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大橋浩司&小野剛技術副委員長に聞くFAコーチの存在意義

2022年04月22日

大橋浩司&小野剛技術副委員長に聞くFAコーチの存在意義

日本サッカー協会(JFA)は4月4日(月)から5日(火)にかけて高円宮記念JFA夢フィールドでFAコーチ研修会を実施しました。47FAで活動するFAコーチが一堂に会する年に一度の機会であり、今回は、FAコーチにキッズのサポートにも関わってもらいたいという趣旨でキッズリーダーインストラクター向けの研修、地域の課題解決に向けて実技やディスカッションを行いました。ここでは2020年から配置されているFAコーチの存在意義や展望について、大橋浩司技術委員会副委員長と小野剛技術委員会副委員長に聞きました。

○オンライン取材日:2022年4月5日

――全国47都道府県のサッカー協会(47FA)にFAコーチを配置した経緯を教えてください。

大橋 JFAは2050年までにFIFAワールドカップで優勝することを目標に掲げていますが、日本代表を強化するだけではその目標にたどり着くことはできません。キッズやシニア、女子、インクルーシブも含め、サッカーファミリーを増やさないと、世界のトップにはたどり着けないでしょう。そのためには子どもたちが安心・安全にサッカーに取り組める環境を整備し、選手や指導者を育てるための取り組みが必要です。JFAコーチ(旧ナショナルトレセンコーチ)は各地域に1人ずつ、合計9人いますが、彼らの力だけではなかなか各地域の取り組みを深めていくことができません。その状態を改善して日本サッカーを底上げするために47FAの専任化を計画し、必要に応じてJFAが補助金を出すという事業を2年前にスタートさせました。

――FAコーチにはどのような存在意義があるのでしょうか。

小野 日本サッカー界の歴史を振り返ると、どちらかというとJFAが大きな方向性を決め、47FAと力を合わせて具現化させていくといった形で数々の改革に取り組んできました。
しかしこれからは、全国一律というよりも47FAがそれぞれの独自性を持って自分たちのプランを掲げ、積極的に推奨していくことが、日本サッカー全体のレベルを押し上げていくことにつながると考えています。そして、この点において非常に重要な働きを期待しているのがこのFAコーチだと考えています。

――4月に1泊2日の日程でFAコーチ研修会を実施しました。どのような内容の研修会だったのでしょうか。

大橋 FAコーチの方々は、それぞれ違った課題に取り組んでいます。その中で様々な事例について意見交換が必要でした。今回の研修会は、各FAコーチの取り組みと、どのような好事例があるのかを共有し、横のつながりを強めていくことが第一の目的でした。また、FAコーチと各地域のまとめ役であるJFAコーチとも顔を合わせ、意見交換し合うことも重視しました。もう一つ、FAコーチの方はキッズリーダーインストラクターの資格をお持ちでない方が多かったので、ライセンスを取得していただきました。

――FAコーチが一堂に会した雰囲気はいかがでしたか?

大橋 膝を交え、顔を合わせて研修会をやることは重要だと改めて感じました。各FAでの好事例を話していただいたのですが、このレベルでこういうことをやらなければならないんだ、というのを目の前でプレゼンしていただき、FAコーチ同士で刺激を受けたようです。

小野 コロナ禍ではオンラインが貴重なツールとして根付いてきました。ただ、そのいっぽうで、「フェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションに勝るものはない」と、誰もが強く感じていたと思います。双方向での情報交換をすることで改善につなげられますし、今後それぞれ苦労し、壁に直面した時には、ここで築いたFAコーチの仲間同士の絆が支えになると思います。

――参加されたFAコーチの皆さんの反応はいかがでしたか?

小野 オンラインでずっとやってきたので集合型の研修に飢えていた部分もあるでしょうし、各FAに技術委員長、ユースダイレクター等いる中で、FAコーチとは実際「何が最も重要な役割になるのか」明確に自覚できていなかった人もいたと思います。
それが明確になり、久しぶりに他人と会ってディスカッションができたことの意義は、参加者の表情を見れば一目瞭然でした。

――いろいろな好事例も紹介されたと思いますが、特に感銘を受けたものを教えてください。

大橋 茨城県の原田精一郎FAコーチにプレゼンをしてもらいましたが、県の課題をしっかり分析し、それを克服するための組織づくりや実際にどんな取り組みをしていくべきかを事細かくプランニングされていました。10年後、20年後に向けてのロードマップが立てられていて、非常に素晴らしかったです。この2年間、コロナ禍の影響でできないことも多かったですが、その中でやれることはたくさんあったはずで、その事例を見せていただくこともできました。

――FAコーチ研修会やFAコーチの今後の展望を教えてください。

大橋 今回のような集合型の研修は、予算の都合もあって年に1回程度しかできないと思いますが、リモートで好事例などを紹介し合うことはできると思いますし、夏と冬に行っているテクニカルスタディグループの報告会に入っていただくなど、常にFAコーチと情報共有できる形を取っていくつもりです。研修会についてもどんどんカスタマイズさせ、バージョンアップさせていきたいと考えています。

小野 まずは各都道府県に適した組織を考えてくださいとお願いをしています。それぞれが自分たちのFAの強みを生かし、その独自性を持って自分たちでプランを考えて改善させていく。そして近隣の都道府県と時に競い合い、時に協力し合いながらお互いを高めていく。そのための頭脳となり、かつ、原動力となるのがFAコーチだと思います。世界一の育成システムやリーグ、代表チームを創っていく、そのために誰もが能力に応じてサッカーを楽しめる環境も創り出していく。その理想に向けて一致団結できるのが日本のサッカーファミリーだと思いますし、今回、集まってくれたFAコーチはそのためのカギとなってくれると信じています。

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