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[特別企画]リスペクトシンポジウムを開催 ~われわれが守るべきスポーツの価値と未来~ 後編
2021年09月10日
日本サッカー協会(JFA)は9月10日(金)から19日(日)まで「JFA リスペクト フェアプレーデイズ2021」を設置しています。今年も、地域・都道府県サッカー協会、Jリーグや各種連盟と協力し、各種試合における「リスペクト・フェアプレー宣言」やバナーの掲出等を行い、11日(土)にリスペクトシンポジウムをオンラインで開催します。
リスペクト、フェアプレーについて考えるこの期間を前に、昨年行われたリスペクトシンポジウムを振り返ります。
※本記事はJFAnews2020年10月に掲載されたものです
そこに上下関係はないかあらためて考える
スペインで20年以上サッカーの指導をし、08年よりビジャレアルで育成年代や女子チームに携わってきた佐伯夕利子Jリーグ理事は、スペインと日本の文化の違いについて説明した。スペインはヨーロッパの中でも新型コロナウイルスによる被害が大きかったため、感染者や、中国が発生源であるとしてアジア系の人々への差別や誹謗中傷があった。ただし、「そうしたことが起きたとき、社会が(差別や誹謗中傷を)絶対に許さないという文化がスペインにはある」という。
スペインと日本で活動する佐伯夕利子Jリーグ理事
指導の現場でも「大人が工夫して子どもの接点をつくってあげようとする動きがあった」(佐伯理事)。インターネットなどを活用して子どもたちと接し、「これまで以上に子どもとの接点を増やし、一人一人を丁寧にケアすることができた。コロナ禍で得た大きな収穫だったと感じる」と話した。こうした関係性に宇田川さんは「選手とコーチがしっかりコミュニケーションを取れるということが、リスペクト、フェアプレー、インテグリティ(尊厳、高潔さ)の全てに通ずると思う」と語った。
とはいえ、スペインの全ての指導者が高い意識を持っているわけではないため、佐伯理事は、子どもを下に見る考えを改める必要があることも指摘。「スポーツは頑張らせるものではなく楽しむもの。大人はそれを再認識する必要がある」と語る。その言葉に池内豊JFAユース育成ダイレクターも「われわれも知らないうちに上下関係を少なからず心の中に持っているのではないかと感じた。子どもと同じ目線で話を聞いたり、求めているものを聞き出すことは大事なこと」とし、そのためにも専門的な教育を受けた有資格の指導者を増やしていくことの重要性を説いた。
日本サッカー界の取り組みを説明した池内豊JFAユース育成ダイレクター
生活する国や立場、競技の違いを超えて登壇者がそれぞれ強調したことは、差別や誹謗中傷を撲滅するための意識改革の重要性だった。宇田川さんは「スポーツをしている人間として、競技団体の枠を超えたオールスポーツとして、リスペクト、フェアプレー、インテグリティ、そしてスポーツの素晴らしさを伝えていけたらと思う」と話した。
モデレーターを務めた山岸佐知子JFA審判委員長
2020年度リスペクトシンポジウム 概要
日時:2020年9月5日(土) オンラインで実施
参加者:地域・都道府県サッカー協会/各種連盟関係者/指導者/一般の参加者
内容:
●基調講演
田嶋幸三(公財)日本サッカー協会 会長
髙橋愛子(公財)日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室マネージャー
●パネルディスカッション
・テーマ:
サッカーのある生活が戻ってきた~大切なサッカーを自分たちの手で守っていくために~
・モデレーター:
山岸佐知子(公財)日本サッカー協会 理事、リスペクト・フェアプレー委員長
・パネリスト:
宇田川貴生(公財)日本バスケットボール協会 審判グループゼネラルマネージャー、審判委員長/インテグリティ委員長
髙橋愛子(公財)日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室マネージャー
佐伯夕利子(公社)日本プロサッカーリーグ 理事
池内豊(公財)日本サッカー協会 ユース育成ダイレクター