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【ワールドカップを戦った男たち#第3回】遠藤保仁 前編
2018年06月20日
SAMURAI BLUEは、「2018FIFAワールドカップ ロシア」第1戦コロンビア戦を勝利でスタートすることができました。
4年に一度開催されるサッカーの祭典は、これまでに多くのドラマを生み出し、世界中の人々を熱狂させてきました。
実際にその舞台に選ばれた選手は、どのような想いでプレーしていたのでしょうか。そして、そこで感じたものとは?2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会、記憶にも新しい2014年のブラジル大会と3度のワールドカップに出場した遠藤保仁選手に、ワールドカップの魅力について話を訊きました。
遠藤保仁選手にとって、強烈な印象として残っているのは、彼にとって初めてのワールドカップとなった2006年大会だ。子供の頃から憧れた舞台が想像を遥かに超える規模で開催されていることを知り、また、それを取り巻く人々の熱狂に圧倒された。
「サッカーをしている子供たちの多くが、ワールドカップをテレビで見て『わあ、すごいな』『うまいな!』『格好いいな!』って感想を抱くように、僕も子供の頃は純粋に名だたる選手のプレーに興奮していました。その頃から他の大会とは違う華やかさは感じていたし、その印象は大人になっても変わらなかったように思います。ですが、2006年のドイツ大会で初めてSAMURAI BLUEのメンバーの一員としてその舞台に身を置いてみると、その何倍もの驚きをもって『ワールドカップ』を感じ取りました。報道陣の数も驚くほど多かったし、チーム、選手を取り巻く環境も…警備の人数から警備の仕方まで、それまで味わったことのないような対応をしてもらい、本当の凄さ、スケールの大きさを実感しました。他の大会では日本代表が宿泊するホテルが貸切りになることはないけど、ワールドカップではホテルごと貸切りでしたしね。もちろん、観客のみなさんの盛り上がりも特別で、ドイツ大会ではドイツの試合中は町中がうるさかったし、勝ったあとは夜通し、車がクラクションを鳴らしながら走っていて…そういう空気も初めて味わっただけに驚きました。それらを総合しても『ワールドカップ』がサッカー界にとって特別な祭典であることを実感したドイツ大会は、自分の中で最もインパクト強く刻まれています」
一方、ワールドカップで『プレーする』楽しさを知ったのは2010年の南アフリカ大会だ。ドイツ大会ではピッチに立つことなく大会を終えたこともあるが、普段から「サッカーはプレーしなきゃ楽しくない」と繰り返してきた遠藤選手だからだろう。グループステージの3試合と、ノックアウトステージの1試合をフル出場で戦い切った充実感は大きかった。
「ワールドカップに限ってのことではないけど、僕にとってのサッカーはピッチに立ってこそ本物の楽しさを味わえるもの。そういう意味では全ての試合に出場し、ベスト16まで進出できた南アフリカ大会は、ワールドカップを戦う面白さを初めて実感した大会でした。ただ、大会を取り巻く雰囲気は…正直、前後のドイツ大会、ブラジル大会に比べるとイマイチだったかも(笑)。ドイツ、ブラジル大会は、いずれもサッカー王国での開催で観る人の目も肥えている分、スタンドの盛り上がりも凄かったし、特にブラジル大会はその声援に背中を押され、プレーする楽しさを何倍にもしてもらったという印象も強い。それに対し南アフリカ大会は、観ている人はどの国にも、いいプレーにも、ミスに対しても、ひたすらブブゼラを吹いて盛り上がっているって感じでした(笑)。それでも、そうした国ごとのサッカー熱を感じられるのもワールドカップならではなので、体感できて良かったです」
後編に続く
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