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育成年代のメディカルについて 1

2011年05月10日

『育成年代のメディカルについて』 ~JFAアカデミーの取り組み~

スポーツレベルが向上している昨今、メディカルサポートは、アスリートに欠かせないものとなっています。
育成年代でも同様、メディカルについての知識は、選手はもちろん、指導者や保護者も知り得ておくことが
望ましい部分だと言えます。このコーナーでは、育成年代のメディカルの考えと、JFAアカデミー熊本宇城
の取り組みを簡単に紹介していきます。

目 次
第一回『早期発見・早期安静の重要性』
第二回『セルフチェック』
第三回『セルフコンディショニングの実際』
第四回『オスグットについて』
第五回『腰椎分離症について』
第六回『その他の傷害について』


第一回の今回は『早期発見・早期安静の重要性』をテーマにお話します。

子供の身体の各器官がどのように成長するかをグラフで記した、スキャモンの発育発達曲線によると、
神経系は中学生年代までに100%に発達します。


 
神経系の発達が最終段階の中学生年代では、ボールを思い通りにコントロールしたり、正確にパスしたり
するなどの、テクニックの習得が非常に重要です。


 
強い負荷のかかった状態でも、正確なテクニックを発揮できることが重要であり、そのためには、力を加減
しながらではなく、100%の力を出し切ってトレーニングを行う必要があります。

痛みをごまかしながらでは、100%の力を出し切ることはできず、本当に質の高いトレーニングを行うことは
難しくなります。
 


アカデミーでは、100%でプレーできる時間を長く取れるように調整しています。

図をご覧ください。
青が痛みなくプレーしている期間
黄色が痛みを我慢しながらプレーしている期間
赤がプレーをしていない期間を表しています。
 
プレーしている時間は、(青+黄色)上の図の方が、長くなります。
しかし、100%でプレーしている時間(青)は、下の図の方が長いです。
アカデミーでは下の図をイメージして活動しています。



また、痛みを我慢しながらのプレーでは、本物のテクニックが上達しにくいだけでなく、ケガが悪化したり、
かばって他の部位を痛めてしまったりする危険性もあります。


特に、成長期に起きやすい、骨端症(オスグット・シーバー病など)や、腰椎分離症は、早期に安静にすると
早期に完治する可能性の高い傷害です。
逆に、発見が遅くなると、なかなか治らない、長期のケガになってしまう危険性もあります。



JFAアカデミー熊本宇城では、2010年度、全生徒32名中13名がオスグットを発症しました。痛みが発覚
したら、早期に安静にして、13名中12名は、再発なく、平均※47.6日で全体練習に合流することができ、
現在も痛みなくプレーできています。

※(宇城。昨年度のオスグットによる別メニュー期間平均日数です。安静期間は症状によって異なります。)
 


そのため、育成年代では、傷害を早期に発見して、早期に安静にすることが大切だと言えます。
しかし、この育成年代の選手にとって、サッカーから離れるということは、非常に辛いことです。


 
周囲の指導者や保護者が、なぜ休むべきなのか理解させ、焦らずゆっくりやるように、精神的サポートを
することが非常に重要となります。



また、アカデミーでは、別メニュー中も患部に悪影響を及ぼさないトレーニングは積極的に行っています。
(ストレッチや体幹トレーニングなど)


 
この患部外のトレーニングに集中して取り組み、ケガしにくい強い身体にレベルアップして復帰できるか
どうかも、周囲の大人のサポートと本人の努力にかかっています。



では、早期に傷害を発見するためにはどうしたら良いのか?次回は、傷害を早期に発見するために、
アカデミーで行っている取り組み、『セルフチェック』についてお話しします。

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