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ずっとEnjoy♫ みんなPlay! だれでもJoin♪ 地域と手を取り、問題解決を図る(JFAnews2017年9月情報号より転載)
2017年10月30日
日本サッカー協会機関誌『JFAnews』では、「JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー」の活動紹介を行なっています。その第14回目として2017年9月情報号(No.401)に「引退なし(ずっとEonjoy♫)」「補欠ゼロ(みんなPlay!)」「障がい者サッカー(だれでもJoin♪)」賛同パートナーである千代田区サッカー協会(東京都千代田区)の活動を紹介しました。
■JFAnews2017年9月情報号(No.401)より転載 ■情報提供:サカイク、大塚一樹
2014年に設立された千代田区サッカー協会は、JFAグラスルーツ推進・賛同パートナーに認定された初めてのサッカー協会だ。 U-8アキバキッズリーグ、社会人のフットサルリーグ、男女MIX フットサル、中学生向けのサッカークリニック、キッズから社会人までの区民大会、さらにはブラインドサッカーの体験会などさまざまなイベントを通じて、老若男女がサッカーを楽しめる環境づくりに取り組んでいる。
千代田区サッカー協会のジュニア部長を務める中村圭伸さんは「子どもたちには、大人になってもサッカーを楽しんでもらいたい。そのためにも、小さいころからサッカーに慣れ親しんでほしいと思い、U-8から大会をつくった」と語る。U-8からU-12のジュニア年代の大会は、グラスルーツ宣言の中にある「補欠ゼロ」 「ずっとエンジョイ」に則して、順位を決めずに楽しくサッカーをしようという趣旨で、年に8~9回開催しているという。
一方、千代田区は都心であるがためにある大きな問題を抱えている。中村さんは「もともと区内にはサッカークラブが暁星小学校しかなかった。中学校にはそれぞれサッカー部があるが、サッカーができるグラウンド(校庭)を持っている学校はほとんどない」と内情を明かす。
この深刻なグラウンド不足を解消するために、さまざまな工夫を凝らしている。ジュニア年代の大会は新宿区や渋谷区などで 活動するクラブも集めて、千代田区内の昌平小学校の開閉ドーム式屋上校庭で開催。より広さが必要となるソサイチ(8人制)の大会を、区が保有する東京都小平市の花小金井運動施設を使用して月に一度行っている。
近隣の施設を活用しながらも、悩みの種は中学生(U-15)年代 のプレー環境だ。中村さんは「千代田区にはジュニアユース(U-15 年代)のクラブチームがない。その大きな理由として挙げられるのもグラウンドの不足」と言う。東京都では、ジュニアユースのクラブが東京都クラブユースサッカー連盟に加盟する際、審査がある。中村さんが代表を務めるFC千代田は千代田区で唯一のジュニアユースチームであり、加盟申請をしているが、活動の拠点となるグラウンドを確保できないため加盟を認められずにいる。
もともと千代田区は、サッカーをする子どもが少なかった。2010年にFC千代田ができたことで、ようやくジュニアとジュニアユースのチームができた。サッカー部はあっても部員が少なく、紅白戦はおろかメンバーが11人に満たない中学校もあった。こうした状況に学校からの要望もあって、FC千代田が学校のグラウ ンドを使用し、そこでサッカー部の選手たちを受け入れるようになっていったのだ。
中村さんによると、来年度からは中学校の“講座”という形態で、水曜日の7限目を利用して活動が行われる予定だ。今年は試験運用として、夏休み期間中は、学校のサッカー部に所属する選手もFC千代田ジュニアユースの練習に参加できるようにした。「この活動が認められてFC千代田が東京都クラブユース連盟に加入できれば、中学校の選手たちもFC千代田のメンバーとして 公式戦に出ることができる。子どもたちのサッカー環境をより良いものにするためにも、加盟に向けて出来る限りのことをする」と中村さん。中学生年代の子どもたちのプレー環境を創出することで、地域の子どもたちにサッカーが根付いていく可能性はより高まると期待している。大都市特有の問題点を地域との連携で打開するために、千代田区サッカー協会の奮闘は続く。