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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第87回 井尻明 ベトナムサッカー連盟 女子サッカー統括・育成女子代表監督

2024年03月29日

アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第87回 井尻明 ベトナムサッカー連盟 女子サッカー統括・育成女子代表監督

3月3日から16日にかけて、ウズベキスタン・タシケントにてAFC U20女子アジアカップが開催されました。

大会は朝鮮民主主義人民共和国(DPR Korea)の優勝で幕を閉じました。4連覇を目指した日本は残念ながら、準優勝でした。ベトナムは去年3月から始まった1次予選、2次予選を勝ち抜き、東南アジアでは唯一の出場となりました。大会期間中は気温が氷点下になる日もあり、雪が積もるほど降る日もありました。ベトナムの選手たちは全員が雪を見るのが初めてで、最初は喜んで写真などを撮っていましたが、練習中などは寒さに慣れるのにとても苦労していました。

我々のグループステージは、日本(前回大会優勝)、DPR Korea(前回大会準優勝)、中国(2006年大会優勝)との対戦でした。大会前から苦戦が予想されていた中、以下の4つの目標を立てました。
・決定機を作る
・得点する
・勝ち点1をとる
・参加チームの中で一番のチームワークを発揮する

試合の結果は、3試合とも大量失点での3連敗でした。しかしながら、試合をしていく中で選手たちは大きな成長を見せてくれました。例えば、守備時におけるアプローチなどは、初戦の日本戦では、相手に抜かれるのが怖くて積極的にチャレンジできなかったにも関わらず、最終戦の中国戦では、ファールになるギリギリのアタックにチャレンジしていました。ベトナムにとって、このような強豪国と試合ができる機会は多くはありません。「ゲームが最良のトレーニング」と言われますが、レベルの高いチームとの試合が間違いなく選手たちを成長させてくれると再確認しました。そして、4つの目標に関しては、残念ながら「勝ち点」を取ることはできませんでしたが、「決定機を作ることができた」「1得点できた」「チームワークは一番良かった」と、3つはクリアできたと実感しています。

初戦の相手が日本でしたが、試合前に「君が代」を対戦相手として初めて聞きました。とても感慨深く、不思議な感覚でした。ベトナムにとっては、アジア他国との大きな差にショックを受けた大会だったかもしれません。これを「良い経験だった」「この敗戦を次に生かす」などと言うのは簡単です。ベトナムサッカーに関わる多くの指導者が、今大会をしっかり振り返り、何が通用して、何が足りないのか深く分析し、将来に向けた計画を確立する必要があります。私がそれに関わり、ベトナムサッカーの発展に尽力していきたいと思います。

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