でボールを回す形ができたので、それを90分通してできるようにしなければいけないと思います。
永木亮太 選手(鹿島アントラーズ)
ゴールは相手に当たって少しコースが変わり、GKも取りづらくなったのでラッキーでした。バイタルエリアが空くことは分かっていたのでミドルシュートを狙おうと思っていました。カウンターのような形でしたが、その前にも何本か自分のところにこぼれ球が来ていて、チャンスはありました。前半からボールは回せていましたが、相手の守備意識も高いのでうまく崩せず、カウンターを受けたりしていました。負けていることもあったし、後半は少し前に重心をかけるという意味でサイドの選手をサポートするときに、近い位置を取るよう心がけました。後半の方が、相手陣でのボールの回し方はよかったと思います。
長澤徹 監督(ファジアーノ岡山)
どうしても勝ちたかったのですが、J1 1stステージ王者の鹿島に最後は(勝利を)持っていかれてしまったという印象です。いろいろな準備をして試合に入ったのですが、結果的にはそれを出せなかったので、力不足なのかなと思います。一方、普段試合に出ていない選手たちが、今日はいいパフォーマンスを出してくれました。相手を苦しめたところまではよかったのですが、最後の打ち合いで流れを持っていけるようになるにはまだまだ練習が必要かと思います。リーグ戦の残り10試合で今回の経験を生かす機会があるはずですし、それは大きな収穫の一つだと思います。
藤本佳希 選手(ファジアーノ岡山)
ベストメンバーに近い鹿島相手に思い切って楽しもうと思っていました。相手はマンツーマン気味で、僕としてはやりやすい守備でした。相手としては1対1で勝てばいいというスタンスだったので、逆に(自分が)そこで勝てばチャンスが広がると試合前から思っていました。先制点を挙げたことはうれしかったのですが、そこからボールを持たれる展開になりました。そこでもう1点取れたら、試合結果も違ったのかな、と思います。実際に試合をやってみて、またこのレベルの相手と戦いたいと思いました。自分たちにはJ1昇格の可能性があるので、そこに向かって頑張っていきます。
第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会
2016年8月27日(土)~2017年1月1日(日・祝)
4回戦 2016年11月9日(水)、12日(土)
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