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[皇后杯開幕直前企画]海堀あゆみさん×スタンボー華選手(INAC神戸レオネッサ)対談 後編
2020年11月25日
皇后杯 JFA 第42回全日本女子サッカー選手権大会が11月28日(土)に開幕します。開幕に向けて、大会優勝経験を持つ、元なでしこジャパン(日本女子代表)の海堀あゆみさんと、INAC神戸レオネッサのGKスタンボー華選手に、皇后杯の思い出などについて聞きました。
○オンライン取材日:2020年10月29日(木)
――海堀さんはINAC神戸レオネッサ時代に皇后杯優勝を5回、経験されています。特に記憶に残っている大会や試合があれば教えてください。
海堀 記憶に残っている試合は2つあります。初めて出場した2008年の第30回大会と皇后杯(2015年度の第37回大会)の決勝です。初めて出場した大会は、決勝で日テレ・ベレーザに1−4と大敗しました。それが私にとっての皇后杯の原点です。
もう一つは私の現役生活最後の試合です。チームメイトの澤穂希さんの引退試合でもありました。そのため、等々力競技場に2万人以上の観客が入り、その大会通して無失点でした。たくさんの観客の中で、無失点で終わり、現役を引退できたのでとても印象に残っています。スタンボーはその試合を見にきてくれてたんだよね。
スタンボー そうなんです!スタンドから「カッコイイな~」と思いながら見ていました。2万人の観衆って、スタンドから見るのとピッチから見るのとでは絶対に違うと思うんですよ。私はスタンド側だったんですけど、いつかピッチで戦いたいと思いました。
海堀 あと、以前は決勝が男子の天皇杯決勝と同日同会場開催だったので、大観衆の中で試合ができたんですよ。そういう環境でできる幸せを感じました。天皇杯に出場する男子チームのサポーターが応援してくれて、太鼓もたたいてくれて、すごく楽しかったですね。
――スタンボー選手は印象に残っている試合はありますか?
スタンボー JFAアカデミーでの最後の大会が皇后杯(2016年度の第38回大会)で、自分たちの集大成を見せる場でした。1回勝てばなでしこリーグ1部のチームと対戦できる状況だったので、絶対に初戦を突破したいと思っていましたし、皇后杯って年に1、2回はジャイアントキリングが起きる大会なので、それを自分たちで起こしたいと本気で思っていました。結局、初戦を突破して、2回戦でジェフユナイテッド市原・千葉レディースと対戦できたんですけど、全てを懸けたその大会が印象に残っています。
海堀 皇后杯はリーグ戦と異なり、ノックアウト方式の大会です。なでしこリーグ1部のチームはシードになるので、私たちが初戦で流れに乗りにくい中で、対戦相手はすでに何試合かを戦っているので勢いがあります。その中でジャイアントキリングが起きるのが皇后杯の魅力だと思います。
――GKの立場から、ノックアウト方式の大会を勝ち進んでいくために必要なことを教えてください。
スタンボー 落ち着きだと思います。どのチームも勝つという目標がある中、相手の勢いをいかになくすか。戦術や心の持ち方で相手の勢いを削いでいくことができると思うので、自分が落ち着き、味方も落ち着かせることが大事だと思います。
海堀 失点をしてしまうと取り返すのにすごく時間がかかるので、まず失点をしないことが重要になると思います。各チームには理想的な戦い方があると思いますが、勝てるサッカーができるかどうか、ここではベテラン選手の豊富な経験が影響する大会だと思います。
――海堀さんは2011年のFIFA女子ワールドカップで、スタンボー選手は2018年のFIFA U-20女子ワールドカップで世界一を経験しています。大舞台での経験を皇后杯で生かせる部分はありますか?
スタンボー かなりあると思います。ワールドカップはグループステージもありますが、短期決戦なのである意味、一発勝負と同じです。U-20ワールドカップでは2試合目で負けてしまい、その後は全勝できたんですけど、崖っぷちの状況に立たされる中、失点へのプレッシャーがある中で、いかにプレッシャーを感じていないように見せるかが大事だと学びました。
海堀 私はワールドカップの決勝戦で、皇后杯の決勝戦での経験が生かせました。以前皇后杯と天皇杯の決勝戦が同日同会場だったために数万人の中でプレーすることができました。数万人の応援の中でプレーしたことがなかったら私はこのプレッシャーに負けていたと思います。私自身も初めて大観衆の中でプレーした時は雰囲気にのまれた部分がありました。
ワールドカップで優勝したことで、なでしこリーグも注目を浴び、見られることのプレッシャーを力に変えることができました。
――最後に、スタンボー選手は大会への意気込み、海堀さんは出場する選手へのエールをお願いします。
スタンボー 予選を勝ち抜いたチームにとってはジャイアントキリングを起こせる夢のある舞台なので、面白い大会にしていきたいですね。勝ち上がってきた勢いのあるチームと強豪チームが激突するという、リーグ戦とは異なる面白さをもっと広めたいですし、その意味で私たちも面白いサッカーをしていかなければならないと思います。シードとして大会に出られる立場に甘えず、チャレンジャーとして思い切りぶつかっていきたいです。
海堀 新型コロナウイルスの影響がある中、今年度の皇后杯、まずは開催できることが本当に良かったと思います。今年は地域リーグの中にはリーグ戦が中止になり、皇后杯予選しか公式戦がなかったチームもあります。サッカーができる喜びをピッチで表現し、出し惜しみせず、全てを出し尽くして勝ち負けだけでなく心に残る試合をしてほしいと思います。
開催期間:2020年11月28日(土)~2020年12月29日(火)
【1回戦】11月28日(土)・29日(日)
【2回戦】12月5日(土)・6日(日)
【3回戦】12月12日(土)・12月13日(日)
【準々決勝】12月19日(土)・12月20日(日)
【準決勝】12月24日(木)
【決勝】12月29日(火)
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