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vol.006「忘れないということ」

2012年08月03日

2012Jリーグスペシャルマッチ
復興支援施策部門 責任者
Jリーグ 競技・事業統括本部 マネージャー 首藤 久雄

7月21日、東日本大震災復興支援試合として、Jリーグスペシャルマッチが被災地のひとつでもある茨城県の県立カシマサッカースタジアムで開催された。
ベガルタ仙台、鹿島アントラーズに東北出身のJリーグ選手を加えて組織された「TEAM AS ONE」とその他のクラブの選手で構成された「Jリーグ選抜」のカードとなった。
急遽参加が決定した元イタリア代表のアレッサンドロ・デルピエロ選手をはじめ、サポーター投票およびJリーグ推薦により選ばれた選手たちは、皆素晴らしいパフォーマンスでスタジアムに来場した23,760名のファン・サポーターを魅了した。

ピッチ上で繰り広げられたプレー以上に熱かったのは、参加した選手たちの復興支援への思い。
その中でも鹿島アントラーズの小笠原満男選手のこの大会に懸ける思いは人一倍強いものであった。小笠原選手は、震災後東北出身選手を中心とした被災地支援プロジェクト「東北人魂を持つJ選手の会」を発起し、震災直後から今日まで精力的に活動を続けている。
今回Jリーグとしても、小笠原選手らの思いに後押しされ、募金活動、被災地の小中学生招待、そして岩手、宮城、福島でJリーグOB選手によるサッカー教室などを企画、試合当時に併せて実施した。

今大会で、我々がテーマにしたのは、「被災地を忘れない」ということ。これは、震災から一年が経過した今春Jリーグ全体で誓い合ったことである。

昨年Jリーグの各クラブは、チャリティマッチの開催、募金活動、物資支援活動さらに選手、スタッフによる被災地訪問など様々な支援活動を行った。
今年になり首都圏で被災地の現状を伝える報道は減少したが、被災地の復興はまだ始まったばかりである。今春、岩手、宮城の沿岸地域の被災地を訪れ、昨年起こった震災、そして被害にあわれた地域のことを忘れてはいけないということを再認識した。

また同時に誓ったのは、被災地のニーズに合わせた支援を続けていくということ。我々は昨年より被災地支援活動を続けている日本サッカー協会特任コーチの加藤久さんを通じて、被災地に必要なもの必要な時が刻々と変わっていることを知った。
加藤さんのアドバイスを受け、復興活動を続けている被災地の日常を“Respect”し、我々の支援活動が一方通行にならないようすることがJリーグと各クラブの間で確認された。

7月21日のスペシャルマッチで来場者の皆様からいただいた募金は、2,488,854円に達した。
さらにシーズン開始より各スタジアムで実施されている「TEAM AS ONE募金」に多くの善意が集まっている。
Jリーグでは、先日の理事会でこの募金で被災地の限られたスペースでサッカーを続けている子供たちが1分でも長くプレーできるように簡易照明器具を購入、順次被災地へ寄贈させていただくことを決めた。

前夜のスペシャルマッチの熱気が残る翌22日、鹿嶋市内のグラウンドで岩手、宮城、福島から訪れた小中学生と鹿島アントラーズを中心とした15名のJリーグ選手がふれあうサッカー教室が開催された。
前夜目のあたりにした選手たちのプレーをイメージしボールを蹴る子供たちと、前日の疲れを見せない選手たちの明るい笑い声が早朝のグラウンドを包んだ。

Jリーグ、クラブが単体で出来ることは決して大きくない。しかし今後もJリーグ、Jリーグ各クラブは「ひとつのチーム」となり、被災地を忘れることなく、復興にかける方々の思いを“Respect”し、継続した支援活動を行っていきたい。

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