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[特集]サッカーとの出合い ~大人の楽しさが子どもたちに伝わる 良い出合いの場を全国へ広げたい 中山雅雄JFA普及ダイレクターインタビュー 後編

2023年01月26日

[特集]サッカーとの出合い ~大人の楽しさが子どもたちに伝わる 良い出合いの場を全国へ広げたい 中山雅雄JFA普及ダイレクターインタビュー 後編

日本サッカー協会(JFA)がJFAキッズプロジェクトを立ち上げて約20年、「巡回指導」「フェスティバル」「キッズリーダー養成講習会」を三本柱に、キッズ年代(10歳以下)におけるサッカーの普及活動に取り組んできた。今年は新たに女子サッカー応援プロジェクト「JFA Magical Field Inspired by Disney」を立ち上げたほか、巡回指導先にボールとゴールを配付する施策にも着手した。

キッズプロジェクトの現状や課題について、プロジェクトメンバーの中山雅雄JFA普及ダイレクターに話を聞いた。

○インタビュー日:2022年10月24日
※本記事はJFAnews2022年11月に掲載されたものです

前編はこちら

大人も子どもと共に楽しむ継続への働きかけも

――普及の原点はいかに「楽しい」を伝えられるかだと思います。そういう意味では、関わる大人や指導者が子どもたちと一緒にサッカーを楽しむことで、よりサッカーの魅力が伝わっていくのかもしれません。

中山 各FAの皆さんは本当に熱意を持って尽力してくださっています。その分、責任感も強く、「やらなければ」という強い義務感を抱いてしまっているかもしれません。ですが、大人も少し肩の力を抜いて楽しんで活動できたら一番いいですよね。子どもたちは大人をよく見ています。子どもたちとサッカーをするのが楽しい、たくさんの子どもたちにサッカーと出合ってもらいたい、そういう思いを大切にしてほしいです。

今、われわれはテレビゲームに勝たなければならないのです。リアルで体を動かすことの楽しさを子どもに伝える上で、まず大人がそれを再認識することが大事です。キッズリーダー講習会は、基本的に講義1.5時間、実技1.5時間の3時間コースですが、より受講しやすい形を検討しているところです。例えば、知識や教養を学ぶ講義はオンライン形式やオンデマンド型にして、実技では保育士さんや保護者の皆さんも一緒になって体を動かしてもらう。簡単な運動ばかりですが、大人も自分ができたり褒められたりするとやはりうれしいものですし、鬼ごっこも意外と皆さん楽しそうなんですよ。講習会自体も楽しさや面白さをもっともっと伝えられる場にしていきたいですね。

――今は遊びの選択肢も増えています。子どもが外で遊ばなくなっているというのは事実なのでしょうか。

中山 実際に外で遊ばない子どもは増えていると思います。しかし、体を動かす遊びはみんな好きなんですよ。8月6日にJYDサポーターの株式会社ボーネルンドさんとの初の共同イベントとなる「PLAY BUS@夢フィールド~移動式あそび場~」を開催しました。幕張ビーチの花火大会と合わせてのイベントでしたが、ボーネルンドの遊び道具は子どもたちに大人気でした。みんな楽しそうに芝生の上で体を動かしていましたし、砂場にもたくさんの子どもたちが集まっていました。そこではサッカーをしてもらおうという意図はなく、とにかくサッカー場で遊んでもらう、親御さんや友だちと一緒に楽しく体を動かす機会を提供したいという思いで開催しました。

――そのほか、今年は「JFA Magical Field Inspired by Disney ファミリーサッカーフェスティバル “First Touch”」開催、巡回指導先へのボールとゴールの提供など新たな取り組みも進めています。

中山 ディズニーをきっかけにフェスティバルに参加して、初めてサッカーを体験する女の子も多いでしょう。きっかけづくりはとても重要ですし、それを機に参加者に楽しんでもらえたらうれしいですよね。そのためにも、フェスティバルでの指導の質は担保されなければなりません。フェスティバル参加者にはサッカーボールもプレゼントされますので、参加して終わるのではなく、サッカーを続けられる施策も考えていく必要があります。

また、巡回指導先にボールとゴールを贈呈する際、各FAの担当者に「保育園や幼稚園で日常的にサッカーらしい活動が行われる状況をつくってほしい」と伝えています。フェスティバルと同様、ボールとゴールを配って終わりでは意味がない。巡回指導は各園に年1、2回しか行けません。つまり、巡回指導でコーチが来てくれるからサッカーができる、ではなく、コーチがいなくても継続的にサッカーのような遊びが行われている状況をつくる働き掛けをしてほしいと思っています。

――サッカーを継続してもらうことも重要課題だと。

中山 出合いの場の創出は、これまでも一生懸命やってきました。でも、今、普及面で大切にしたいのは“出合ってからずっとサッカーと関わり続けていける環境”をつくることです。普及全体を考えたときには、シニアサッカーも障がい者サッカーも含めて、みんなでサッカーを楽しむ環境をつくっていくという観点が求められます。

継続には、保護者の理解を得ることも大切です。例えば、子どもがフェスティバルを十分楽しんで帰ったとき、親がそれに共感してくれなければ続きません。そういう意味でも、キッズリーダー講習会で保護者の皆さんにもサッカーの楽しさを知ってもらうことが重要なんです。

――運動が苦手な子どもや大人をサッカー好きにさせられたら、指導者冥利につきますね。

中山 もちろんです。「サッカーって面白い!」と、子どもたちを興奮させられるような指導が求められます。サッカーを続ける中で子どもは勝ち負けも経験しますし、できないことにもぶち当たります。しかし、指導者には、それを乗り越えていく面白さ、乗り越えたときの充実感を子どもたちにもたらしてほしい。

――子どもにも大人にも「サッカーが好き」という気持ちが一番大事なんですね。

中山 サッカーの魅力は、一つに、ゴールに向かっていくという競技の分かりやすさがあります。直感的に遊び方が分かるから、ボールがあればすぐにプレーできる。半面、GK以外は手を使ってはいけないという特殊性も一つの魅力です。足を使ってボールを扱うことの難しさと面白さ、そうした魅力があるからこそ、世界中でいろいろな人たちに愛されているんだと思います。

2003年からキッズプログラムの一環として実施されているJFAユニクロサッカーキッズでは、
6歳以下の子どもを対象に少人数制サッカーを実施

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