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シニアチューター研修会を高円宮記念JFA夢フィールドで開催
2023年06月16日
各都道府県サッカー協会(FA)で活躍するシニアチューターが一堂に集い、6月3日(土)と4日(日)の2日間にわたり、高円宮記念JFA夢フィールドにて47FAシニアチューター研修会を開催しました。
指導者養成講習会では従来、講師役を「インストラクター」と呼んでいましたが、その役割の変化に伴い、「チューター」へと名称を変更。先導者となる「チーフインストラクター」も「シニアチューター」に呼称が変わりました。本研修会は、各FAの取り組みや好事例、また課題などを共有し、課題解決やヒントを得る場となるよう、また共通理解の下で指導者養成を進めていくことなどを目的に、年1回実施されています。
昨年に引き続き、今年も集合形式で行われる予定でしたが、台風2号の影響による公共交通機関の運転見合わせ等でJFA夢フィールドに来られない方もおり、オンラインを活用し、現場とつなぎながらハイブリッド型の研修会となりました。
冒頭、西川誠太JFA指導者養成ダイレクターは、指導者養成における各FAの日頃の努力への感謝を述べ、「各FAでの課題を共有し解決につながるよう、そして指導者養成として向かっていく先を見据えながら、研修会を有意義なものにしていきたい」とあいさつしました。続いて、小野剛JFA副技術委員長がプレゼンテーションし、「『人を成長させる人材を、さらに成長させること』がサッカー発展に一番大切なこと。同じ方向を向きながらも、各都道府県それぞれの良さ、そして独自性を生かしていくことで、日本サッカーはさらに強くなっていく。できるだけ皆さんの意見を吸収しながら、一緒になって10年後、20年後をつくっていく、そういう2日間にしていければ」とメッセージを送りました。
アイスブレイクとして、「自己紹介を兼ねた自FAのチューター自慢」、「指導者養成の原則とは」のグループワークを行った後、D級・C級・B級・リフレッシュ研修会の4つのモジュールを設定しました。各FAから好事例や課題を共有、新たな情報の伝達、グループごとのディスカッション・発表という流れで進行しました。各モジュールで現状や課題を話し合い、また休憩時間にも活発な議論が交わされるなど、熱を帯びる形で1日目は幕を閉じました。
2日目は、1日目の振り返りをした後、JFAからの報告として、技術委員会の指導者養成部会、GKプロジェクト、普及部会、女子委員会、フットサル委員会の各分野での取り組みが共有されました。また、今年FIFAとの共同プロジェクトで行っているチューターの養成に焦点を当てたFIFA/JFA Coach Educators’ Development Pathwayについて小野副技術委員長から報告がありました。指導者の養成に比べチューターの養成に関してはまとまった知見はまだ少なく、このプロジェクトで得られた知見などを今後シニアチューターとも共有していくことで、FAでのチューター養成にも生かしていくことを目指します。その後、「チューターの発掘と育成」についてディスカッションし、チューターに求められる資質や能力は何か、チューターの能力を伸ばすために何をしているかを全員で共有しました。より良い講習会の実施のためには、チューターの発掘と育成が今後重要になることを確認しました。「女性指導者の発掘・育成」では各FAでライセンス保有者のうち、女性指導者の割合を10%に引き上げるための施策について意見を交わしました。現在、徐々に女性指導者が増えているものの、女性が指導者ライセンスを取得する際に女性チューターが少ないことが課題に挙がっていました。
西川ダイレクターは、指導者養成講習会においてはチューターの存在が大きいことをあらためて伝えつつ、「この2日間でいろんなアイデアや工夫、事例が寄せられた。皆さんがすでにやってくれていること、やろうとしていることはJFAの目指す方向性と完全に合致している。こうして仲間で情報をシェアしながら、一緒になってより良い指導者養成講習会にしていきたい」と話し、研修会を締めくくりました。
ダイレクターコメント
西川誠太 指導者養成ダイレクター(JFA)
