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【特別コラム】レベルの高い試合は日本サッカーの成長の証/大住良之(サッカージャーナリスト)
2020年12月29日
天皇杯 JFA 第100回全日本サッカー選手権大会の決勝が2021年1月1日(金・祝)に国立競技場で開催されます。ここではこれまで50回の天皇杯決勝を現地取材してきたサッカージャーナリストの大住良之さんに、決勝に向けた特別コラムをご執筆いただきました。
この1世紀で日本サッカーが積み重ねてきた成長の最大の証し
大住良之(サッカージャーナリスト)
川崎フロンターレvsガンバ大阪、J1の1位対2位。記念すべき「天皇杯 JFA 第100回全日本サッカー選手権大会」の決勝戦は、これ以上ない「王者決定戦」となった。
ところで2018年の第98回大会から使われている上記の大会正式名称、見れば見るほどよくできている。「全日本選手権」はJFAが誕生した1921年から行われてきたから「第100回」だが、優勝チームに「天皇杯」が授与されるようになったのは1951年の第31回大会以降のこと。「天皇杯」としては第70回になる。それでも歴史の長さに驚かされる。
ただ、記念すべき第100回大会はとんでもない厄災に見舞われ、大幅なフォーマット変更に迫られた。本来なら、47都道府県代表にアマチュア代表を加えた48チームに、J1とJ2の計40クラブが2回戦から参戦し、計88チームで争われるはずだった。ところが新型コロナウイルスによる日程の遅れと、夏以降のJリーグクラブの日程が過密になったことから、Jリーグからは、J2とJ3の優勝チームが準々決勝から、そしてJ1の上位2チームが準決勝から参加することになったのだ。参加は計52チームということになる。
都道府県大会には、「アマチュア代表」に選ばれたHonda FC(静岡県)を除くJFL(日本フットボールリーグ=アマチュアの全国リーグ)の15クラブが参加したが、JFLチーム同士が決勝戦で対戦した宮崎県と三重県を別にすると、大阪府でJFLチームが地域リーグチームに敗れるという波乱があった。
下部のチームが上部のチームを倒す「ジャイアントキリング」がノックアウト制の天皇杯の大きな魅力。今大会では、広島県リーグ1部の福山シティFCが準々決勝まで進み、J3優勝のブラウブリッツ秋田にチャレンジした試合が印象的だった。持ち前のパスサッカーで前半なかばからペースをつかみ、一時は1-1の同点に追いついたが、圧倒的な強さでJ3を制した秋田のプロならではのパワーと勝負強さの前に1-3で屈した。
準々決勝と準決勝は、結果としては順調に上部のチームが勝ち進み、大きな波乱はなかったように見える。しかし秋田に対してボールを支配し続けた福山シティ、そしてテンポの良いパスワークでG大阪を防戦に追い込んだJ2の徳島ヴォルティスのように、下部のチームが試合内容ではむしろ上回る試合があったのは注目すべきことだ。これだけたくさんのチームが高いレベルの試合ができるようになったことこそ、この1世紀で日本サッカーが積み重ねてきた成長の最大の証しだ。
決勝戦でぶつかる川崎とG大阪は、わずか1カ月前の11月25日にJリーグで対戦し、5-0で川崎が勝ち、J1最速、4試合を残した時点で優勝を決めている。しかし「天皇杯決勝」はまったく別物。準決勝から中4日、ともに相手を研究し直し、準備も万全。川崎は自信満々パスを回すだろうが、G大阪には堅固な守備と一撃で相手を倒す決定力がある。「オリンピックスタジアム」国立競技場を舞台に、どんな結果もありうる決勝戦。元日、競技場のある東京・新宿区の予報は、晴れ、気温9度、北西の風4メートル。襲来する寒波を吹き飛ばす熱い試合が展開されるのは必至だ。
【1回戦】9月16日(水)
【2回戦】9月23日(水)、30日(水)
【3回戦】10月28日(水)、11月11日(水)
【4回戦】12月13日(日)
【5回戦】12月20日(日)
【準々決勝】12月23日(水)
【準決勝】12月27日(日)
【決勝】2021年1月1日(金・祝)
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