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JFA女子インターナショナルコーチングコースを大阪で開催
2017年07月20日
7月11日(火)から16日(日)まで、AFCに加盟する19のメンバー協会(MA)から合計27名の女性指導者が集まり、JFA女子インターナショナルコーチングコースが大阪で開催されました。インターナショナルコーチングコースは2006年から毎年JFAがAFC加盟協会を対象に参加者を募集して行っているもので、昨年はゴールキーパーコーチを対象に開催されました。今年は、2014年に続いて2度めとなる女性指導者を対象としたコースで、受講生は女子代表監督や年代別代表監督といったMAのトップチームの指導者から、グラスルーツの指導者、現役の代表選手まで、様々な役割を持つ人たちが集まりました。
コースの前半はJFAの普及や選手育成のフィロソフィー、指導者養成の仕組みなどを伝え、各MAの状況を共有する形式で進められ、後半はクラブ訪問や各MAの女子サッカーについてのプレゼンテーションを受講生自身が行うなど、より積極的な参加を促し、最後は、地元の小学1年生から4年生の女子が50名ほど参加するフェスティバルを計画・実施しました。さらに、なでしこジャパンの高倉監督の講演、審判・メディカルに関するレクチャー、なでしこリーグの試合観戦など、盛り沢山なプログラムとなりました。ほとんどの受講生が初対面ながらも、初日から活発なディスカッションを行い、6日間のコースを通じて交流を深め、友情を育んでいました。そして、最後は全員でアジアの女子サッカーのレベルアップのための努力を誓い、コースを締めくくりました。
今回のコースは、国際交流基金アジアセンターの支援を受け、ASEAN各国を対象とした文化交流事業のひとつとして実現しました。国際交流基金アジアセンターは、「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア~」をキーワードに掲げ、日本とアジア各国との文化交流の機会を創出する事業を、JFAをはじめとする各種団体と協力して実施しています。
インストラクターコメント
木村リエ 日本サッカー協会 ナショナルトレセンコーチ/JFAアカデミー今治 コーチ
今回のコースでは、トレーニング実技とゲーム分析を担当しました。トレーニングでは「観る」「ゴールへ向かう組み立て」をテーマに行いました。プレーの基本である「観ること」、動きながらのパス&コントロールでボールを失わず「ゴールへ向かう」ことを、受講生が実際にプレーをしながら指導者として伝えるポイントや考え方を共有しました。また、ゲーム分析では昨年のU-17女子ワールドカップのゲームを題材にゲーム分析の必要性やポイント、伝え方などを共有した後、各グループそれぞれの立場で分析を行いました。短い時間ではありましたが、各グループで積極的に意見交換が行われ、様々な形式の中、ポイントをおさえたゲーム分析となり、私も大変勉強になりました。
最終日にアカデミー堺の選手にお手伝いをしてもらったフェスティバルでは、参加してくれる子ども達のために受講生がオーガナイズをしました。受講生は参加してくれた子ども達に対して全身を使って、そして笑顔でサッカーの楽しさを伝えてくれました。子ども達はとてもいきいきとしたいい表情をしていて、サッカーの楽しさを十分に感じてくれたと思います。今回のコーチングコースでは、アジアの女子サッカーの課題やビジョン、そしてもちろん日本の取り組みを活発なディスカッションによって共有できたことは良かったと思います。このコーチングコースに関わり、アジアの女子サッカーに関わる女性受講生と意見交換ができたこと、大変貴重な時間だったと感じています。このコースに関わって下さった全ての方々に感謝致します。
轟奈都子 日本サッカー協会 ナショナルトレセンコーチ
今回のコースではGKの講義と実技を担当しました。講義では、「女子GK選手の発掘・育成とGKコーチ研修会について」と「C級コーチ養成講習会のGK講義」の内容を伝え、JFAでの女子GK選手に対する取り組みやU-12年代のGK選手に対する指導について情報を共有しました。受講生のみなさんは非常に熱心に講義を聞いてくれて、Q&Aの時間にはたくさんの質問が出ました。GKに対する関心の高さを強く感じました。
