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川崎がACLEで初の4強進出、横浜FMは8強で敗退
2025年04月28日
AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2024-25ファイナルステージがサウジアラビアのジッダで4月25日(金)に開幕。27日(日)に行われた準々決勝で川崎フロンターレはアル・サッド(カタール)に延長3-2で競り勝って初のベスト4入りを決めましたが、横浜F・マリノスは26日(土)の8強対決でアル・ナスル(サウジアラビア)に1-4で敗れ、4強進出はなりませんでした。
川崎は現地時間4月30日(水)、日本時間5月1日(木)深夜に行われる準決勝でアル・ナスルと対戦します。
川崎、脇坂選手のゴールでアルサッドとの延長戦を制す
カタールリーグ王者のアルサッドと対戦した川崎は、キャプテン脇坂泰斗選手の延長前半のゴールで3-2の勝利を収め、アジアの舞台で初の4強進出です。
長谷部茂利監督が「日本の真夏のよう」と表現した暑さの中、プリンス・アブドゥラー・アル・ファイサル・スタジアムに駆け付けた川崎サポーターの応援歌の後押しを受けて、2度追いつかれながらも落ち着いた試合運びを披露しました。
カタール代表のアクラム・アフィフ選手、ブラジル出身のクラウジーニョ選手らの攻撃陣を擁するアルサッドに対して、川崎は序盤から相手の背後のスペースを突く攻撃が機能。前半4分、中盤で相手ボールをカットした山本悠樹選手が右サイドのオープンスペースにボールを出し、これを受けた家長昭博選手がクロスを入れると、ゴール前に走り込んだエリソン選手が右足で捉えて先制に成功しました。
その5分後、今季18度目の国内リーグ優勝を決めたアルサッドも反撃。川崎GK山口瑠伊選手のフィードを中盤で奪って左サイドに展開すると、アフィフ選手とワン・ツーで攻め上がったパウロ・オタービオ選手がペナルティエリアに持ち込んで左足の鋭い振りで同点にします。
しかし川崎は慌てずに試合を進め、24分には山本選手からの相手DFの裏へのパスにマルシーニョ選手が抜け出し、前に詰めてきた相手GKの動きを見ながら右足で決めて再びリードを奪います。守備でもブロックを作って相手の攻撃を限定し、2-1でハーフタイムに入りました。
ところが後半に入ると、疲れが見えてきた川崎に対してアルサッドの動きが上回り、60分過ぎに3バックから4バックに変更すると、サイド攻撃が増えて川崎を押し込む時間が長くなります。71分の同点ゴールもサイド攻撃からでした。
右サイドでボールを奪ったジオヴァニ選手が攻め上がって入れたクロスを、ゴール前でアフィフ選手とハサン・アルハイドス選手がスルー。逆サイドに顔を出したクラウジーニョ選手が右足で合わせて、再びアルサッドが試合を振り出しに戻しました。
その後、両チームとも追加点を奪えないまま試合は延長に突入すると、川崎が98分に試合を動かします。
瀬川祐輔選手が右サイドの高い位置で相手にプレッシャーをかけてボールを奪取。中に折り返すと、山田新選手がペナルティエリア右でつないでゴール前に送ります。これを走り込んだ脇坂選手が右足で捉え、後半途中出場の2人のお膳立てにキャプテンが反応して、ゴールネットを揺らしました。
動きの落ちた相手に対して、川崎は終盤にも山田選手と橘田健人選手が相手ゴールを脅かし、追加点はならなかったものの、最後まで攻撃の姿勢を崩さすに3度目のリードを守って勝利。過去3度の大会で届かなかったベスト4に進出しました。
横浜FM、前半3失点が響いてアル・ナスルに1-4で敗れて敗退
前回大会決勝で取り逃がしたアジアタイトル獲得を目指した横浜FMでしたが、プリンス・アブドゥラー・アルファイサル・スタジアムで行われたアル・ナスルとの一戦は、前半でミスが絡んだ失点が重なり、後半には退場者も出る苦しい展開となりました。
今季Jリーグでの低迷が響いて大会直前に解任となったスティーブン・ホーランド監督に代わって暫定で指揮を執るパトリック・キスノーボヘッドコーチの下、横浜FMはポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手やリバプールなどでも活躍したサディオ・マネ選手らタレント揃いのアル・ナスルの攻撃力を警戒して、前線に植中朝日選手や遠野大弥選手ら守備力のある選手を起用。相手が押し気味に進める中、守備でうまく対応しながら試合を進めていましたが、前半半ば過ぎの最初の失点で流れが変わります。
前半27分、マネ選手の左サイドからのクロスを横浜FMのDFがクリア。これが左ポストに当たり、跳ね返りをコロンビア代表のジョン・デュラン選手が押し込んでアル・ナスルが先制しました。
その3分後、アル・ナスルは横浜FMの前線への縦パスを回収すると、中央を持ち上がったオタビオ選手からマネ選手へパス。マネ選手はスピードに乗ってペナルティエリアに切り込んで左足を振り、GK朴一圭選手と左ポストの間の狭いスペースをついて2-0としました。
さらに38分には、右サイドを攻め上がったスルタン・アルガンナム選手のパスをロナウド選手が落とし、マルセロ・ブロゾビッチ選手が左足でシュート。GK朴選手が止めましたが、弾き返しをロナウド選手が右足で捉えてゴールに押し込み、アル・ナスルが約10分で3得点をマーク。前半を3-0で折り返すと、後半開始直後にも追加点を奪います。
