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脳振盪(のうしんとう)

脳振盪(のうしんとう)とは何か?

脳振盪(のうしんとう)とは、頭を強くぶつけたり、揺さぶられたりすると、脳にひずみが生じることによって意識がなくなったり、記憶を失ったりすることがある状態を指します。多くの場合しばらくすると改善しますが、症状が長引く場合もあります。ぶつけた程度がひどい場合は、脳に出血を起こしているかも知れず、生命に危険を及ぼすことになりますので安易に考えずに注意してください。

脳振盪(のうしんとう)はどのように起こる?

頭が他の選手のからだの一部(頭、膝、肘など)と強く接触したり、強く蹴られたボールを直接頭で受けたり、ゴールポストや地面に直接頭を打ったりするほか、直接頭を打たない場合でも、例えばスライディングをした際に、相手選手のひざが下あごに入り、 頭が強く揺らされる場合でも脳振盪(のうしんとう)が起こる可能性があります。

脳振盪(のうしんとう)をどのように見極めるか?

選手が頭部を打った際、ただの打撲か、脳振盪(のうしんとう)なのかを見極めるには簡易的な脳振盪(のうしんとう)の判断ツールである”CRT5; Concussion Recognition Tool 5 (下に添付)”があります。
このような時は、脳振盪(のうしんとう)の疑いがありますので、すぐにプレーを中止させましょう。声をかけた際、「大丈夫です。」「やれます。」という本人の返事だけで、プレーを続行するのは危険です。

脳振盪(のうしんとう)はどのように対処する?

自覚症状、記憶や現状認識、バランスなどを確認し、少しでもおかしいと思うところがあったら、プレーをすぐに中止させ、まずは安静にさせましょう。そして、その選手から目を離さずできる限りすみやかに専門医に診てもらいましょう。

脳振盪(のうしんとう)の発生から対応まで

サッカーのような激しいボディコンタクトのあるスポーツでは、さまざまなスポーツ外傷を負うことがあります。
脳振盪(のうしんとう)も決して珍しいものでありません。脳振盪(のうしんとう)は、必ずしも頭と頭がぶつかった時に生じるだけでなく、肘や膝が頭とぶつかった時や、場合によっては直接頭部を打たなくても、体への強い衝撃によって脳が強く揺すられることによって生じるものです。
ピッチ上で脳振盪(のうしんとう)の疑いが生じた場合は、すぐにプレーを一時中断します。軽度であり、意識があるような時には、簡易的な脳振盪(のうしんとう)の判断ツールである”CRT5; Concussion Recognition Tool 5 (下に添付)”などを用いて、脳振盪(のうしんとう)であるかどうかの判断をしましょう。軽症の場合は、サイドラインの安全なところで前述のごとく安静にしましょう。
意識がなかったりけいれんを起こしていて、重度の頭部外傷であると考えた場合は、頚椎損傷の可能性も否定できないため、まずは頭部を手で固定し、頭頸部をねじったり、動かさないようにしましょう。担架(バックボードなど)に乗せたあとは、ヘッドイモビライザー(頭部固定具)で固定します。そして、ピッチ上から安全が保てる場所まで移動します。ただしこのような状況ではバックボードの使用が推奨されるものの、訓練を受けていることが前提です。正しい使用法を知らない場合は、救急要請をしましょう。
※日本サッカー協会では、スポーツ救命講習会を開催しており、バックボード使用の実技講習も行っております。またネックカラーの使用は、熟練している方による処置を除いては推奨していません。

頭部外傷を受けたにもかかわらず、当初脳振盪(のうしんとう)と判断されなかった場合でも、頭痛、吐き気などが出現して、いつもと違うような症状がある場合は専門医を受診した方が良いでしょう。脳振盪(のうしんとう)の症状は遅れて出現することもあります。24時間以内は単独で行動することは避けます。

脳振盪(のうしんとう)と診断されたり、疑われたりした場合は、各ステージをクリアし、段階的に復帰するプログラムを実践することを推奨します。

サッカーにおける脳振盪(のうしんとう)に対する指針【グラスルーツ向け FIFA 脳振盪プロトコル】

SCAT6; Sport Concussion Assessment Tool 6 について

脳振盪に対する評価として現在はSCAT5を用いていますが、2023年第6回国際スポーツ脳振盪会議が6年ぶりに開催され、SCAT6が発表されました。

日本の言語と文化的背景を加味した適切な和訳が発表されるまでは時間を要することから、すぐにSCAT6に移行する予定はございませんが、最新のエビデンスに基づいて改変された段階的競技復帰のプログラムなどは活用について検討していきます。

用語解説
CRT;Concussion Recognition Tool:脳振盪の判断ツール
SCAT;Sport Concussion Assessment Tool:脳振盪に対する評価ツール

FIFA脳振盪予防キャンペーン(グラスルーツ向け) 日本語字幕

FIFA(国際サッカー連盟)からの脳振盪の予防に対する注意喚起動画です。
元ブラジル代表のダヴィド・ルイス選手やザンビアのレイチェル・クンダナンジ選手などが、選手の健康、未来を守るため脳振盪を疑い、予防を推奨するコメントを伝えています。
※日本語の字幕が表示されない場合、設定より字幕がオンになっているかご確認ください。

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