ニュース
次の100年に向け、新たなスタート ~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.17~
2022年04月07日
7大会連続7度目のFIFAワールドカップ出場
3月24日、シドニーのスタジアムオーストラリアでSAMURAI BLUE(日本代表)とオーストラリア代表との最終予選(Road to Qatar)が行われ、グループB 2位の日本は同3位のオーストラリアを2対0で下し、ベトナムとの最終戦を残してグループ2位以内を確定させ、7大会連続7度目のワールドカップ出場を決めました。5日後の29日には埼玉スタジアム2002に4万4600人の観客を迎え、ベトナム代表と相まみえました。最終予選ではこれまで埼玉スタジアムで3試合を行いましたがいずれも観客数の制限がありましたので、今回、大勢のお客さまが入ったスタンドに選手たちの高揚感が見て取れました。森保一監督以下、SAMURAI BLUEは大勢の観客が見守る中、最後の最後まで勝利を追い求めてくれました。残念ながら引き分けで終わってしまいましたが、スタンドの応援はチームに力を与えてくれました。
森保監督、選手、スタッフをはじめ、これまで代表選手たちを送り出してくれたJクラブやヨーロッパ各国のクラブ、そして、少年時代から彼らを育ててくださった全国の指導者の皆さん、苦しい時も支えてくれたファン・サポーターの皆さんに心からお礼を申し上げます。コロナ禍の厳しい中で予定通り開催できたことは、日本政府や埼玉県をはじめとする開催地の自治体、ボランティアなど多くの関係者の努力のおかげと感謝しています。
次のワールドカップではこれまで以上の成績を残すことが求められます。新型コロナウイルス感染症はまだ収束の兆しが見えませんが、まん延防止等重点措置が3月21日の期限をもってすべての地域で解除され、スタジアムに多くのサッカーファミリーの皆さんが戻ってきます。本大会まであと約8カ月、新たな金字塔を打ち立てるべく、多くの皆さんと心を一つにして良い準備を進めてまいります。これからもご支援いただきますようお願い申し上げます。
そして4月1日、FIFAワールドカップカタール2022の組み合わせ抽選会がカタールのドーハで行われ、第3ポットの日本は、スペイン、大陸間プレーオフ勝者(コスタリカまたはニュージーランド)、ドイツが同居するグループEに入りました(組み合わせはこちら)。
ドイツは、1960年のデッドマール・クラマーコーチの時代から実に多くのことを学んできましたし、私も留学して指導者として勉強させていただきました。私が今あるのもドイツに留学し、先進国のサッカーを学んだおかげです。スペインとは2010年にパートナーシップ協定を結んでから指導者養成やユース育成などにおいて協力関係にあります。両者共にワールドカップ優勝経験国ですし、コスタリカもニュージーランドも力をつけてきています。日本はまだ第3ポットのチーム、どのグループに入っても厳しい戦いを強いられることに変わりはありません。初戦で自分たちの実力を発揮して勝点を取ることができるか。強豪国ぞろいですが、チャンスはあると確信しています。
本大会まであと約8カ月、新たな金字塔を打ち立てるべく、多くの皆さんと心を一つにして良い準備を進めていきます。これからもご支援いただきますようよろしくお願いします。
次の100年に向けて新しいJFAをつくる
3月27日に開催された日本サッカー協会(JFA)定時評議員会において理事として選任され、その後の新理事会で4期目となる会長職を拝命しました。
思い起こせば2年前の3月29日、私は新型コロナウイルスに感染し、入院中の病院からリモートで理事会に出席して会長に再任されました。それからの2年間はコロナとの闘いでした。緊急事態宣言下で日本代表チームもJリーグも興行ができない時期があり、また、グラスルーツの活動や選手育成、指導者/審判養成事業も中止や延期を余儀なくされました。サッカーの灯を消すまいと、2020年5月に5億円を拠出して財政的に困窮するクラブやチームへの支援に乗り出し、続いて連盟・リーグなどへの支援を進めました。一方で、2023年のFIFA女子ワールドカップの招致からの撤退やFIFAクラブワールドカップ日本開催の見送り、創立100周年の規模縮小など、断念せざるを得ない事業もありました。サッカーに例えるなら、守備をしっかり固めて点を取られないようにする戦いの連続だったと思います。それでも4種年代を対象にした登録制度改革もようやく緒に就き、メンバーシップアプリ(仮称)の開発も順調に進んでいます。厳しい状況下ではありましたが、次の100年を見据えて思い切った改革にトライした2年間でもありました。
