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「もう一度あの景色を見たい」山本英臣選手(ヴァンフォーレ甲府)インタビュー 天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会

2023年05月19日

「もう一度あの景色を見たい」山本英臣選手(ヴァンフォーレ甲府)インタビュー 天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会

天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会が5月20日(土)に開幕します。ここでは前回大会を制したヴァンフォーレ甲府から山本英臣選手に登場いただき、天皇杯での戦いについてお話しいただきました。

○オンライン取材日:2023年4月10日

――昨シーズンのヴァンフォーレ甲府はJ2で降格争いが続いていましたが、どのように天皇杯へのモチベーションを保っていたのでしょうか。

山本 リーグ戦でなかなか結果が出ず、J3に降格するのではないかという危機感もありましたが、天皇杯ではJ1のチームに対して自分たちのスタイルを前面に押し出して戦いました。それで勝ち上がることで、やっていることは間違っていないと改めて実感でき、最後までメンタルを保つことができました。

――J1クラブに4連勝して迎えた決勝のサンフレッチェ広島戦、山本選手はベンチスタートで、1-1で迎えた延長後半の112分に途中出場しました。

山本 予想以上にみんな慌てていて、勝ちたいと考える選手と点を取られたくないと思っている選手の、メンタル面でのバランスが大きく崩れている感覚がありました。まずはバランスを整えたいと思い、入ったときに「ピッチは今どういう感じ?」と聞きました。なかなか攻められず、ただ守っているだけではきついという感じだったので、隙は狙いつつ、得点は与えないようにバランスを取らなければならないと思っていました。

――116分にペナルティーエリア内でハンドを取られ、PKの判定になります。あの瞬間、頭によぎったことを教えてください。

山本 文字どおり、真っ白ですね。音が聞こえなくなったのがまず驚きでした。歓声も、誰かが何かを言っているのも分からないですし、自分がしゃべっている言葉も聞こえない。ついさっき、偉そうに「バランスを整えて」と言っていたので、ショックが大きかったですね。

――GK河田晃兵選手がビッグセーブを見せたPKの場面はどのような心境だったのでしょうか。

山本 後から見返すと、当事者である自分が一番、諦めていたと思います。他の選手たちは「絶対に河田が止めてくれる」と信じ、目つきも鋭くセカンドボールのクリアを狙っていました。ベンチの選手やクラブスタッフも含め、全員の中で僕自身が一番、気持ちが弱かったと思います。

――PKストップから延長後半終了まではどのような気持ちでプレーしていたのでしょうか。

山本 バランスを取ることと、セカンドボールを跳ね返すことに集中していました。冷静になれない自分がいたので、簡単な作業を見つけて取り組むことに専念していました。

――延長後半を終えてPK戦に突入し、山本選手は5人目のキッカーを務めます。順番はどのように決めたのでしょうか。

山本 吉田達磨監督(当時)が指名しました。僕は普段、1番手を務めることが多いのですが、名前を呼ばれなかったので「ショックを考慮してくれたのかな」と思ったのですが、勝負が決まる最後のキックを僕に蹴らせたいと考えてくれていたようです。5番目に呼ばれたので、その信頼はうれしかったですね。

――吉田監督が想定した通り、甲府がリードした状態で山本選手に順番が巡ってきました。

山本 蹴る瞬間は冷静でした。センターサークルからペナルティースポットまで「こんなに遠かったっけ。なかなかたどり着かないな」と思いながら歩いている間にリラックスできました。相手GK(大迫敬介選手)の癖も何となく理解できていたので、得意なコースに悔いなく蹴ることができました。

――キックが成功して優勝が決まった瞬間、どんなことを感じましたか。

山本 みんなに「嘘だろう」と言われるのですが、スローモーションになったんですよ。蹴ったボールがすごくゆっくり飛んで行って、なかなかゴールに入っていかない感覚があって。「こんなに遅いとクロスバーに当たっちゃうな」と思うぐらい時間がすごく長く感じました。

――劇的な優勝を経て、今年はディフェンディングチャンピオンとして第103回大会に臨みます。意気込みをお願いします。

山本 さんぺー(三平和司選手)と冗談半分で「連覇を狙えるのは俺たちしかいない」と言っていたんですよ(笑)。ディフェンディングチャンピオンとして情けない試合はできないですし、自分たちの力でもう一度、あの景色を見たいと思っています。

【1回戦】5月20日(土)、21日(日)[予備日:5月22日(月)]
【2回戦】6月7日(水)、14日(水)、21日(水)
【3回戦】7月12日(水)[予備日:7月19日(水)、26日(水)]
【ラウンド16(4回戦)】8月2日(水)[予備日:8月9日(水)]
【準々決勝】8月30日(水)[予備日:9月13日(水)]
【準決勝】10月8日(日)
【決勝】12月9日(土)

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