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【ピッチサイドストーリー】家庭から育んだ“ONE TEAM”~第28回全日本高等学校女子サッカー選手権・前橋育英高校
2020年01月06日
第28回全日本高等学校女子サッカー選手権大会が1月3日(金)に開幕し、連日熱戦が繰り広げられている。ここではピッチサイドで試合を応援する方々にスポットライトを当て、ピッチ上に秘められたストーリーをお届けする。
1回戦 2020年1月3日(金)/三木総合防災公園第2陸上競技場
前橋育英 0-1(前半0-1、後半0-0)日ノ本学園
残念な結果になった試合が終わってから40分後、悲しみの分だけ重くなった体で競技場から出てきた選手たちを、次々に強く抱きしめる女性がいた。前橋育英をキャプテンとして引っ張った野口珠里選手の母、真里さんだ。
「うちの子は、キャプテンというようなタイプではないんです」。真理さんは、そう謙遜する。「それでも、やってこられたのは、やはり同級生の3年生、下級生が常に支えてくれて、保護者の方たちが応援してくれていたからです」。選手たちを抱きしめる姿から、その思いが伝わってきた。
今年の前橋育英は激戦区の関東を1位突破した。全国優勝経験のある十文字に競り勝ち、決勝では全国常連の修徳を下した。意気込んで臨んだ全国大会では日ノ本学園に敗れ、「強いチームに比べたら技術的にはまだまだなんです」と真里さんは語るが、自慢できることもある。
「とにかくチームワークで戦ってきました」
その“ONE TEAM”精神の源は、家庭にある。真里さんの朝は、4時50分に始まる。学校へ向かう娘のためにお弁当をつくるためだ。5時40分には、夫が娘を車で駅まで送る。早朝から連携プレーに乱れはない。
学校ではチームの先頭に立たなければいけないキャプテンも、帰宅すれば一人の女子高生だ。弱音がこぼれることもある。「何でも聞くから家で話して、と言ってきました」。サッカーに関しては、夫と息子が娘の悩みにアドバイスを送った。
過去3度この大会を制した日ノ本学園を相手に、堂々たる戦いぶりだった。そして試合後、応援団の前に整列して代表としてあいさつするキャプテンは、涙をこらえて最後の務めを全うした。
競技場から出てきた選手たちが、入り口に並んで笑顔で家族が押すシャッター音に応える。もちろんその中には、笑顔を浮かべるキャプテンがいた。真里さんは、そんな娘を少し離れたところから見つめた。「本当に立派な娘です。本当に誇りです」。きっと珠里選手も、お母さんたち家族を、誇らしく思っているはずだ。
第28回全日本高等学校女子サッカー選手権大会
大会期間:2020年1月3日(金)~2020年1月12日(日)
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)