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VOL.001 The FA イングランドサッカー協会
2011年09月03日
リスペクトは、2008年頃から世界各国で取り組みが開始されている、世界のサッカー界での考え方です。サッカーが社会的により大きな存在になるにともない、サッカーの社会的価値・責任がますます高まってきていることと大きく関係しています。世界のサッカーは、フェアであること、不正に対して厳しく対抗していく方向性を示しています。この考え方は、サッカーを越えて他の競技にも広がりを見せ始めています。このコーナーでは、リスペクトの世界の仲間達、海外での取り組みを取り上げて紹介していきます。
世界に先駆けてリスペクトの取り組みを開始し、現在も最もリードしているのがイングランドサッカー協会です。この取り組みによって、ヨーロッパサッカー連盟からの表彰を受けました。日本サッカー協会のリスペクトプロジェクトでも、イングランドサッカー協会の取り組みを参考にさせていただいたものが多々あり、このリスペクトFC JAPANも、イングランドサッカー協会で開始されたリスペクトFCのアイディアをいただき、兄弟分として同様に開始させていただくことを、快く了承していただいたものです。イングランドのリスペクトFCの取り組みに関しても、追ってご紹介させていただきます。
イングランドサッカー協会では、2007年に全国のグラスルーツサッカーに関する大々的な調査を行い、その結果を2008年にまとめて発表しました。その中から、誰もがサッカーを楽しむことのできる安全でポジティブな環境を確保するために、リスペクトへの取り組みの必要性が確認され、いくつかの分野での取り組みを開始しました。
①レフェリーのリクルートと保持: 審判に対する暴言等に対抗することで、レフェリーがサッカーから離れる流れを抑える
②ユースサッカーへの参加: 子ども達がサッカーを楽しみ、サッカーをつづけ、向上していくことができるようにするためには、サイドラインからの暴言やプレッシャーをストップさせる必要がある
③指導と育成: 指導者のスタンダードを向上させるためには、プレーヤーを中心に置いた、勇気づけるようなアプローチが不可欠である。特に5-11歳の年代が重要となる。とてもシンプルなことで、良いコーチが良いプレーヤーを育てることができる。
④子ども達の安全: サッカーに関わる誰もが、子ども達を気遣う役割を持っている。子ども達が安全に、暴言やいじめ、差別のない、楽しい環境でサッカーができるようにするために。
これらに取り組むために、2008-09年シーズンより、プロのゲーム、グラスルーツ、両方でリスペクトプログラムへの取り組みを開始しました。プレミアリーグ、フットボールリーグ、プロ選手協会、リーグマネージャーズ協会、プロゲームマッチオフィシャル、全ての州協会との連携をとって活動しています。地域の大人や子どものリーグすべてにこのリスペクトプログラムで役割を果たしてもらいたい、ということで、プログラムへの署名、登録制をとっています。
具体的には4つのステップを設定して取り組んでいます。これらについて、またさらに、3年目に入っての成果の評価と新たな取り組みについても、続けてご紹介していきます。
まとめとして、イングランドのスポーツ大臣よりこのリスペクトの寄せられたコメントを記しておきます。
「サッカーは世界でも最も高い注目を集めているスポーツです。プロリーグの新シーズンのスタートに当たり、再びサッカーが注目を浴びる時が来ました。今日のサッカー選手は、単なるスポーツ選手ではなく、世界中の若者達のロールモデルとなります。サッカーというゲームの中心には常に情熱がありますが、情熱を持つということは、相手に対してリスペクトを欠くことではありません。プレーヤー、コーチ、オフィシャル、観客が、リスペクトへの賛同を約束することが絶対に重要です。スポーツのあらゆるレベルにおいて、変化が起こることを大いに期待しています。TheFA、イングランドサッカー協会がこの道を先導してくれることに大変感謝します。」