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【SPECIAL】ブラインドサッカー日本代表の歩み ~自力出場を果たした日本、パリで狙うは上位進出
2024年08月26日
パリ2024パラリンピック競技大会が8月28日から9月8日にわたって開催されます。
ここでは、東京2020パラリンピック競技大会(以下、東京大会)以降のブラインドサッカー日本代表の歩みを振り返ります。
3年前、東京大会でパラリンピック初出場を果たしたブラインドサッカー日本代表。ブラジルや中国といった強豪の前に屈し、決勝トーナメントに進むことはできませんでしたが、5位に入賞し、大きな一歩を踏み出しました。
そして、2022年1月。東京大会ではゴール裏で選手に情報を伝えるガイドとしてピッチに立った中川英治さんが監督に就任。パリ大会に向けて新たなスタートを切ることになった日本は、“最初の目標”として「悲願のパラリンピック自力出場」を掲げました。
東京大会は自国開催枠での出場であり、これまで自力でパラリンピック切符を獲得したことがなかったのです。「今度こそ」という思いを強く持った日本は、22年11月、パリパラリンピック予選を兼ねたアジア・オセアニア選手権(インド・コチ)に臨みました。
日本は東京大会時から幅広い専門スタッフを擁し、積み上げてきた分析力に自信を持っていました。
「アジアチャンピオンになってパリへ」と意気込み、早々に現地入りした日本の選手たちの気持ちをよそに、なかなか組み合わせが決まりません。大会直前にようやく対戦相手が決まり、日本は強豪・中国とのパラリンピック出場決定戦を見据えて戦いをスタートさせました。
そんな中でブレイクしたのが高校生ストライカーの平林太一選手です。華麗なドリブルで相手の守備陣を切り裂き、公式大会初出場ながら5得点を記録。新エースに名乗りを上げました。
7月に開催されたダイセル ブラインドサッカージャパンカップ 2024 in 大阪の様子
さらに、GK兼コーチの佐藤大介選手を中心とした守備力も示しました。ハードワークと素早い攻守の切り替えで、攻撃力のある相手を封じることに成功。日本はグループリーグを無失点で突破し、準決勝に駒を進めましたが、準決勝では自陣に引いて守るタイを崩せません。結局、日本はPK戦の末に1-2で敗れ、決勝に進むことができませんでした。
それでも3位決定戦をPKで制し、上位3カ国が出場できる世界選手権の出場権を確保し、パリへの道をつないだ日本。パリ行き決定は23年8月にイングランドのバーミンガムで開催される世界選手権に持ち越されました。
世界選手権の3カ月前、日本はブラジルで行われたワールドグランプリに出場。世界ランキング1位のアルゼンチンにPK勝ちを収め、大きな自信を手にします。この大会で日本代表デビューを果たし、アグレッシブなプレーで存在感を発揮した後藤将起選手は、世界選手権を戦う日本のメンバーにも名を連ねることになりました。
そして迎えた世界選手権。大陸別予選で出場権を保持していない国の中で上位3チームに入ることが、パリパラリンピック出場のための条件です。グループリーグを2位で突破し、決勝トーナメントに進んだ日本は、準々決勝で中国の高い壁に阻まれてしまいます。
しかし、パラリンピック予選で何度も苦杯を味わってきた日本は、ここからが本当の勝負だと知っていました。ラストチャンスにかけるチームは、再び奮い立ち、順位決定トーナメントで2勝。パリパラリンピックの出場権は23年11月のパラパンアメリカン選手権の結果待ちとなりましたが、世界選手権を過去最高の5位で大会を終えました。
東京大会ではこの競技のレジェンド、黒田智成選手がチーム最多の3得点を挙げていますが、この世界選手権ではキャプテンの川村怜選手、最年少の平林選手がそれぞれ得点。他大会も含め、得点を挙げる選手が分散し、「チームの底上げができている」と中川監督も手ごたえを語っています。
ゴール前の激しい攻防がブラインドサッカーの魅力の一つ
23年11月。日本のパリ行きが正式に決定します。喜びも束の間、チームはすでに次なる目標である“パリでのメダル獲得”に舵を切っていました。
ベテランと若手が融合した日本は、パリパラリンピック出場国8カ国中7カ国が出場した2024年5~6月のワールドグランプリ(フランス・シルティカイム)で、アルゼンチンと中国に勝利。パラリンピック5連覇中のブラジルにも食い下がる好ゲームを繰り広げるなど、メダルを狙えるチームに成長を遂げています。
特に、アルゼンチン戦では高い位置からプレスをかけた後藤選手のプレーが光り、日本の新たな強みになっています。
パリパラリンピックはブラジルや中国とは別のグループに入り、第1戦でコロンビア、第2戦でモロッコ、第3戦でアルゼンチンと対戦する日本。キャプテンの川村選手は「初戦で勝ち点3を取れるかが重要になる」と話しており、「強度が高く、速い展開の中で、自分たちのプレーの精度を上げられるようにし、決勝トーナメントに行きたい」と意気込みを語ります。
その日本には、攻守の要である川村選手、フィジカルの強いムードメーカーの佐々木ロベルト泉選手が順当にメンバー入り。初出場組では平林選手、後藤選手が入りました。一方で長年、日本をけん引してきたベテランの選手たちが外れ、世代交代を感じさせる編成になりました。
日本にとって自力出場は初となる2度目のパラリンピック。その舞台は、約1万2000人を収容するエッフェル塔スタジアムです。東京大会に続き、オリンピックのU-23日本代表、なでしこジャパン(日本女子代表)と同じユニフォームを着用する、ブラインドサッカー日本代表の上位進出に期待が高まります。
パリパラリンピックではチーム一丸となって上位進出を目指す
※東京パラリンピックでのブラインドサッカーの競技名は「5人制サッカー」、パリパラリンピックでの競技名は「ブラインドフットボール」です。
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