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【経験者が語るアジア最終予選】田中マルクス闘莉王さんインタビュー「先を見ないで一試合、一試合」
2021年10月06日
SAMURAI BLUE(日本代表)の一員としてFIFAワールドカップアジア最終予選を戦った選手たちに話を伺う「経験者が語るアジア最終予選」。第1回は闘志あふれるプレーでチームをけん引した田中マルクス闘莉王さんに話を聞いた。
※このインタビューは2021年9月28日にオンラインで実施しました
――闘莉王さんは、FIFAワールドカップのアジア最終予選を勝ち抜く難しさをどのように感じていますか。
闘莉王 ここ数年、サポーターやファンの方々は、ワールドカップに出場することが当たり前になってきたと思っているかもしれません。しかし、最終予選には強いチームしか残っていませんし、アウェイで戦う難しさもあります。日本はいつも厳しいグループに入りますから、今回の最終予選も厳しい戦いになると思っています。
――その最終予選の初戦、日本はオマーンに敗れる波乱のスタートとなりました。これからの戦いを勝ち抜くためには、どのようなことが大切になってきますか。
闘莉王 最終予選は長丁場ですが、先を見ないで一試合、一試合戦っていくことが求められます。最も重要なのは、有利なホームで勝点を取ることです。そういう意味でオマーン戦での敗戦は反省しなければなりませんが、2戦目は厳しいアウェイで中国に勝ち、イーブンに戻したように思います。
――この10月のサウジアラビア、オーストラリア両代表戦が最初のヤマ場になりそうですね。
闘莉王 日本がいるグループの組み合わせを踏まえて、日本、オーストラリア、中国、サウジアラビアで本大会への出場2枠を争うことになるだろうと予想していました。サウジアラビアは対戦する4カ国で最も力があるチーム。日本にとって彼らとの直接対決は重要な一戦になります。サウジアラビア戦は常に厳しい戦いを強いられます。日本としては戦いにくい相手だと思いますし、アウェイになると、より難しい試合になるはずです。そういうことも含めてこの試合の持つ意味は大きく、直接対決に勝てば勝点3以上の価値が得られるともいえます。
――闘莉王さんはAFCアジアカップ2007の予選でサウジアラビアと2試合戦っています。代表初ゴールを記録したのもサウジアラビア戦でした。
闘莉王 PKを外したのも、サウジアラビア戦ですけどね(苦笑)。個人技に優れたFWがいたり、カウンターアタックが鋭かったり、オッと思わせる選手がいる相手でしたね。本当に戦いにくい相手です。うまくいけば、スムーズに勝てる試合もありますが、ふたを開けてみないと分からないチームでした。相手に関する情報が入ってこないこともありましたし、いろいろな意味で苦戦を強いられました。
――一方、オーストラリアは近年、FIFAワールドカップ最終予選のたびに日本の前に立ちはだかる強豪国です。
闘莉王 現在のオーストラリアは、僕が対戦したときのチームとはプレースタイルが少し異なると感じています。以前はサイドから攻撃を仕掛け、FWの高さを生かす印象でした。ですが、最近はそこから脱却しようとしています。パスをつないで組み立てていくスタイルに変わりつつありますが、まだ発展途上というか、サッカーに少し迷いがあるようにも思います。日本はそこに勝機を見いだせるかもしれません。
――闘莉王さんと、ティム・ケーヒル選手やジョシュア・ケネディ選手とのマッチアップには見応えがありました。
闘莉王 どんな状況も一発でひっくり返せるFWがいたので、「ミスをしてはいけない」というプレッシャーが常にありました。南アフリカでのワールドカップを目指して戦っていた2009年、オーストラリアとのアウェイゲームでは先制して良い試合をしていたにもかかわらず、最後はケーヒル選手に2得点を許してしまいました。ああいう一発がある選手たちがいたからこそ怖かったし、戦いにくかった。しっかり守っていても、「えっ、こんなゴールを決めてしまうのか」と守る側が心を折られるようなチームでした。今のオーストラリアは独力で試合を決められる選手を欠いているのかもしれませんが、彼らもワールドカップの常連国ですので、直接対決を落とすことはできません。
――最後に、日本代表の後輩たちにエールをお願いします。
闘莉王 日本代表は、ワールドカップのグループステージを突破することが最低限のノルマといわれるまでに成長しました。最終予選の厳しさは、経験者としてよく理解しているつもりですが、僕は、選手の皆さんが力を合わせてアジアを突破し、ワールドカップの舞台で活躍することを一人のサッカーファンとして期待しています。
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