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S級コーチ養成講習会2021 Module1・集中講習① 受講者レポート Vol.2
2021年04月30日
S級コーチ養成講習会は4月11日からの6日間の短期講習を終え、19日(月)から高円宮記念JFA夢フィールドでの集中講習が始まりました。講義会場では常に換気を十分に行い、受講生同士の間隔を広く取りながら基本的な感染予防対策を徹底しました。
2020年から導入したスポーツインテグリティの講義では、指導の現場でハラスメントが起こる原因から対処まで、法律的な側面も交えてディスカッションを多く取り入れながら考える機会となりました。
Module1・集中講習①
期間:4月19日(月)~4月22日(木)
4月19日(月) | 午後 JFAの取り組み:田嶋幸三会長 短期講習①振返り・ディスカッション |
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4月20日(火) | 午前 指導実践 午後 スポーツインテグリティ:佐藤大和、山本健太 (レイ法律事務所) |
4月21日(水) | 午前 指導実践 午後 フットサル日本代表の取組み:ブルーノ・ガルシア フットサル日本代表監督 |
4月22日(木) | 午前 指導実践 午後 ブレインストーミング:宇佐美誠(京都大学教授) プロフェッショナルコーチング論:鈴木淳(JFA指導者養成ダイレクター) |
受講者コメント
今矢直城 さん
S級講習会は今週から場所を千葉に移し、天気にも恵まれたなかで、高円宮記念JFA夢フィールドで指導実践と講義が行われました。
集合後には田嶋会長からJFAの取り組みに関してお話がありました。デットマール・クラマーさんが来日された時の経緯を聞くと胸が熱くなる思いでした。1960年に西ドイツサッカー協会から派遣され、費用は全て西ドイツサッカー協会側持ちで、日本としては全てを与えられた状況。年月が過ぎた今は、日本サッカー協会がアジアの国と地域へ指導者派遣を行っています。それによって他のアジアの国がより強くなるかもしれないけれど、自分たちが与えられたものを他に与えることで恩返しをしていくというお話は響くものがありました。もらうより与えることの方が大事だということを再認識できた気がします。指導者として与えるためには、学ぶことを辞めず知識を得られないと与えられるものは限られてくると今回の講習でも感じます。
もう一つ印象的だったのは2018年のFIFAワールドカップの話です。監督交代のお話から短いビデオを視聴しながらの大会振り返りとベスト16までの道。あらためて監督としての難しさや計り知れない重圧があったのだろうと感じました。JFAが大事にしてきたフェアプレーで、最後グループリーグ突破を分けたのは全て同ポイントで並んだセネガルとの警告枚数の差。フェアプレーポイントが適用されて日本代表はベスト16へ進み、グループリーグ最終戦のポーランド戦は皆さんもご存知の通り0-1のスコアの状態で最後の時間帯は時間稼ぎという選択をすることになりました。
映像で流れたのは西野朗監督のインタビュー。
「私としては不本意です」
そしてベルギー戦後のインタビューでは空を見上げるように「何が足りないんでしょうね...」と伝えた西野さん。その表情には少なからずすでに答えがあったのかもしれないと感じました。
指導者としてのプレーモデルや哲学は人生そのものの哲学と一緒なのかなと思います。この日は忙しいにも関わらず現代表監督の森保さんも顔を出してくれて、激励と日々の指導者たちの活動への感謝の言葉を述べてくれました。国を代表して監督する人の一言一言や動作には凄まじいエネルギーが込められていました。
火曜日の朝からは、7つのテーマをもとに再び指導実践が始まり、色々な方々の指導を見たり、お話を聞くことのできるこの環境に本当に感謝しています。インストラクターの方々からは様々な角度で気付きを提供していただき、そのゲーム分析は本当に正しいのか?選手を良くするための指導なのか?リアリティーとクラリティーのバランスはどうだ?などなど、ものすごく日々勉強になっています。受講生たちが自らもっと気付けるようにしていきます。
午後の講義に来ていただいたレイ法律事務所の講師たちからはスポーツインテグリティについて掘り下げていただきました。その中で、ディスカッションの前に1分間自分でまず考えるという方法は非常に参考になり、私も今後使いたいなと思いました。フットサル日本代表監督のブルーノ・ガルシアさんからは、贅沢にも講義と実技を披露していただき、丁寧かつ情熱をもって貴重な時間を我々に使っていただきました。そして来週もお越しいただける京都大学の宇佐美教授からはブレインストーミングをテーマに発言型講習があり、今から第2回目を非常に楽しみにしています。
文章では語り切れない程の学びと気付きがあり、このコースが実現するためにサポートしていただいてる全ての人に感謝します。指導者としてまた人として成長し、自分がどのような指導者になれるかを想像すると非常にワクワクします。そのためには自分らしさを忘れずに、実際に今自分がJリーグの監督だったら同じことをするかどうかを考えながら挑みたいと思います。