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第98回天皇杯 数々のドラマを演じてきた石﨑信弘監督(藤枝MYFC)が語る天皇杯の魅力

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2018年11月27日

第98回天皇杯 数々のドラマを演じてきた石﨑信弘監督(藤枝MYFC)が語る天皇杯の魅力

天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会の準決勝が12月5日(水)に開催されます。ここでは柏レイソルとモンテディオ山形の2つのクラブを決勝進出に導いた石﨑信弘監督(藤枝MYFC)に、大会の思い出や天皇杯の魅力について語っていただきました。

※このインタビューは2018年11月22日に行いました

――石﨑監督は、今年もテゲバジャーロ宮崎(宮崎県代表)の監督として天皇杯を戦いました。

石﨑 1回戦の佐賀LIXIL FC(佐賀県代表)は勝って、2回戦でセレッソ大阪(J1)と対戦しました。C大阪は柿谷(曜一朗)や杉本(健勇)も出ていてけっこう本気のメンバーで来てくれて、JFLに所属するテゲバジャーロとしてはすごく楽しくやれました。ピンチもありましたが、チャンスもあって、そこで決めていればおもしろかったと思いますが、最後は0-1で負けて……。選手も悔しがっていたけれど、良い経験になったと思いますね。

――これまで選手としても監督としても天皇杯で数多くの試合を経験されていますが、中でも思い出深いのはどの大会ですか?

石﨑 天皇杯はたくさん出ていて(監督として)決勝に2回行っているんですが、最初は2008年度の柏レイソルのとき。天皇杯をやっている頃はワシがチームを離れることが決まっていて、少しでも長く一緒にやりたいということで選手がすごくまとまってくれたんですよ。本当はブラジル人選手って、天皇杯の時期はクリスマスとも重なるから帰りたがるんですけどね(笑)。でも、フランサ(元ブラジル代表FW)も含めてみんな最後まで戦いたいと本当に一つになってくれて。

その年のリーグ戦が終わったときのセレモニーで、当時オバマ大統領がよく言っていた言葉を真似してワシも「天皇杯の決勝にみんなで行きましょう“Yes, We can!”」と言ったんよ(笑)。そうしたら元日の国立競技場でサポーターがでっかい人文字で“Yes, We can”って出してくれて、あれもよく覚えていますね。

でも、決勝はガンバ大阪に(延長の末に0-1で)負けちゃって……。失敗したなと思ったのが、目標を優勝じゃなくて決勝進出にしちゃったことですね。でも選手はすごく頑張ってくれて、決勝の後に選手全員と現場スタッフで食事会をして、ワシ以外にもチームを離れる選手がいたから、みんな自分のユニフォームに全員のサインを書いてもらったんですよ。ワシはユニフォームがなかったけど、フランサが自分の10番のユニフォームをくれて、それに書いてもらった。今も家に飾ってありますよ。

――天皇杯らしいジャイアントキリングも数多く起こしてきたと思いますが、その秘訣はありますか?

石﨑 トーナメント好きなんじゃ、ワシ。一発勝負だし、サッカーに絶対はないから。今年もモンテディオ山形が川崎フロンターレに勝って残っていますもんね。ジャイアントキリングがあるときは、独特の雰囲気がある。押し込まれてもやられないとか、身体を張って守れていると、選手にも自然とエネルギーが出てきて、チャンスとかやれそうな雰囲気が出てくるんですよね。それはチームだけじゃなしに、サポーターも含めて。山形で決勝に行ったとき(2014年)もチームが本当に一つになって勢いが出ていたと思います。

――石﨑監督がそういう空気をつくるのが上手なんでしょうね。

石﨑 どうなんじゃろ(笑)。山形のときは(J1昇格の)プレーオフと並行してやっていて、リーグ戦が終わってプレーオフまでの間の水曜日に天皇杯の準決勝があって、その相手がプレーオフ決勝で当たるジェフユナイテッド千葉でした。うちは中3日でプレーオフのジュビロ磐田戦が控えていたけど、ワシは勢いをつけたかったから、天皇杯の千葉戦はベストメンバーでやったんですよ。逆に千葉はメンバーを落としていたから、まず天皇杯で勝って、その勢いで磐田にも勝って……。あの最後にGKの山岸(範宏)が点を取った試合ね(2014年J1昇格プレーオフ準決勝)。1週間後のプレーオフ決勝でも、疲れはあったけど勢いはうちのほうがあって、千葉にもう一度勝ってJ1に上がれたんですよ。あのときは天皇杯もプレーオフも全力でやったことが、両方とも良い結果につながったと思いますね。

――今回の準決勝は、仙台と山形の「みちのくダービー」になりますね。

石﨑 楽しみですね。山形の人は「仙台に負けたくない」という気持ちがすごく強いし、仙台の人は「山形なんかに負けるわけないでしょ」と上から目線だから(笑)。ワシが柏のときは決勝でG大阪に負けて、でも4年後の2012年度に柏は天皇杯で優勝したでしょ。山形のときも決勝でG大阪に負けて、その4年後が今年……優勝する可能性があるかもよ(笑)。

――日本における天皇杯の位置づけはどう感じていますか?

石﨑 プロ、アマ含めて日本一を決める大会ですし、地域リーグからでも勝ち上がっていけば決勝まで行ける可能性がある。下のカテゴリーのチームがJ1のチームと対戦できる貴重な機会でもありますよね。日本中が注目する元日に国立で試合をするのは自分にとっても夢だったし、世界を見てもFAカップ(イングランド)とか国王杯(スペイン)とか、こういう伝統的な大会がたくさんある。サッカーが好きな全ての人にとって、大切な大会だと思いますね。

――最後に全国のサッカーファンに向けて、天皇杯の楽しみ方を教えてください。

石﨑 やっぱりジャイアントキリングの楽しみもありますよね。今年は山形がJ2で唯一残っていて、そういうチームが最後までジャイアントキリングを起こせるのか。もちろん他のチームでも、さっき言った勢いとか一体感の大切さは同じだと思うから、そのへんにも注目してほしいですね。

【1回戦】5月26日(土)、27日(日)
【2回戦】6月6日(水)
【3回戦】7月11日(水)
【ラウンド16(4回戦)】8月22日(水)、一部予備日 9月26日(水)
【準々決勝】10月24日(水)、11月21日(水)
【準決勝】12月5日(水)
【決勝】12月9日(日)

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