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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第88回 埴田淳 ブルネイ・ダルサラームサッカー協会 代表GKコーチ・育成年代コーチ
2024年05月31日
FIFAシリーズ
FIFAシリーズは、通常であれば対戦する機会がない異なる大陸連盟の代表チーム同士が対戦する国際フレンドリーマッチで構成されるシリーズです。2026年3月からの本格開催を前にパイロット版が2024年3月に開催されました 。今回は、6つの大陸連盟すべてにまたがる合計24のFIFA加盟協会から代表チームが参加し、アルジェリア、アゼルバイジャン、エジプト、サウジアラビア、スリランカの5カ国を舞台として試合が行われました。
我々、ブルネイ・ダルサラーム代表チームはサウジアラビアにて、バミューダ(CONCACAF)、バヌアツ(OFC)、ギニア(CAF)と同グループでFIFA国際フレンドリーマッチウィークの規定により、バミューダ、バヌアツと対戦しました。この大会期間中はラマダン(断食月)であり、私たちにとってはだいぶ不利な状況でした。断食は日の出から日没まで一切、飲み物、食べ物を摂取しません。そのため日没後が朝食、練習後に昼食、日の出前に夕食となります。日中はなるべく身体を休ませていましたが、やはりエネルギー、水分の枯渇は否めませんでした。選手にとっては相当タフな環境下での大会でした。
結果は、初戦のバミューダに後半残り10分から2失点し0-2で敗戦,エネルギーの消耗が激しく、また準備不足の為に招いた結果でした。全スタッフの中で唯一ラマダン時の公式戦を経験していた私の責任かもしれません。しかし、2戦目のバヌアツに3-2と勝利を収めることができました。FIFAの記事にもこの勝利を“ブルネイは初戦の敗戦から復調。FIFAシリーズ最終戦となったバヌアツとの試合では2度のビハインドから3-2で逆転勝利を飾った。逆転劇を締めくくったのは後半アディショナルタイム3分、Hakeme Yazid Saidが決めた遠距離からの素晴らしいフリーキックだった”と大きく報じられました。アジア大陸以外の国との初めての対戦、そして勝利、また2度のビハインドからの逆転勝利もブルネイサッカー史上初となりました。
FIFAシリーズを終えて
一昨年9月からスペイン人監督Mario Riveraの下、1年半を通してゲーム、プレイモデルの提示、共通認識の確認を行ってきました。FIFAからこのシリーズの話を打診され、6週間、代表チームのトレーニングを継続的に行えたことがこの結果に繋がりました。通常代表チームは試合に向けての準備期間がほとんどなく、FIFA国際フレンドリーマッチウィークに選手招集→試合という流れになります。それ以外はクラブに選手を派遣する義務がないために強化が困難です。クラブ間での格差も大きく、クラブでの継続的かつ内容の濃いトレーニング、国内リーグにて高い競争力やハイインテンシティーでの試合を毎週継続的に行える環境がブルネイには整っていません。
ブルネイにて6年目を迎え、少しずつですが、結果に結びついてきました。しかし、成長著しい東南アジアフットボールの中では未だに下位に属しています。今年はAFCアジアカップサウジアラビア2027プレーオフ、ASEAN三菱電機カップ プレーオフも控えています。それらの大会に向けて良い準備とそれを結果に繋げられることが今年の最大の課題となります。
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