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2021年度 JFAアスレティックトレーナーセミナーをオンラインで開催
2021年02月16日
日本サッカー協会(JFA)は2月7日(日)、2021年度JFAアスレティックトレーナーセミナーをオンラインで開催し、JFA加盟団体のトレーナー、JFAトレーナー総勢約180人が参加しました。本セミナーは年に1回、各地域/都道府県協会から推薦された方とJリーグ以外のリーグおよび連盟の方を対象として実施しており、最新の医学的情報を提供し、トレーナーとしての更なるレベルアップの一助としていただくことを目的として開催しています。今回は「アスレティックトレーナーの役割~いまトレーナーがやるべきこと~」をテーマに、アンチ・ドーピングについて、また、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する現場での対応について講演を行いました。また、JFA ロールモデルコーチ・元日本代表選手の内田篤人氏を迎え、「世界で戦うために」と題し、苦労した怪我のこと、そして選手生活を支えたドクターやトレーナーとのエピソードなど14年間のプロ選手生活を振り返りました。その後、各カテゴリーで分科会を実施。情報共有や意見交換等が行われ、充実したセミナーを終えました。
主催者コメント
菊島良介 氏(JFAアスレティックトレーナー/SAMURAI BLUE(日本代表)トレーナー)
今回のセミナーテーマは、「アスレティックトレーナーの役割~いまトレーナーがやるべきこと~」として行われました。今年はオンラインでの開催となり、例年より多い180人の方にご参加いただきました。今まで参加の少なかった地域やリーグの方が今回いらした事も大変嬉しく思っております。講演では「COVID-19に対する現場での対応」を土肥先生にお話しいただきました。JFAで導入しているSmartAmp法検査に関してや、COVID-19に関する医学的な解説から、現場で行われた感染予防対策の実際まで、詳しくお話ししていただき理解が深まりました。内田篤人氏とのスペシャル対談では、ワールドカップでの舞台裏の話や、ご苦労された怪我の詳細をユーモアを交えてお話しいただきました。特に、長いリハビリの過程では共に寄り添って課題をクリアしてくれるメディカルスタッフが理想であるとのお話は、ご苦労を経験されたからこそのご意見でした。セミナー全般に関して、参加者からは「医学的な検知からの内容もあり、エンターテインメント要素もあって目が離せなかった」とコメントをいただきました。例年開催していた地域47FAの分科会が開催できなかった事は残念でしたが、他のリーグ・連盟の分科会では積極的な意見交換がされていました。コロナ禍において様々なことが変化する中、課題も多く残りましたが、「オンライン開催」という新たなツールが今後のアスレティックトレーナーセミナーをより発展的なものにしてくれると感じました。今回のセミナーで得られた情報が、参加されたトレーナーの皆様や周りの方のレベルアップの一助となることを望んでおります。最後に、今回無事に開催できた事をありがたく感じています。開催にあたりご尽力頂きましたJFA関係者、講師の先生方、参加者の皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。
講師コメント
内田篤人 氏(JFAロールモデルコーチ・元日本代表選手)
今回、対談という形でJFAアスレティックトレーナーセミナーに参加させていただきました。14年間のプロ選手生活を、自身の経歴と怪我という目線から思い出すと、ドクターやトレーナーに支えていただきながら歩んで来ることができたと思っております。アスリートにとって競技できない時間は苦痛でしかなく、自分の居場所が無くなるような不安感を持ちます。現役時は、池田先生、前田トレーナー、菊島トレーナーに寄り添ってもらい、素晴らしい舞台に何度も送り出していただきました。僕自身、選手にだけスポットライトが当たるのではなく、後ろで支え、押し出してくれる皆さんにももっとスポットライトが当たって欲しいと思っております。皆さんの環境、携わる選手が同じではないと思いますが、皆さんご自身と選手の競技人生が素晴らしいものとなるよう願っております。これからも選手と日本のスポーツ界をよろしくお願いします!
参加者コメント
志小田正人さん(全日本大学サッカー連盟)
コロナ禍という、これまでとは違う環境、状況下のなかで、2021年度JFAアスレティックトレーナーセミナーを開催していただいたことに感謝いたします。初のオンラインでの開催にワクワクしながら受講させていただきました。まず驚いたことは、昨年完成した「高円宮記念JFA夢フィールド」内をLIVEで紹介されたことでした。特にメディカルやトレーナーに関わる施設や設備など、普段なかなか立ち入れない場所や、日本代表の動画などを随所に垣間見ることができ、非常に有意義でした。池田先生、土肥先生の講義は、普段我々トレーナーが最も注意しながら活動していくべき最新の医学情報であり、常に留意し、心がけていかなければならないことを学ぶことができました。特にコロナウイルス感染対策や脳振盪(のうしんとう)への対応など、ドクターとの連携が非常に大切であることを再認識しました。スペシャル対談では、日本代表や世界で活躍してきた内田篤人氏と、それを支えてきた池田先生、前田トレーナーの怪我への向き合い方や苦労話など、裏話を交え、リアルな話しをとてもリラックスして話していたことが印象的でした。選手、ドクター、トレーナーがとても強い信頼関係で結ばれていると感じ、内田氏の池田先生と前田トレーナーに対する感謝の気持ちが強く伝わった対談でした。そして、前田トレーナーの「黒子に徹する」という言葉は、トレーナーとして、とても心に残りました。トレーナー自体が表舞台に立つことは多くはありませんが、この対談を通して、トレーナーがチームや選手を下支えする上で、かけがえのない存在だとより実感しました。「黒子に徹する」という言葉を胸に、今後のトレーナー活動に努めていきたいです。
中野渡裕人 さん(ラインメール青森)
今回は、新型コロナウイルスの影響もあり、例年とは異なるオンラインでのセミナー開催となりました。
現在の世間の状況を踏まえ、セミナーの内容も「新型コロナウイルスに対する現場での対応」ということで、日本代表レベルで行っていたことを事細かくお見せしていただきました。現在、私が所属しているチームでも新型コロナウイルス対策は行っています が、やはり、日本代表レベルの対策となると、私のチームでも取り入れられてない部分もみられたため、今後の参考になる部分がありました。また、内田篤人氏・池田ドクター・前田トレーナーの対談では、内田氏の負傷歴をもとに様々なお話しを聞かせていただきました。私自身としては、本来であれば、選手とメディカルスタッフの関係性はピッチ上でのものという理解でした。ですが、日本代表レベルであっても同じ1人の人間同士の関係性があってこその本当の信頼関係が築いていけるものだと、改めて気付かされた時間でもありました。今回このような状況での開催となりましたが、トレーナーとしても一個人としても、またいつの日か、普通に大歓声が聞こえるスタジアムが戻ってくることを願っております。