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ずっとEnjoy♫ みんなPlay! だれでもJoin♪ “3つの宣言”で クラブの方向性が明確に(JFAnews2017年6月情報号より転載)
2017年06月16日
日本サッカー協会機関誌『JFAnews』では、「JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー」の活動紹介を行なっています。その第10回目として2017年6月情報号(No.398)に「引退なし(ずっとEonjoy♫)」「補欠ゼロ(みんなPlay!)」「障がい者サッカー(だれでもJoin♪)」賛同パートナーである公田サッカースポーツ少年団(神奈川県横浜市)の活動を紹介しました。
■JFAnews2017年6月情報号(No.398)より転載 ■情報提供:サカイク、原山裕平
横浜市栄区を拠点に活動する公田サッカースポーツ少年団は、「引退なし」「補欠ゼロ」「障がい者サッカー」とJFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度が掲げる3つのテーマすべてにエントリーしている。
まずは「引退なし」。40年以上もの歴史を持つクラブだが、中学進学にともなってサッカーを辞めてしまう子どもも少なくなく、現在は卒団生とのつながりが薄い。冨田兄一郎代表は「小学校を卒業すると同時にチームとの関係が途切れてしまう」と問題点を挙げ、「昨年からOBに対して定期的に連絡を取り合える仕組みをつくり、サッカーを続けていきましょうということを推進し始めた」と改善策を講じている。
その一環として、生涯サッカーとの接点にしてもらおうと、年に1度のOB会の開催を予定している。選手の半分以上は地元の中学校に進学するため、卒団生が在学する中学校との連携が鍵になる。冨田代表は「中学校との関係を深め、我々も継続的にサッカーが続けられるような環境をつくっていきたい」と語り、卒団した子どもたちとつながりを継続することで「“公田ファミリー”みたいなものを築いていければ」と青写真を描く。
「補欠ゼロ」に関しては、すでに取り組みが進んでいる。クラブには幼稚園の年少から小学6年生まで、およそ90人が在籍。さまざまな大会や試合がある中で、全ての子どもたちが同じだけの試合に出場できるように配慮している。
全選手に出場機会を与えながら、試合での結果も追い求める。「チームのみんなで協力して、勝つ喜びを味わわせてあげたい」と言う冨田代表は、近隣のクラブの指導者にその考えを共有してもらいたいと補欠ゼロの大会を企画した。といっても、もともと開催されていた大会のルールに、それまで明文化されていなかった「全選手出場」を条件に盛り込んだもので、今年は冨田代表の考えに賛同した近隣他市の5チームが参加した。
現在、クラブには小学校の特殊学級に通っている4年生1人と3年生1人の計2人が所属している。冨田代表は「障がい者がスポーツをする環境が少ない。だからこそ、地域のクラブであるわれわれが、そういう場を提供していくことが使命だと思っている」と語る。
今年1月28日、クラブは日本ろう者サッカー協会の植松隼人コーチとデフサッカー日本代表候補の原口凌輔選手を招いて「手話deサッカー」というイベントを実施した。体を動かしながら手話を覚えるという内容で、コミュニケーションスキルの向上と障がい者への理解を深めたいという狙いがあった。冨田代表は「最初、子どもたちは委縮するかなと思ったが、意外と順応性が高く、大人よりも積極的にコミュニケーションをとっていた」と振り返る。多くの人々が関心を示すなどイベントの成功を受け、「ろう者の少年チームとも交流したい」(冨田代表)など今後の構想も見据えている。
「地域の子どもたちを集めてサッカーをやっていく中で、障がい者を受け入れることや補欠をつくらないことの大切さはなんとなく理解していた。その思いをクラブ全体で共有し、有言実行していきたいと考え、賛同パートナーに申し込んだ」と冨田代表。以前は共通するコンセプトに対してコーチらの考え方にばらつきがあったが、賛同パートナーへのエントリーを機にコーチ陣の中にも共通認識が生まれてきた。現在は、クラブ一丸となって地域クラブとしての理想像を追い求めている。