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[復興支援活動]手倉森 浩 復興支援特任コーチ 活動レポート(9月)
2015年10月14日
9月の活動は宮城県仙南地区の山元町で活動するやまもとJFCのトレーニングからスタートしました。
やまもとJFCは毎週水曜日の18時半から20時に山元町体育文化センターで練習しています。同会場はサッカーボールの使用が禁止されているため、小さいボールでトレーニングしました。週末は山元第一小学校のグラウンドでトレーニングしていますが、少年用のピッチを確保できないことから、リーグ戦では常にアウェイになってしまいます。
この日は6年生が修学旅行を間近に控えていたこともあり、参加人数は4人。子どもたちのチームとコーチ2人+私のチームで4対3のゲームをひたすら行い、汗を流しました。現在チームの人数は16人で、6年生が7人います。来年、6年生が卒業したあとが心配ですが、チーム存続のために年内にメンバー募集をするそうです。
9月は岩手県沿岸部の視察を重点的に行いました。8日、宮古市田老にあるグリーンピア三陸宮古でFC宮古デルフィーレ田老の練習へ。岩泉スポーツ少年団の馬場監督も顔を出してくれました。岩泉スポーツ少年団は選手が少ないために、FC宮古デルフィーレ田老と共に大会に出場しています。
トレーニングは、岩泉スポーツ少年団が18時半から20時の2時間、私が指導する田老第一中学校サッカー部所属の選手たち(FC宮古デルフィーレ田老のOB)は21時まで練習しました。1対1から2対2、2対3の対人トレーニングの後、ゲーム形式2S(サーバー)+4対4ライン通過を行い、ラストは5対5+4S(サーバー)を行いました。
中学生はスクールバスの関係で部活動の時間は1時間もとれません。もっと練習したい中学生は、同スポーツ少年団に来てトレーニングに励んでいます。今回の練習も、高いモチベーションで取り組んでいました。伸び盛りの時期にやりたいことが十分できない被災地の子どもたちはいつもこんな状態です。運動不足や体力低下が心配されるほか、指導者不在など課題は多くあります。
宮古市の田老地区と宮古漁港付近は、嵩上げと防潮堤工事が進んでいますが、全体としては遅れています。復興公営住宅も然りで、仮設住宅暮らしはまだまだ続きそうです。FC宮古デルフィーレ田老の山本信幸監督によると、ようやく住居建設場所が決まり、これから基礎工事が始まるとのことでした。
9日は宮古市の花輪小学校体育館で行われた花輪スポーツサッカー少年団のトレーニングへ。震災後、大会会場などで顔を合わせることはありましたが、トレーニングは初めてです。同少年団は水曜日と木曜日、同体育館で練習を再開していました。この日は1~6年生の所属選手たちと、体験入部で参加した子どもが1人、少年団OBの中学生2人を含めた17人でトレーニング。鬼ごっこからパス&コントロール、4対2のポゼッション、最後は学年別にゲームを行いました。同チーム沢田豊監督も私が来たことで子どもたちと一緒にプレーし、「日頃のストレス発散ができました」と喜んでいました。花輪中学校にはサッカー部がなく、サッカーを続けたい子どもたちは宮古二中か河南中に進むしかなく、親の送迎が必要になります。少年団OBの中学生は現在、野球部に所属しているそうで、高校に行ったらサッカー部に入って再びサッカーをしたいと言っていました。サッカーをやりたくてもできない環境に複雑な思いがしました。
10日は山田町のFC山田ベルエーニの練習を視察する予定でしたが、雨で中止され、翌週に延期することにしました。
山田町も旧山田駅と役場付近を嵩上げしていて、沿岸道路の防潮堤は存在感があります。現在、仮設商店街などが立ち並んでいますが、嵩上げ造成したところへの移転はまだまだ先になります。この日は急きょ、大船渡三陸シーガルFCへ行き、トレーニングに参加。大船渡市民体育館で17時から2時間、同少年団8人、中学生2人の計10人でトライアングルパス、シュート練習、ゲームまで行いました。指導者は仕事を抱えているため、練習時間に間に合わなかったり、来られない日もあるのでサポートできて良かったと思いました。