実技では、C級コーチ養成講習会のGK実技の内容を実践しました。実際に受講生が体験する形で進めていきましたが、こちらもみなさんが非常に積極的に、また熱心に取り組んでくれて、最後のゲームではその前に練習した技術を意識してプレーするなど良いプレーが数多く見られました。また後日行ったフェスティバルでは、受講生が考えてくれたワークショップの中にGKのエリアもあり、フェスティバルに参加した子どもたちにもGKの楽しさを伝えてくれていました。アジアの女性指導者の方々と、GKについての取り組みや指導法を共有でき、とても有意義な時間になったと感じています。また私自身も受講生の方々から多くの気づきやパワーをもらい、大変勉強になり、とても貴重な経験になりました。受講生のみなさんやこのコーチングコースに関わってくださったすべての関係者の方々に感謝申し上げます。
受講生コメント
LINDSEY Kelly さん(アフガニスタン)
JFA女子インターナショナルコーチングコースは非常に価値ある経験でした。サッカーの技術・戦術についてのディスカッションや、ゲーム分析をするなど、ピッチ上でより良い指導者となるためのものがありました。アジアの女子サッカーはまだ発展途上で、まだまだやるべきことはたくさんあります。私たちはアジアで新たな文化を築き上げているところであり、このスポーツで女性が選手や指導者、リーダーとしてプロフェッショナルとなることができる新しい意識を持ち始めつつあります。
このコースは、ピッチ内外でのそれぞれの課題や今後の育成・強化フィロソフィーなどについてオープンに話し合える素晴らしい1週間でした。まだまだ道のりは長いですが、AFCやJFAのサポートを受け、より素早く、そしてより効果的に発展を続けていけるでしょう。このコースの受講によって私たちはより強くなったと感じます。それぞれのMAで抱えるハードルを越えて女子サッカーを築いていくために助け合えるネットワークを築くことが出来ました。前進を続けていくためには、ともに協力し励まし合いながらハードワークしていくことが必要です。他のMAを助ける小さな行動の積み重ねがアジアのサッカーをより発展させることになるでしょう。
BENITEZ Marielle さん(フィリピン)
このコースは素晴らしい学習経験となりました。それぞれのMAやアジアでの女子サッカーの発展に寄与する情熱あふれる女性指導者たちとともに過ごせたことで勇気づけられました。世界クラスのクラブや施設を訪問し視察できたことや、少女たちのためのフェスティバルを企画・実施したことは刺激的でした。このコースでのすべての経験は記憶に残るもので、受講者たちの様々な国における女子サッカーのステータスを垣間見ることも出来ました。そして、日本がなぜサッカーで成功し続けることができるのかを学び、それぞれの国やアジア全土で女子サッカーを発展させるための新しい友人たちともつながることが出来ました。
BAMBA Rhoda Santos さん(グアム)
私がこれまで20年以上の間に参加してきた研修会の中で、このコースは上位1%に入るものでした。施設は非常に清潔で毎日良く整えられていました。講義での今井スクールマスター、そしてピッチでの2名のインストラクターの皆さんの人柄の素晴らしさにも強く感じるところがありました。また、なでしこジャパンの高倉監督がこのコースに2日間来られ、私達と過ごしてくださったことも誇りに思います。このコースの中で特に私の印象に残ったことは、受講生の皆さんです。彼女たちはそれぞれ高い経験値を持ちながら、とてもお互いにオープンでした。また、施設の食事の質も非常に高いものがありました。
ALIPOUR ATAABADI Yasamin さん(イラン)
日本が女子サッカーを発展させるために何をしているのかを学ぶことが出来たのは喜ばしいことでした。そして、私達の国の女子サッカーのために、この素晴らしい知識を活かすために、JFAのプログラムや成功への道のりについて詳細をもっと知りたかったです。J-GREEN堺の施設、そして選手たちが将来の代表選手を夢見て生活しているJFAアカデミー堺の施設にも非常に感銘を受けました。私の心に強く響いたことは、日本の、特に大阪の人たちのサッカーに対する情熱です。スタジアムでの試合観戦のチャンスもありましたが、選手・施設・メディアの諸室において高いプロフェッショナリズムを見ることができ、また、観客の多さにも驚きました。いつかイランでもこのようなパーフェクトな女子リーグの開催を実現させたいです。このコーチングコースがJFAとイランFAのさらなる関係の一歩になることを願っています。