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第71回サッカードクターセミナー オンライン開催レポート
2022年11月02日
全国の医師・歯科医師を対象としたサッカードクターセミナーが10月23日(日)、オンラインにて開催されました。
今回のセミナーは当初、千葉県サッカー協会医学委員会が中心となり、高円宮記念JFA夢フィールドにて開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症が収束しないことから、JFA医学委員会にて講師の人選を行い、オンラインのみにて開催しました。
午前は、「サッカー日本代表チームのメディカルサポートにおけるドクターの役割と実際」について、JFA医学委員で千葉メディカルセンター整形外科・スポーツ医学センター副センター長の齊藤雅彦先生による講演を行い、続いて「サッカーにおける脳振盪と育成年代のヘディングについて」の講演を、同じくJFA医学委員で東京慈恵会医科大学附属病院脊椎・脊髄センター長の大橋洋輝先生より行いました。
齊藤先生はこれまで男女の年代別日本代表チームのドクターを経験され、現在はなでしこジャパン(日本女子代表)の世話人ドクターも務めています。豊富な知見に基づく講義はこれから日本代表のみならず、何らかのチームドクターを目指す方にとっても有意義な内容で、またこれまで代表チームのドクターをご経験している方にとっても改めて認識を深めるものでした。また大橋先生の脳振盪に関する講義は、サッカーに関わる医師の皆さんにとっても興味深い内容でした。
その後は、今夏にコロナ禍で開催された海外での国際大会に参加したドクターからの帯同報告を行いました。「AFC U23アジアカップ選手権大会ウズベキスタン2022」についてU-21日本代表チームドクターの松本善企先生から、「FIFA U-20女子ワールドカップコスタリカ2022」についてはU-20日本女子代表チームドクターの本城邦晃先生からそれぞれ報告があり、現地で新型コロナウイルスと格闘しながら選手のコンディショニングに取り組み、それぞれ3位、準優勝という結果を獲得した舞台裏を共有しました。
次回(第72回サッカードクターセミナー)は来年2月4日、5日に高円宮記念JFA夢フィールド、およびJFAハウスにて、ハイブリッド形式(対面&オンライン)での開催を予定しています。
主催者コメント
齊藤雅彦 先生(JFA医学委員)
当初は高円宮記念JFA夢フィールドにて対面による講義とサッカー実技を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により前回同様オンラインで講義のみの1日開催となりました。そのような中、全国から114名の先生方にご参加いただきました。
講義では日本代表のメディカルサポートの実際、サッカー現場における重要なトピックスである「脳振盪」について、そして帯同報告ではコロナ禍での海外帯同で通常とは異なる準備や現地での対応をお話しいただき、受講された先生方には非常に有意義なセミナーになったと思います。講師の先生方には限られた時間内に貴重なご講演を賜りまして、本当にありがとうございました。
次回の第72回サッカードクターセミナーは2月4日、5日に高円宮記念JFA夢フィールドとJFAハウスにて対面での開催を予定しております。次回こそは対面で、皆様と意見交換ができることを願っています。
今回も日本シグマックス株式会社様、カールストルツ・エンドスコピー・ジャパン株式会社様にご協賛していただきましたこと深謝いたします。
受講者コメント
田村優典 先生(岡山大学病院)
第71回サッカードクターセミナーにオンラインで参加させていただきました。
私自身は大学院生で、スポーツ関連の仕事はスポットで従事している程度ですが、スポーツ医学を多方面で学べ、また最前線でご活躍されている先生方の貴重な経験を学べるこのセミナーを毎回楽しみにしています。
齊藤雅彦先生のご講演は、日本代表チームのメディカルサポートについて、憧れもあり興味深く拝聴させていただきました。帯同期間中の疾病、障害への対応だけでなく、食事の重要性、環境・コンディショニングの重要性、また海外遠征先での特殊な環境(暑熱や高地)に早く順化するようなサポートの重要性についても触れられ、サポートの幅広さに驚くとともに、大変刺激的で勉強になりました。大橋洋輝先生のご講演では、脳振盪が疑われたら無理をさせないことが常識になるスポーツ界にしていかなければいけない、という話に共感しました。セミナー終了後にはJFA育成世代のヘディング習得のためのガイドラインも読み直しました。松本善企先生、本城邦晃先生のご講演では、暑熱環境下での体重管理を含めた様々なコンディショニングの重要性や、COVID-19流行下でのメディカルサポートについて、検査・感染予防対策・感染発生時の対応など、現場の状況を分かりやすく詳細に教えていただきました。素晴らしいメディカルサポートの中で、選手の離脱なく素晴らしい成績をあげられたことを、嬉しく誇らしく感じました。今回のセミナーも、講師を務めてくださった先生方の熱意が画面越しにも強く感じられ、非常に有意義な時間を過ごすことができました、ありがとうございました。
寺岡貴徳 先生(泉大津市立病院)
今回のセミナーでは、代表活動時に選手が万全のコンディションで試合やトレーニングをするためのドクターとスタッフの役割を知ることができ、メディカルスタッフに何が求められていて、どう応えるのが最善なのか、今後の現場での活動において大変参考になりました。また、講義2では脳振盪についての知識、ヘディングが脳に与える影響など、様々な知識が整理でき、整形外科医の私にとってはとても貴重な時間となりました。後半の帯同報告に関してもコロナ禍ならではのアクシデントなどがあり、代表チームに帯同されている先生や協会スタッフの方々のこれまで以上の大変さを目の当たりにしました。
次回は是非とも現地開催で、たくさんの先生方と交流ができることを願うとともに、このようなセミナーを開催していただいている協会関係者の方々に感謝いたします。