第98回全国高等学校サッカー選手権大会が12月30日(月)に開幕しました。駒沢陸上競技場で行われた開幕戦では、國學院久我山高校（東京B）と前原高校（沖縄）が対戦しました。

ピックアップマッチ

國學院久我山高校（東京B） 8-0（前半3-0、後半5-0）前原高校（沖縄）

今大会の開幕戦となった國學院久我山高校（東京B）と前原高校（沖縄）の一戦は、思わぬ大差がつきました。序盤からペースを握ったのは國學院久我山でした。立ち上がりこそ緊張のため動きが固く、自陣でのパス回しを狙われる場面がありましたが、「われわれの目標は今日の試合に勝つだけじゃない。どういう試合をするかで今大会が決まってくる」と清水恭孝監督にピッチに送り出された選手たちはテンポの良い攻撃を見せ、「スピードやフィジカルは相手が上なので体を張って、一人が抜かれても二人目、三人目がカバーリングに行こうと話していた」（和仁屋恒輝監督）前原の守備を崩していきます。

すると6分、ペナルティーエリア内でボールを受けた山下貴之選手が右足を振り抜いて先制点をマーク。11分にはゴール前でこぼれ球に反応した山下選手が冷静に決めて追加点を挙げます。勢いに乗った國學院久我山は23分、FKを獲得すると、山本献選手がゴール前に送ったクロスボールを山本航生選手が頭で合わせて3-0とし、前半を折り返しました。

「3点目を取られたのが痛かった」と前半を振り返った和仁屋監督。しかし、前原も後半に入ると平川龍選手を中心とした攻撃から反撃を開始します。44分には中央でボールを受けた島袋吏生選手のポストプレーから大城魁人選手がゴールを狙いますが、これはGK村上健選手に阻まれて得点には至りません。

前原が好機を生かせずにいると、試合の流れは再び國學院久我山に傾きます。後半は大窟陽平選手と田中琢人選手が中盤のスペースでボールを引き出し、ゴール前に積極的にパスを通して好機を演出します。52分に田中選手のスルーパスから山下選手がハットトリックを達成すると、60分にも田中選手の配球から「（ディフェンスラインの）裏への抜け出しからのシュートが持ち味」と胸を張る山本選手が追加点を奪いました。

「次々と点を取られて相手のゲームになってしまった」と和仁屋監督が悔やんだように、これ以降も國學院久我山のゴールラッシュは止まらず、64分に戸坂隼人選手、66分に河原大輔選手が得点を挙げます。そして、70分には山本選手が山下選手に続いてハットトリックを達成。清水監督が「うちのチームには個の力で点が取れる選手も、周りとの連係で取れる選手もいる」と話す攻撃陣が躍動した國學院久我山が8-0で勝利しました。2020年1月2日(木)に行われる2回戦では、31日(火)に対戦する専修大学北上高校（岩手）と龍谷高校（佐賀）の勝者と対戦します。

監督・選手コメント

清水恭孝 監督（國學院久我山高校）
多くの関係者のおかげで選手たちに素晴らしい環境を用意してもらえていることに幸せを感じます。今日の試合は、多く得点できたことは良かったのですが、都大会決勝と同じように2点を取ってから気の緩みが出てしまった。初戦で大量得点できたことは素晴らしく、（選手たちを）褒めてあげたいのですが、プレーが大味になり、ミスも多く、次に向けた課題も残るゲームになりました。大会全体で考えると、大勝した後は難しいのですが、今日の試合単体で見ると、前半の課題を後半に修正できたことなどプラスの面も見られ、良かったと思います。

山本献 選手（國學院久我山高校）
序盤はチーム全体の動きが固かったので、フリーランニングを多くして相手をかき回そうと考えました。前半は何度か狙い通りの動きができたのですが、点が入り始めてからは全体的に集中を欠いてしまった。選手同士の距離が遠くなったり、イージーなミスが増えたりするなど、中だるみしてしまいました。クリーンシート（無失点）を目標にしていた守備では、シュートを打たせないという部分はできていましたが、攻撃時の守備の準備が足りなかったので、そこはしっかり修正して2回戦に臨みたいと思います。

和仁屋恒輝 監督（前原高校）
県予選が終わってからの1カ月半、地元の大学生と練習試合を重ねてスピードやフィジカルで対抗できるように準備してきました。しかし、國學院久我山は想像以上に攻撃のバリエーションが豊富で個々の能力も高く、攻撃を止めることができませんでした。「チャンスは少ないぞ」と選手に話していたのですが、実際にシュートが2本しか打てず、攻守共に完敗でした。それでも、選手たちは最後まで走って、ボールを追う姿を見せてくれたので、「下を向くな。最後まで顔を上げて帰ろうぜ」と声を掛けました。

中山音弥 選手（前原高校）
もっと自分たちのサッカーができるのではないかと思っていましたが、県外のチームとのレベル差を感じました。國學院久我山はパスの速さやドリブルのキレ、シュートのコースなどがすごかった。こんなに強いチームがあるんだと思いました。何本か良いセーブもできましたが、試合に勝てなかったので満足はできません。3年生とずっと頑張ってきたのに今日で終わりだと思うとすごく悲しいです。もっと成長できるように日頃の練習から頑張らなければなりません。この経験を無駄にせず、また全国の舞台に戻ってきたいと思います。

第98回全国高校サッカー選手権大会

大会期間：2019/12/30(月)～2020/1/13(月・祝)

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