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【報告】2023年度審判インストラクターリフレッシュ講習会(フィジカルパート) 4/29@高円宮記念JFA夢フィールド
2023年05月10日
4月29日(土)、千葉県のJFA夢フィールドにてJFAフィジカルフィットネスプロジェクトの中村大輔氏を講師に、審判指導に役立つフィジカルフィットネス講習会を開催しました。審判インストラクター10名、トレーニングパートナーの審判員6名が参加しました。この講習会は、審判インストラクターが、レフェリーのパフォーマンス向上に重要なフィジカルフィットネストレーニングを計画および指導する際に必要となる専門的な知識を会得し、フィジカルフィットネスに関して審判員に指導できる人材の養成を目的とした審判インストラクターのリフレッシュ講習会です。
これからも審判員のパフォーマンス向上のために、審判指導者のリフレッシュ講習会を開催していきます。
次回開催
日時:8月26日(土) 15:00~21:00(予定)
会場:J-GREEN堺(大阪府)
募集:7月上旬(予定)
運営者コメント
山﨑裕彦 JFA審判委員会指導者部会長
審判指導者のレベルアップのための「学ぶ機会」として、審判インストラクター向けのリフレッシュ講習会を計画してきました。その一環で、JFAフィジカルフィットネスプロジェクトと連携し、1級・2級審判インストラクター対象に「フィジカルフィットネス」に関する講習会を開催しました。午前の講義で、「常に冷静な判断を下せるために」また「ポゼッションを得意とするチームよりも、長い距離を多く走るチームが勝っている」という分析をもとに、審判員にはさらなるフィジカルフィットネスの向上が求められている現状を把握し、その向上のために「心拍数を用いた科学的なトレーニングが効果的」という理解を深め、その後の実践・振り返りと進みました。トレーニング実践では試合中の審判の動きに合わせたトレーニング計画を考え、実践後に振り返りで、審判員が着用したハートレートモニターのデータ分析とトレーニング強度の的確性を考察し、トレーニング計画から分析に至る進め方全般を学びました。審判員のトレーニングは、これまで「我流」の方が多いと思いますが、どこを、何を向上させるためにトレーニングするのか、またシーズンを通しての計画的なトレーニング、試合に向けたトレーニング計画など、トレーニングは根拠・目的をもって行うことが重要であり、審判員がそう意識できるようになるためにも、審判指導者がその知識を身につけ審判指導に生かしていくことで、審判員に効果的な指導を届けられると考えています。今後も審判員の向上のために、審判指導者がレベルアップしていく「学びの機会」を創出していきたいと思います。
受講者コメント
渡辺典子 1級審判インストラクター(埼玉県サッカー協会)
今回の講習会のテーマはとても興味深かったため、どのような内容なのかも楽しみにしながら参加させていただきました。会場では、審判指導者だけでなく、審判員の方も一緒に講習を受けたことは、お互い内容を共有することができ、とても効果的だと思いました。また、講義の内容は運動生理学に関するもので、緊張して受けていた大学の授業を思い出しながら、時に和やかにとても分かりやすく説明していただけたため、十分理解することができました。
講義のあと、短い時間でトレーニングメニューを考えるのは少し大変でしたが、グループでの活動でしたので、協力して作成することができました。しかし、実際に行ってみると、心拍数を上げることに意識がいってしまい、そのトレーニングの本当の意味・効果があったかどうかが反省となりました。
今回の講習会で教えていただいた「むやみやたらにやればいい」というトレーニングではなく、実際に数値としての効果が検証できるようなものでなければならないということはとても説得力がありました。これを受けて、そんなメニューを考えられるようになりたいと思い、終えた講習会でした。
桜井洋輔 2級審判インストラクター(宮城県サッカー協会)
今回の講習会に参加しようと考えた理由は、フィジカルに関しての自分自身の知識を向上させて審判員の指導に役立てたいと考えたからです。
当日はリラックスした雰囲の中、講師の中村さんの理論的かつ分かりやすい講義がありました。心拍センサーのデータを取り込み活用することにより、審判員をサポートする際に論理的かつ客観的に指導ができると感じました。
またフィールドでのトレーニングの際には、審判員の心拍数を確認しながら時間や強度を調整することにより効果的なトレーニングを行うヒントを得ることができました。
実際に講習会の翌日に地域社会人リーグで審判員を指導する機会があり、講習会で学んだスキルが役に立ちました。
阿部直樹 3級審判インストラクター(東京都サッカー協会)
現役2級審判員として活動しながら、3級審判インストラクターのフィジカルの勉強をした自分にとっては、こういう機会は常に刺激的であり、さらにステップアップするためによい学びの時間でした。学べば学ぶほど奥の深さに触れていく『フィジカル』という分野の面白さや難しさを感じる時間でした。また、自分が2級審判員として研修会等でしのぎを削った仲間たちが審判インストラクターとして自分の地域で活躍している姿を見て、自分も東京都協会、関東協会、日本協会で活動していきたいと思うよいきっかけになりました。これからもこのような研修会があれば、積極的に学びを深めていきたいと思います。ぜひ、今後ともよろしくお願いいたします。
トレーニングパートナー(審判員)コメント
小西和幸 2級審判員(千葉県サッカー協会)
元々ランニングトレーニングやジムでの筋トレ時もハートレートを測りながら、今日このくらい(心拍数が)上がったかの認識のために使用していましたが、効果としてどの程度上がれば適切だったかの知識がなかったので、その部分を知り、今後のトレーニング計画に活用していきたかったため参加しました。
今回の講習で、これまでのトレーニングの答え合わせができ、また社会人として仕事とトレーニングの並行が難しいタイミングがどうしてもあるため、その際の対処法、そして体組成と怪我の関連性も知ることができたため、今後のトレーニング計画に活用していきたいと思います。
濱田和孝 3級審判員(千葉県サッカー協会)
今回、トレーニングパートナーとして参加させていただきました。今回の講習会の前半は講義で、難しく少し理解するのに時間がかかった内容がありましたが、この講義を受け、今まで自分がしてきたトレーニングが100%の効果がなかったのではないかと思いました。午後は実技で、自分はトレーニング1本目から100%の力を出した結果、5分程で苦しくなりました。あとから心拍データを見てみると、開始2分ぐらいから心拍数200を超えていて、講師の方から『はじめから飛ばし過ぎていて長く続かないから、もう少し心拍数を落としたぐらいでトレーニングを維持できるのが良い』というアドバイスをいただき、効果的なトレーニングを行う難しさを実感したとともに、これからのトレーニングで自分をコントロールし効果的に行える基準を知れました。今回参加して初めて知ることが多く、審判員として上を目指している中で、素晴らしい経験ができたと思っております。次回があるようでしたら、また参加したいと思います。
泉一樹 フットサル2級審判員(香川県サッカー協会)
本講習会ではまず前提として現代のサッカーが従来と比べて非常に高速化していることがデータで示され、そのうえで審判員に要求されるフィットネスレベルも高度なものになっているという現状を再認識する所から始まりました。また実際のトレーニングにおいても闇雲に負荷をかけるのではなく、運動生理学に基づき身体機能を理解したうえで適切なゴールを設定して構成する必要があることを学びました。また最も重要であるのは、何をするかではなく効果を検証する方法を身に着けることであり、その先にある実際の試合におけるパフォーマンス向上であることを見誤らない必要があると感じました。本講習会の開催に際しご尽力いただいた関係者の皆さまに深く御礼申し上げるとともに、今回得た学びを自身のみならず地域と県に還元し、さらなるレベルアップにつなげていきます。