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[特集]サッカーへのリスペクト ~大切に思うこと~ 命や健康の大切さを忘れずプレーできることに感謝を 熊谷紗希選手(オリンピック・リヨン/フランス)

2020年09月14日

[特集]サッカーへのリスペクト ~大切に思うこと~ 命や健康の大切さを忘れずプレーできることに感謝を 熊谷紗希選手(オリンピック・リヨン/フランス)

日本サッカー協会は9月5日(土)から14日(月)まで「JFA リスペクト フェアプレー デイズ2020」を設置しています。
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今回は、8月30日のUEFA女子チャンピオンズリーグ決勝で日本人初のゴールを決めた熊谷紗希選手(オリンピック・リヨン/フランス)のインタビューをお届けします。

※本記事はJFAnews2020年7月に掲載されたものです

はじめは優勝も素直に喜べなかった

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、フランス女子サッカー1部リーグは2月下旬に中断となりました。3月上旬にアメリカで行われた2020SheBelievesCupからフランスに戻ると、フランス全土でロックダウン措置が取られ、外出が制限されました。そして4月下旬にリーグ戦の打ち切りが発表され、6試合を残して私たちリヨンの優勝が決まりました。チームは今シーズンも良い戦いをしていて、その結果、タイトル獲得となりましたが、(勝点3差で2位の)パリ・サンジェルマンとの大一番も残っていましたし、正直、試合で勝って優勝を決めたかったので、はじめは素直に喜べないところもありました。

一人でやり続ける大変さを痛感

3月17日からのロックダウンは約2カ月間続きました。その間、チームとしての活動はできませんでしたが、クラブから毎週トレーニングメニューが送られてきて、毎日そのメニューを自宅でこなしていました。
メニューはなかなか盛りだくさんで、ボールを使わない筋トレと走りなどのトレーニングを一人でこなすことがこんなに大変なことなのだと思い知らされました。トレーニングをする時間などは完全に選手個人に任されていましたが、タイムや回数を競い合うなど、工夫もされていました。でも、先が見えない中で2カ月間も一人でトレーニングを続けるのは、正直、なかなかしんどかったです。「どこに向けて今、追い込んでいるんだろう」と思うこともありました。そういう日は、良い意味で切り替えて、やめてしまう。そして、やらない自分を許していました。あとは、普段はやらないリフティングをし、一日一技を目標にして、できないことができるようになる喜びに浸ってました。完全に自己満足ですけどね(笑)。思い切りボールを蹴られないのはツライですが、みんなが同じ状況だから仕方ないし、不安に思うことはなかったですね。
トレーニング以外の時間については、私は元々、フリータイムは自宅で過ごすことが多いので外出制限がかかっても苦にはなりませんでした。買い物も週に一度まとめて買いに行くようにし、逆に週に一度で済ますことができる、今後もそうしよう、と(笑)。また、3食全てを自分で用意しなければならないので、糖質を気にしてみたり、そういうところに時間をかけていました。

サッカーができる喜びを実感

本来であれば、7月には東京オリンピックが開幕するはずでした。大きな目標でしたから、延期は悔しい。でも、これも仕方のないこと。あと1年あると考えて、これまでやってきことを見直し、個人としても代表チームとしてもさらにレベルアップしたいと思います。
残念なのは、中学・高校年代の大会が中止になってしまったことです。限られた時間の中で絆を深めた仲間と戦う機会を失ってしまった。選手たちは悔しさをぶつけるところがありませんから、本当に残念に思います。でも、大事なのはここからで、未来を見据えて行動できるかどうか。将来、振り返ったときに「こんなこともあったよね」と思えるくらいに頑張ってほしいですね。
サッカーがある日常というのは、私にとって当たり前のことでした。その日常が失われ、いろいろと考えさせられました。このような事態では、やはり観客が集まるスポーツやイベントは真っ先に中止になります。でも、私はサッカーで生きているので、そこでできることを続けていくしかない、それに尽きます。今は非常に難しい時期ですが、試合が再開されれば、観客の有無にかかわらず大きな喜びを得ることができるはずです。サッカーから離れざるを得なかったことで、サッカーの楽しさやプレーできる喜び、仲間の大切さをあらためて実感しました。今後はさらにその思いを強くし、プレーしていきたいと思います。
読者の皆さんは、選手、指導者などいろいろな立場にあると思いますが、今回のコロナ禍で感じた命や健康の大切さをいつまでも忘れず、サッカーができることに感謝しながら一緒に頑張っていきましょう!

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