JFAはアソシエーションです。営利を目的とした事業会社とは異なり、9地域サッカー協会、47都道府県サッカー協会、各種連盟、そして全国のサッカーファミリーの集まりです。つまり、一つの“政府”と言ってよいでしょう。そのことをしっかり認識し、与えられた財産や得たものをスポーツや地域社会の発展のために有効に活用していく――。それがわれわれの存在意義だと思います。
私が長く関わってきた代表強化や育成、グラスルーツなどが本当に正しい方向に進んでいるか検証する必要がありますし、シーズン制のことだけではありませんが、“世界”を目指すためのカレンダーを作っていくということも非常に重要な課題だと考えています。また、女性役員の登用やSDGs(持続可能な開発目標)の達成のための各種活動も積極的に推し進めていく必要があります。
これからの2年間は、次の100年に向けたスタートの始まりです。SAMURAI BLUEのワールドカップ出場権獲得はそれら改革を進める上で強力な推進力になると思います。守るべきものはしっかり守り、変えるべきところは変えていく、それを理事、評議員の皆さまと議論しながら進めていく考えです。私にとって最後の任期となりますが、最後までしっかりJFAの舵取りをし、新しいJFAをつくっていきたいと考えています。
今後の2年間でやるべきこと
Misson1.サッカーファミリーを1000万人にする | Misson2.FIFAワールドカップで優勝する |
---|---|
登録制度改革 ●小中学生の登録料を無料化 ●移籍のスムーズ化 ●クラブ数・チーム数の増加 ●健全育成クラブ・健全育成リーグ基準の導入 |
Japan's Wayの確立 ●指導者養成改革とエリートコーチの国際化 ●レフェリーのレベルアップと国際化 ●コンペティションカレンダーの最適化 |
グラスルーツ ●キッズ ●持続可能な部活動 |
魅力ある強い代表 ●Jリーグとの協働 ●代表チームの継続的強化 ●育成の強化 |
Football for All ●指導者・審判員の養成 ●障がい者―多様性推進 |
関連情報
関連ニュース
- JFA 2022/01/01 2022年、次の100年に向けて ~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.16~
- JFA 2021/03/17 ニューノーマル時代のスポーツ、その発展に向けて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.15~
- JFA 2021/01/01 JFA創立100周年を迎えて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.14~
- JFA 2020/06/21 父の日に思う~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.13~
- JFA 2020/01/01 オリンピックイヤーの幕開け【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.12
最新ニュース
- 日本代表 2024/12/19 組み合わせ決定 ビーチサッカー日本代表 AFCビーチサッカーアジアカップタイ2025
- 日本代表 2024/12/19 選手変更のお知らせ ビーチサッカー日本代表候補 国内トレーニングキャンプ(12.16-22@沖縄/宜野湾市)
- 日本代表 2024/12/19 追加招集選手のお知らせ フットサル日本女子代表候補 国内トレーニングキャンプ(12.18-21@千葉/高円宮記念JFA夢フィールド)
- 日本代表 2024/12/18 保田堅心選手離脱のお知らせ U-19日本代表候補 国内トレーニングキャンプ(12.16-19 @千葉/高円宮記念JFA夢フィールド)
- JFAスポーツマネジャーズカレッジ 2024/12/18 2024年度SMCサテライト講座 in 栃木(2025年2月)受講生募集