49分、自陣でボールを奪ったアリ・アルハッサン選手がロナウド選手につないでカウンター攻撃を仕掛け、ドリブルで運んだロナウド選手からオタビオ選手経てペナルティエリア左に入ったアリ・アルハッサン選手がシュート。一度はGK朴選手が止めましたが、リバウンドをデュラン選手が捉えてゴールネットを揺らしました。
4点を追う横浜FMは、後半開始から交代出場で入ったアンデルソン・ロペス選手、井上健太選手、渡辺皓太選手の3選手が攻撃を活性化。53分には、右サイドで仕掛けた井上選手からパスを受けた遠野選手がロペス選手に預け、ロペス選手の落としをゴール前に顔を出した渡辺選手が捉えて、1点を返します。
横浜FMはこの直後にも右サイドの井上選手とロペス選手が絡んで決定機を作りますが、わずかに枠を捉えることができません。さらに、70分にはCKの流れから井上選手、ロペス選手とつないで最後は諏訪間幸成選手が頭で押し込みましたが、オフサイドがあったとしてノーゴールとなりました。
その後も攻撃を試みる横浜FMでしたが、73分に渡辺選手が相手を倒して2枚目の警告を受けて退場となり、数的不利での戦いとなります。
3点のリードを奪ったアル・ナスルは選手交代を使ってフレッシュな選手を送り込み、試合終盤には3本の決定機を作って横浜FMゴールを脅かしましたが、GK朴選手が好セーブを連発して追加点を阻止。しかし、横浜FMも思うような得点機を作れず、ベスト8で敗退となりました。
このほかの試合では、25日(金)のファイナルステージ初戦でアル・ヒラル(サウジアラビア)が光州FC(韓国)に7-0と圧勝。26日(土)にはアル・アハリ(サウジアラビア)がブリーラム・ユナイテッド(タイ)を3-0で下し、29日(火)に行われる準決勝第1試合はアル・ヒラル対アル・アハリのサウジアラビア勢同士の顔合わせとなりました。
アジア王者を決めるACLEは今季からファイナルステージとして準々決勝以降を集中開催実施。東西地区を勝ち抜いたチームが一堂に会して一発必勝のノックアウト方式で対戦し、決勝は5月3日(土)にジッダで行われます。
コメント
長谷部茂利 監督(川崎フロンターレ)
接戦になると予想していて、現実に獲って獲られてのゲームになりましたが、最後に延長で制することができて良かったです。選手たちが果敢に、攻撃ではクオリティを求めながら自分たちで崩しを作ろうとし、守備ではやられないように心がけながら、何回か危ないシーンを作られて失点もしましたが、120分を戦って相手よりも多くの得点を獲った。そこが褒められるところだと思います。選手たちは非常にスピリットを感じさせるプレーで、今までの記録を塗り替えようと全力で挑んでいました。
FW 山本悠樹 選手(川崎フロンターレ)
難しいゲームになりましたが、ここにいる選手・スタッフをはじめ、来ることができなかった選手も含めてチーム全員で1つ駒を進めることができました。相手にボールを握られる時間もありましたが、背後など狙えるところもあったので自分たちが落ち着いて攻撃すればチャンスを作れるという感覚がありました。それで3点獲れたのは大きな収穫です。これで歴史は一つ越えましたが、まだ優勝したわけではありません。しっかり引き締めて、また次も勝てるように短い時間でしっかり準備していきたいです。
FW マルシーニョ 選手(川崎フロンターレ)
気温も気候の違いもあってとても難しい試合になりましたが、それをすべて乗り越えて素晴らしい勝利を手にすることができました。クラブにとって今日の勝利は大きなものです。自分たちはこの大会に値するという自負を持ってここに来ています。簡単なゲームは一つもなく、ここまで自分たちが積み上げてきたものが今日の成果につながったと思っています。次の試合まで中2日ですが、しっかり休んでいい準備をして、決勝まで行けるように戦いたいです。
パトリック・キスノーボ ヘッドコーチ(横浜F・マリノス)
最初に失点するまでは問題なくやれていましたが、失点して気落ちして頭を下げてしまい、そこからうまくいかなくなってしまいました。しかも失点は我々のミス絡みだったので、本当に残念でなりません。
DF 松原健 選手(横浜F・マリノス)
ノックアウト形式で失点すると難しくなることは重々承知して試合に入りましたが、プレスがなかなか掛からず、ボールの失い方が悪くなるなどミスが続いてしまいました。個の能力が高い相手はそういうところを見逃しません。前回大会でも同じように失点していた教訓を生かせなかったところが非常に悔しいですし、ボールの失い方やシュートまでいけないところが勝負を分けたと思っています。サポーターはいつも僕たちの背中を押してくれていましたが、僕らが体現できず、自分たちの力不足を感じています。
FW 植中朝日 選手(横浜F・マリノス)
相手の個の能力に圧倒されてしまいました。相手は切り替えが遅いと分析していて、自分たちがボールを奪って速い切り換えからチャンスを作れていたので、やろうとしたことは間違っていなかったと思います。ただ、1つのミスが簡単に相手のゴールにつながる。Jリーグで経験できないことを経験しました。
FW 井上健太 選手(横浜F・マリノス)
前半で試合を決められて難しい試合になってしまいました。途中出場でしたが、海外の選手は人についてくる傾向があるので、背後のスペースを突いていこうと考えていました。今大会は昨季までいた選手を含めて一人ひとりがここまで丁寧につなげてきた戦いで、内容より結果が求められていたと思いますが、1-4で負けたことが全てです。応援してくれた方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
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