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前回優勝の藤枝順心高校OG特別対談~杉田妃和選手(INAC神戸レオネッサ)×柳瀬楓菜選手(サンフレッチェ広島レジーナ) 第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会
2022年01月02日
第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会が2022年1月3日(月)に開幕します。ここでは前回大会で優勝した藤枝順心高校出身の杉田妃和選手(INAC神戸レオネッサ)と柳瀬楓菜選手(サンフレッチェ広島レジーナ)による対談をお送りします。
○オンライン取材日:2021年11月16日
――お二人は藤枝順心高校(静岡)の先輩と後輩にあたりますが、互いに面識はありますか?
杉田 WEリーグのプレシーズンマッチで対戦したことがありますけど、話したことはあまりないよね。
柳瀬 でも藤枝順心のOG戦に妃和さんが来てくれて、その時にちょうど妃和さんと私がマッチアップするポジションだったの覚えてますか?
杉田 それはイブ(長江伊吹/I神戸=藤枝順心出身)が3年の時かな? あの日はすごく寒かったよね。覚えてるよ。
柳瀬 そうです、私が2年の時です。私がボールを奪いに行ってるのに、こちらが吹き飛ばされそうなくらい妃和さんの体幹が強くてびっくりしました。全然ボールを取れませんでした。
――お二人は1年生の時から高校女子選手権に出場しています。その時はどのような気持ちでプレーしていましたか?
杉田 私は3年間で1度も優勝まで手が届かなかったのですが、1年生の時から試合に出させてもらって、その時は高校女子選手権が3年生にとって最後の大会とは分かっていたのですが、どう捉えればいいのか、いまいち理解していなかったように思います。勝ちにはいかなければと思っていましたけど、初めての大きな大会で、今思えば3年の時と全然違う気持ちでしたね。
柳瀬 私はパスサッカーや相手によって攻撃の方法や戦い方を変える、藤枝順心のサッカーを見て魅力を感じて藤枝順心に入りました。千葉玲海菜さん(筑波大学=藤枝順心出身)がキャプテンをしていた第26回大会(2017年度)の決勝を見に行って、その舞台にすごく憧れていました。でも、1年生の時の高校女子選手権はあっという間に終わってしまったことを覚えています。常盤木学園高校(宮城)との1回戦で負けてしまったんです(0-0、PK2-4)。
杉田 私も1年の時は、常盤木にPK戦負けでした。静岡県磐田市が開催地で、雨が降る中での試合でしたね。寒いのは苦手だから手袋とか防寒はしてたんですけど、まったく意味がなくて、しかも負けて……。自分にとっては嫌な思い出になってますね(苦笑)。
――二人は3年時にキャプテンをしたという共通点もあります。
杉田 自分はキャプテンっぽくないキャラなので、みんなをまとめたり、チームを引っ張ったりするタイプじゃないんですけどね。
柳瀬 でも「妃和さんは背中で引っ張っていくタイプのキャプテンだった」って聞きましたよ。
杉田 いや、そんなカッコいいものじゃないよ。でもキャプテンをやるからには手を抜くのは嫌いなので、練習から一生懸命100%の力で厳しくやりたいとは思っていました。
柳瀬 妃和さんを始め、歴代のキャプテンたちが偉大すぎるので、本当に自分なんかがキャプテンで大丈夫かなと思っていました。私もキャプテンというキャラじゃないですから。
杉田 私の場合は、自分のスタイルをそのまま継続していいんだよと、背中を押してくれるチームメイトがいたので、本当にチームメイトに助けられました。
柳瀬 本当に私も周りのサポート無しでは、キャプテンを続けられなかったです。実は昨年度の高校女子選手権の1~2週間前、自分たちがやる気がなかったわけじゃないんですけど、コーチに「チームが全然まとまってないけど大丈夫?」と言われて、チームがまとまるって何だろうと悩みました。大会に入って、準々決勝の修徳高校戦(東京)で勝ったことで、ようやくチームがまとまりだしたと感じました。
――せっかくの対談の機会なので、お互いに質問はありますか?
柳瀬 妃和さんに一つ質問してもいいですか? 高校を卒業してWEリーグチームに入ってみると、うまくいかないことや力の差を感じているんですけど、どうしたらいいですか?
杉田 自分もその道を通ってきたので、すごくその気持ちが分かるよ。自分も1年目は澤穂希さん(元I神戸)をはじめ、なでしこジャパンのレギュラーメンバーの方々がたくさんいて、試合に出るというよりもまずベンチ入りがすごく難しかったから。I神戸の1年目に、とあるインタビューで「サッカーは楽しいですか?」と聞かれた時にも、「全然楽しくない」と答えてしまうくらい、サッカーを楽しめてなかったよ。
柳瀬 その状況、どうやって打開したんですか?
杉田 でも何で楽しめていないのかを振り返ってみると、自分が遠慮していたりとか、局面で戦えていないところがあったなと気付いたんだよね。先輩と比べると経験も少ないから、うまくいかなくて当たり前だけど、それにチャレンジしないのは当たり前じゃないから、できる限りのことをやって自分の良さをどんどん出すしかないと思ったね。だから仮に1年目はうまくいかなくても、絶対に次のシーズンはそれまで以上の闘争心とか野心剥き出しで頑張ってたね。
柳瀬 いやぁ、響きました。
杉田 本当に?(笑)
柳瀬 本当です! 高校3年の時は自信満々にプレーできていたんですけど、WEリーグの世界に入ると、周りの選手のレベルが高くて、正直ちょっとだんだん自信がなくなってきていて……。
杉田 それはS広島Rと対戦するときに攻め込むチャンスってことかな?
柳瀬 いや、その頃にはしっかり自信を取り戻してると思いますよ。いま、先輩からすごくいい言葉をもらったんで。ここから化けちゃうかもしれませんね!
杉田 対戦が楽しみになってきた。
柳瀬 もし逆サイドだったら、妃和さんと同サイドに行くかもしれませんから、気をつけてください(笑)。
――最後に、高校女子選手権への出場選手に向けて、エールやメッセージをお願いします。
杉田 3年生にとっては高校生最後の公式戦で、1、2年生は「チームの足を引っ張ったらまずい」と感じることもあると思いますけど、試合が始まったらサッカー本来の楽しさを味わってほしいです。本番で楽しさを味わうためには、普段の練習や練習試合から自分の良さを出せるようにしておくことが大切だと思います。自分の楽しいと思うプレーをぶつけてほしいです。
柳瀬 私も一番は選手に楽しんでもらいたいです。自分はあまり緊張するタイプじゃないので、円陣の時でも笑顔で周りに声を掛けて、みんながのびのびプレーできる雰囲気をつくっていたつもりです。そういう声掛け一つでチーム全体が変わると思うので、大舞台をみんなで楽しむつもりで臨んでほしいですね。
※本対談の全編は、試合会場などでご購入いただける大会プログラムに掲載しています。
第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会
大会期間:2022年1月3日(月)~2022年1月9日(日)
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)