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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第52回 平田礼次フィリピンユース育成ダイレクター
2021年06月22日
フィリピンで4シーズン目の活動
2018年2月にフィリピンサッカー連盟(PFF)に赴任して今年で4年目に入り、フィリピンの文化、習慣にもすっかり慣れました。友人にも恵まれ、多くの信頼関係も構築されてきたと感じております。特にPFFのスタッフやユースナショナルチームのコーチたちはとても明るく優しくいつも私をサポートしてくれています。
私はユース育成部門の責任者として主にフィリピン国内でJFAのトレセン制度にあたるTAD(トレーニング エリア デベロップメント)プログラムの立案、開設、拡大を主な活動として、また同時にユース年代の代表チームのコーチングスタッフの人選、選手選考、分析、合宿のサポート、ゲームモデルの作成・共有などを行い、充実した時間を過ごしております。
そんなフィリピンでの最初の2年間はあっという間でした。ユース年代の代表チームの監督やアシスタントコーチなどを兼任しながらもフィリピン全土を巡回しました。TADプログラムの説明会開催やローカルのサッカーフェスティバルから主要大会など多くの活動を通してフィリピンサッカーの現状を分析しました。その分析をもとにTADプログラムの詳細を固め、最初の一歩を踏み出すことができました。
コロナ禍でのフィリピンユースサッカー
2019年には2つの地域でTADプログラムが開始され、2020年に8地域での開設も決まっていた中で新型コロナウィルス感染拡大の影響のため2020年3月から全てのサッカー活動が中断となりました。しばらくはローカル地域との連絡さえもうまくいかず苦戦しましたが、2021年にはオンライン上で8地域とのTADプログラムをスタートできました。
フィリピン国内では教室での対面授業が未だに再開されておらず、未成年者の外出も厳しく制限されています。コンタクトスポーツのチーム活動と大会は全て中止となっており、フィリピンの選手たちは1年3ヶ月以上チーム練習と試合ができていません。
私たちが今できることは選手たちの心がサッカーから離れてしまわないよう、オンラインを通して出来るだけポジティブなメッセージを発信することだと思います。そこで栄養学の専門家やフィジカルコーチの講義などもTADプログラムオンラインウェビナーに組み込み、ピッチでの活動再開を待っています。
また同時にアセアン、アジアの国際大会に参加するためのユースナショナルチーム(男女U-19およびU-16)の選考会をオンラインで開催する試みを続けています。オンライン上での選考は限られた内容になるため大変難しいですが、コーチたちと一緒に積極的な姿勢で取り組んでおります。
明るいフィリピンサッカーの将来
今回のコロナ禍はフィリピンサッカーにも大きな影響を及ぼしています。しかしオンラインでの活動で交流を持てたことで、特にTADプログラムへの理解と協力が深まったと思います。ユースナショナルチームについてはコーチたちとフィリピンユースサッカーについての哲学やゲームモデルを共有できる時間も多くありました。ワクチン接種が進み、教室での対面授業が再開されれば、ピッチでのプレーができるようなると期待をしています。オンラインで繋がった各地域に直接出向くことで、ユースナショナルチームのピッチでの選考会ができます。各地域の選手、コーチたちと会えることが今からとても楽しみです。
フィリピンには多くの選手たちが発掘されず埋もれてしまっているので、このTADプログラムを通して更に良い選手たちが発掘、育成、輩出されることが期待されます。
またコロナ禍以前から国内大会でもリーグ戦文化への理解が進んできていることも将来の良い材料の一つです。
まだまだコロナ禍を我慢する時間も続きますが、フィリピンサッカーの未来は大きな可能性があり明るいと実感しています。
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