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【恩師が語る日本代表選手】谷口彰悟選手 熊本県立大津高校 平岡和徳総監督インタビュー

2022年10月24日

【恩師が語る日本代表選手】谷口彰悟選手 熊本県立大津高校 平岡和徳総監督インタビュー

SAMURAI BLUE(日本代表)の一員として活躍する選手の恩師に話を伺う「恩師が語る日本代表選手」。第4回は、Jリーグ屈指のDFである谷口彰悟選手について、熊本県立大津高校時代の恩師・平岡和徳総監督に伺いました。

※このインタビューは2022年10月19日に実施しました。

高校時代にJリーグで出場し続ける素地をつくった

――谷口選手との出会いについて教えてください。

平岡 彰悟と初めて会ったのは、彼が小学6年生の頃でした。懇意にしているテニスの指導者の方に食事に誘ってもらったのですが、お子さんがサッカーをやっていたんです。「子どものチームメイトで会わせたい子がいるんだけど」と言われて、食事場所に来たのが彰悟でした。端正な顔をしていて、きちんとしていたので、この子は良いなと思ったのが第一印象です。出会いをきっかけに動向を気にしていると、九州トレセンにも選ばれるようになっていました。中学生になり、大津高校との練習試合でのプレーを見て、「かなり将来性がある」と感じました。

――どういった部分に将来性を感じたのでしょうか。

平岡 体が大きいのに身のこなしがしなやかで、成長する選手特有の特長を持っていました。基本的な(ボールを)止める、蹴る、運ぶといったプレーもちゃんとできていました。何より、当時からピッチを俯瞰(ふかん)で見て、プレーできていました。とにかくミスが少ない選手でしたね。

――入学してからの印象は。

平岡 彰悟は中3の後半から高校1年生の途中ぐらいまで、第二次性徴を迎えた子どもがなりやすいクラムジー(※)になりました。身長が180㎝を超えて、体のバランスを崩した結果、それまでうまくできていたことができなくなっていました。休ませる指導者も多いのですが、サッカーの問題はサッカーでしか解決できないと考えているので、私は休ませなかった。ポジションを変えたり、使う時間をコントロールしながら、起用し続けました。
※成長段階で体が思い通りに動かなくなる時期

――どのような部分に高校での成長を感じますか

平岡 もともと持っていたサッカーインテリジェンスが高まりました。技術の向上はもちろんですが、アスリートとしての心身のバランスが整いました。右足首を疲労骨折し、3、4カ月ほど休まざるを得ない時期もありましたが、フォア・ザ・チームの意識が強いので、何一つ嫌な顔をせず、チームの作業をしていました。大津流にいうと、けがは他の場所を鍛える時間を神様が与えてくれたもの。プレーできない間にヘディングと上半身のウエイトトレーニングができたのが、Jリーグで出場し続ける今の素地になったのではないでしょうか。

――大学は筑波大学へと進みました。

平岡 僕の大学時代の先輩である風間八宏さんがちょうど筑波大学の監督になるタイミングでした。八宏さんも僕と同じように「彼は日本代表になる」と認識し、プレーを見た瞬間に「彼を預かりたい」と言ってくれました。大学での活躍は予想通り。ユニバーシアード代表でも活躍できたし、もともとキャプテンシーもあったので、大学でもキャプテンを任された。僕らがイメージしていた谷口彰悟という選手像は、大学の4年間でさらに充実したと思います。

――Jリーグでの活躍も平岡総監督の予想通りでしょうか。

平岡 プロに入るときに「体重をあと3kgから5kg増やさないとけがをするぞ」と話しましたが、彰悟は忠実にクリアしました。何より、中村憲剛選手や小林悠選手といったチームの主力選手が彰悟に対して適切なアプローチをしてくれたように思います。今のSAMURAI BLUE(日本代表)には川崎フロンターレから世界に羽ばたいた選手がたくさんいますが、彰悟は川崎F一筋でキャリアを進めてきました。海外でのプレーも確かに良いですが、Jリーグで勝ち続けるチームのキャプテンとして居続けるのも一つの文化だと思います。彰悟のような選手がFIFAワールドカップで活躍すると、Jリーグでも成熟できると証明するきっかけになるはずです。

――最後に、FIFAワールドカップカタール2022出場に向けて、エールをお願いします。

平岡 いろいろな人の話を聞いても、彰悟の悪口を言う人は一人もいません。ピッチでわれわれにSAMURAI BLUEにふさわしいプレーを見せるだけでなく、ピッチ外でもチームに対しての献身やリーダーシップが発揮できる人間だと考えています。今が一番、選手として脂が乗っているといいますか、フィジカルもメンタルもすごく充実している時だと思います。アスリートとしての自覚がないと、この年齢になってからの円熟味は出ません。彼がきちんと積み上げてきたという一つの証拠。今回のワールドカップで彼のキャリアがまたグレードアップすると期待しています。空中戦のエアバトラーが必要だと思うので、彰悟と共に同じ大津高校OBである植田直通(現、ニーム・オリンピック/フランス)も選ばれてほしいですね。

FIFAワールドカップカタール2022

大会期間:2022年11月21日(月)~2022年12月18日(日)
グループステージ
第1戦 11月23日(水) 16:00[現地時間] vs ドイツ代表
第2戦 11月27日(日) 13:00[現地時間] vs コスタリカ代表
第3戦 12月1日(木) 22:00[現地時間]  vs スペイン代表

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