指導者養成の世界的動向を視野に入れつつ、各FAが既に取り組んでくださっている工夫の共有を図りました。これらの工夫は、2020年から推し進めている講習会の基本的考え方に則っており、チューターの役割の整理が浸透しはじめていることを実感することができました。改めてシニアチューターを中心とした全国のチューターの皆さんの責任感と情熱に感謝します。講習会でチューターは参加している指導者の積極的なトライを促し、どうすればさらに良くなるかを一緒に考え、次なるチャレンジを授けます。なぜなら、選手にも同じようにミスを恐れず積極的なトライを促し、どうすれば良くなるか次のチャレンジを授けられるようになってほしいからです。全ては選手の笑顔につながり、ひいては指導者の笑顔につながります。職場やチーム活動と調整しながら指導者養成事業にご協力いただいている全国のチューターの皆さんに心より感謝申し上げます。
参加者コメント
石山伸介 秋田FAシニアチューター(秋田FA)
研修会では、同規模のFAでグルーピングされていたので、似たような現状と悩みを共有できました。しかし、それぞれの工夫やアイデアも数多くあり、小さいFAでも質の高い指導者養成ができるということを痛感しました。ヨーロッパでは、ウェールズやアイスランドなどの小国が指導者養成で注目されているということを知り、選手・指導者ともに数少ない秋田でもチャレンジできることがまだまだあるとの思いを強くしました。小野剛氏からは、「変えていくことの大切さ」と「変えたくないもの」の関係についてお話を伺いました。「日々変化していく世界のサッカーや、日進月歩のテクノロジーの進化がある一方で、子どもの夢はいつまでも大切にしたい。だから、将来を担う子どもたちのためにも我々大人が変わっていく必要がある。」という言葉が胸に響きました。西川誠太ダイレクターがおっしゃった「経験を振り返ることで学ぶ」機会として、今回の研修会が非常に有益な「一年間の振り返り」になりました。
指導者養成はD~S級のコアライセンスだけでなく、GKやフィジカル、フットサル、最近ではユースBやエリートユースAなど、様々なライセンスに精通していなければなりません。さらにはキッズや学校体育サポート、障がい者サッカー、女子サッカーなど、広い視野でサッカー界を見渡す必要があります。そのような責任ある立場でサッカーに携われることを非常に嬉しく感じ、新たな情熱が湧いた2日間でした。
松尾智博 佐賀FAシニアチューター(佐賀FA)
昨年、公務で参加できなかったため、今回が私にとって4年ぶりの対面集合形式での研修会となりました。今回のディスカッションでは、人口や環境など同じ規模・境遇にあるFAでグルーピングされていたことがとても良かったです。同じような課題や悩みを抱えていることを知れたことで、素直な気持ちで意見交換ができたこと、そして、課題等を克服するための工夫やアイデアの一つ一つがリアルに参考になったこと。とても有意義な時間となりました。また、情熱あふれるシニアチューターの皆様方と時間を共有できたことも貴重な財産となりました。『選手をさらに良くしていくためには、指導者が鍵。だからチューターの存在が大きい!』ということ、2日間で学んだことを今後に繋げ、生かしていくことこそがこの研修の意義だと思いますので、これから「指導者養成の原則」を念頭に、県での指導者養成事業に尽力していきたいと思います。
島野知宏 石川FAシニアチューター(石川FA)
昨年都合により参加できなかったため、この研修会を楽しみにしていました。この間に石川ではFAコーチの活動が始まり、今後の指導者養成事業をどのように進めるのがいいのか、各FAの取り組みも聞きたいと思っていました。冒頭のお話の中で、ウェールズやアイスランドのようにサッカー強国に囲まれながら「小さいけれどeducationは1番に」「サッカーとの出会いを特に大切にしている」との指針に私たちの責任の大きさを感じながら、日本の中での石川として共感するものがありました。また、目標を変えないために私たちが変わっていくべきで、「変化」は大切だが大事にして「残すべきもの」は残すことが今の石川の状況にリンクしており、チャレンジしていく気持ちを新たにすることができました。D級・C級・B級リフレッシュ講習会の振り返りを通して、どのFAも地域の特性にあわせながら指導者養成に関わる方の工夫や熱意が伝わってきて力とヒントをいただきました。チューターの発掘・育成のテーマでは、グループの4名が偶然同じチューターから大きな影響を受けていることを知り、その広がりとつながりを感じ、改めてチューターと名称が変わった中で、自分たちが「参加者とのかかわり方」「ミスする権利」「どうしたらよくなるか」「チャレンジの機会」など大切なものを伝えていく存在にどうなれるか、頑張っていこうと思いました。
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