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「情熱は指導者の原動力と言える」西川誠太JFA指導者養成ダイレクターが語る指導者の魅力

2022年02月21日

「情熱は指導者の原動力と言える」西川誠太JFA指導者養成ダイレクターが語る指導者の魅力

西川誠太JFA指導者養成ダイレクターが考える指導者とは

日本サッカー協会(JFA)では、指導者のレベルアップのために、ニーズに合わせた指導者養成講習会や、学び続けるためのリフレッシュ研修会などを開催し、指導者養成を推し進めています。ここでは西川誠太JFA指導者養成ダイレクターに、指導者の存在や役割、指導者が大切にすべきこと、また指導者養成講習会の在り方などについて聞きました。

情熱は指導者の原動力と言える

――日本サッカー全体の中で、指導者はどのような存在だとお考えでしょうか。

西川 JFAは代表強化、ユース育成、指導者養成、普及の“四位一体”を掲げていますが、その全てにおいて指導者が鍵になると思います。普及で考えると、全国のどこにいても指導者と巡り会えるようにしておかなければいけないですし、巡り会った指導者がサッカーの楽しさを伝えられる人物であれば、その後のサッカーとの関わり方も大きく変わるはずです。また、ユース育成においては、選手やチームを成長させられるかどうかは指導者にかかってきますし、代表強化に関しても、これからは日本のトップレベルの指導者が海外で活躍することも求められてくると思います。そう考えると、指導者養成というのは非常に大事な要素になると思っています。

――では、指導者の役割とはどういったものでしょうか。

西川 選手のサポートに尽きると思います。選手が楽しくサッカーをできるように、また選手やチームがより成長するための手助けをすること。それは対象が大人であっても子どもであっても変わりません。楽しませたい、成長させたいと思うからこそ、指導者は選手にとってより良い環境を作ろうとするわけです。選手の安全面の確保もそうですし、さまざまな知識を吸収して自らの指導力も向上させる、それら全てが良い環境につながってきます。

――指導者としてのやりがいや、魅力を感じる部分を教えてください。

西川 選手を楽しませる、選手やチームを成長させるという役割を遂行できたときは、大きなやりがいを感じます。選手が笑顔でプレーしたり、喜んだりしている姿を見られればうれしいですし、個々の選手が上達したり、自立して大人になっていく、あるいはチームが一丸となり、強くなっていく様子を確認できたときは、やっていて良かったなと思いますね。その光景が見たくて、指導者は必死に練習メニューを考えたり、いろいろな声かけをしたりしているのではないでしょうか。

――指導者にとって最も必要な能力は何だと思いますか。

西川 一番大事なのは、情熱だと思います。実際、指導者に必要な能力を挙げればきりがありません。サッカーの知識やコーチングスキルなどサッカーに関わることはもちろん、心理学や栄養学、医学などサッカー以外にもアンテナを張らないといけないですし、周囲の人とも良い関係を構築するために社会性や協調性を備える必要もあります。とはいえ、情熱さえあれば、その知識やスキルを蓄えようとしますし、指導力を上げようともします。また、どうすればチームや選手をさらに成長させられるかを考え続け、試行錯誤し続けられます。情熱は、まさに指導者の原動力と言えると思います。

指導者講習会は自分を再構築する場

――ライセンスを取得する指導者養成講習会はどのような場だとお考えでしょうか。

西川 指導者をしていると、指導を自分で突き詰めていくし、経験則も増えていき、どうしても自分だけの世界観になりがちです。指導者養成講習会では、そうした指導者が一堂に集まるので、自分のチームにとっての“当たり前”が、他のチームにとってはそうではないことに気付きます。ですので、自分自身を見つめ直し、またさまざまな人たちと接することで自分の幅を広げ、スクラップ&ビルドというか、指導者としての自分を再構築していく場と捉えることができると思います。

――指導者養成講習会で重点を置いていることとは?

西川 受講者の経験や見ているもの、感じていることを大事にしています。インストラクター(講師)が一方的に何かを教えるのではなく、双方向で意見交換しながら、実際の指導現場で取り組んでいること、そこで起きる問題、受講者の抱えている課題などを扱う形で講習会を進めています。

――指導者への入り口となるD級やC級にはさまざまな方が参加されています。

西川 ヨーロッパでは、自分で何百試合とサッカーをした人がライセンスの取得に動くことが多いですが、日本ではお父さんやお母さんコーチが、自分がサッカー経験者ではなくても、子どもがサッカーを始めたことをきっかけにライセンスを取得しに来てくれるケースも見られます。もうそれだけでも幅が広いですよね。未経験者とは言っても、子どもを育てる経験、勤務先で部下に教える経験、上司や得意先との関係性を築く経験などもしているはずなので、コーチングの経験があります。講習会でそれらを共有することで、経験者・未経験者問わず全員により有意義な場になると思っています。

――ライセンス取得後にはリフレッシュ研修会なども開催しています。

西川 いつでも、どこでも、誰でも学べる環境を創りたいと思っています。指導者ライセンスを取得した方に対しては、知識や情報を更新し、継続的にレベルアップを図るべく、リフレッシュ研修会を開催しています。例えばD級やC級を取得した方であれば、リフレッシュ研修会に参加する、またはさらに上のライセンスを目指すという流れになります。自らの指導スキルを上げたいと思っている方は大勢いると思いますので、今後、学びたいと思ったときにリフレッシュ研修会なども活用してできるだけ学べる場を多く提供していきたいと考えています。

――指導者や指導者養成講習会に興味がある方へのメッセージをお願いします。

西川 サッカー未経験者には敷居が高いと感じるのかもしれませんが、優秀なインストラクター陣があなたをサポートしてくれます。また、サッカー経験者にとっても、自分を見つめ直し、また指導者としての幅を広げるチャンスになると思います。
 講習会は選手を守るため、自分を高めるためのサポートを必ずしてくれます。
一度でも講習会を経験していただければ「もっと学びたい」と思っていただけるはずですので、ぜひ気軽に受講していただき「学ぶ」楽しさに触れていただきたいです。

西川 誠太(にしかわ せいだい)JFA指導者養成ダイレクター

出身地:千葉県
生年月日:1977年1月2日生
資格:S級コーチライセンス

【指導歴】
1999年~2000年 筑波大学蹴球部アシスタントコーチ
2001年 筑波大学蹴球部ヘッドコーチ
2002年~2006年 埼玉栄中学校サッカー部監督
2007年~2017年 平成国際大学サッカー部監督
2007年~2008年 埼玉県大学選抜コーチ
2009年~2010年 埼玉県大学選抜監督
2012年 関東大学選抜コーチ
2013年~2014年 関東大学選抜監督
2016年 U-19全日本大学選抜コーチ
2018年~2021年 日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチ
2021年 日本サッカー協会ユース育成サブダイレクター
2022年~ 日本サッカー協会指導者養成ダイレクター

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