翌週も岩手県沿岸部の活動です。15日はFC山田ベルエーニへ。町民総合運動公園で18時~19時半、対面パスとトライアングルパス、4対2と5対2からゴール前の攻防を行いました。集中しすぎてパス&コントロールが長くなりましたが、子どもたちはミスを恐れずに取り組み、あっという間に終わった感じがしました。
16日は、18時から釜石市球技場(人工芝)でFC釜石の5~6年生15人を対象にトレーニングを行いました。トライアングルパスから入り、ポゼッション4対2。シュート練習では3人組のコンビネーションをした後、ゴール前の攻防(S+4対4+GK)、ラストのゲームは7対6+2GK(数的有利・不利)を行いました。積極的なプレーが見られました。
17日は大槌町寺野地区の小学校・中学校仮設グラウンドで大槌SCのトレーニング。同グラウンドは雨が降ると使えません。役場の体育館は1カ月前に予約が必要なため、雨が降った日は練習場がないという状況もあります。寺野地区グラウンド付近に県立大槌病院が建設中ですが、完成は4カ月遅れ。公営住宅の棟数もだいぶ増えましたが、内装まで業者の手が回らないなど見通しがつかない状況です。仮設校舎や仮設グラウンドはいずれ住宅地になるそうで、来年9月完成予定の小中一貫校の校舎も遅れる可能性もあるとか。ともあれ、子どもたちは楽しくサッカーに取り組んでいました。
この週末は大槌町では秋祭りが行われます。お祭りを大事にする大槌町。大学や就職で県外に出た人は、お盆と正月に帰省できなくてもこの秋祭りには帰ってくるそうで、こういったことが復興の一助になるでしょう。
大槌SCの練習後、雨の中、釜石ロビンFCが釜石市球技場でトレーニングをしていたので、ご挨拶に行きました。沿岸部のチームは、なかなか平日の夜に釜石まで足を運べないのが現状です。
18日は大船渡サン・アルタスの練習でしたが、チリ地震の影響による津波注意報と大雨による洪水・土砂崩れ警報が発令されたため中止になりました。警報は夕方には解除されたので助かりました。19日は、陸前高田市上長部グラウンドで高田FCのキッズスクールを指導。休憩を挟みながら9時から10時半、ボールフィーリング・ドリブル・シュートとゲームまで楽しくできました。元気いっぱいで、予測不能な子どもたちを見ていると本当に勉強になります。その後、高田一中仮設グラウンドで行われている沿岸南部中学校体育連盟の新人戦を視察。復興特任コーチになって以降、関わった子どもたちも中学生になり、私の姿を見ると挨拶に来てくれました。大きく、逞しくなった姿を見て嬉しくなりました。
高田一中の本グラウンドにはいまも仮設住宅が建っていて、仮設グラウンドは校舎に隣接しています。高台造成区域であるため、工事が始まれば練習場がなくなってしまいます。陸前高田市の嵩上げ工事のために設置されているベルトコンベアは撤去されることになり、10月からその作業が始まるそうです。125mあった山を80m削って嵩上げの盛土に使用。新たな仮設グラウンドは嵩上げ造成が完了した後、適当な場所に作られると思いますが、その間は練習場所がなくなる可能性もあります。
2週にわたって岩手沿岸部のチームの練習を訪れましたが、震災から4年6カ月経った今も仮設住宅暮らしの方や公営住宅に移りたくても移れない方、引っ越したものの仮設暮らしの方に対して後ろめたい気持ちを持ったり、新たな生活に馴染めずにいる方もいるという話も聞きました。嵩上げ工事や防潮堤工事がだいぶ目立ってきた被災地ですが、道路区画や嵩上げ造成区域への建設工事などはこれからで、運動場施設建設の予定はあるものの着工が決まっていない状況です。まだまだご苦労があるかと思いますが、被災地の方が望む復興になることを期待しています。『頑張ろう岩手!』
9月22日から27日までは「FIFAグラスルーツコース&フェスティバル in JAPAN」に参加するため、石川県の和倉に行きました。FUN(楽しむ)&Quality(質)の追求、コアエレメントへのアプローチなど、キッズ年代の指導の在り方など大変勉強になりました。受講生との出会いに感謝するとともに、いつか被災地でもグラスルーツを開催し子どもたちに笑顔を届けたいと思いました。グラスルーツ2015受講生の皆さん、その時は宜しくお願いします!『がんばっぞ!』