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丸山桂里奈さんがアテネ五輪出場権獲得の一戦を振り返る JFATV Classics Vol.14
2020年06月10日
公益財団法人日本サッカー協会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため自宅で過ごされている全ての方にサッカー観戦をお楽しみいただけるよう、過去の日本代表戦をJFATV Classicsと題して配信しています。6月25日(木)に開催国が決定するFIFA女子ワールドカップ2023の招致に向けて、今回は多くの選手、ファン・サポーター、関係者から「なでしこジャパン(日本女子代表)の伝説の一戦」として称される試合をお届けします。FIFA女子ワールドカップ2023では開幕戦のスタジアムとして提案している国立競技場で、2004年4月24日に行われた「AFC女子サッカー予選大会2004(アテネオリンピック2004アジア地区予選)準決勝 対 朝鮮民主主義人民共和国女子代表」。女子サッカーの試合で当時過去最多の3万人を超える観客の前で、2大会ぶりのオリンピック出場権を獲得しました。
放送は6月10日(水)20:00より、YouTubeプレミア公開(同時視聴)で皆さまにお楽しみいただけます。試合はアーカイブされ、その後も視聴可能ですので、なでしこジャパンの一戦をぜひお楽しみください。
#StayHome #うちで過ごそう
ナビゲーター:丸山桂里奈さん
アテネ五輪アジア最終予選で、この試合に勝てばオリンピック出場が決まる一戦でした。朝鮮民主主義人民共和国女子代表(DPR Korea)というのは本当に強くて。何が強いって、気迫や気持ちの面でとても強く、いつも私たち日本の前に立ちはだかってきたチームでした。当時の日本女子代表は上田栄治監督を中心に、先輩方がひとつひとつ積み上げてきていて、私はまだ大学生で若手でしたが、「このチームは強い」と感じていました。チーム全体でこの試合にかける思いも強くて、相手に負けないくらいの気合いが入っていました。
2点のリードでハーフタイムに入りましたが、それでも安心している人は誰もいなくて、後半攻めてくるであろうDPR Koreaに対して、「守りに入ってしまっては防戦一方になる」「相手陣地でプレーしよう」と声を掛け合っていました。後半序盤、2得点に絡んだ荒川恵理子選手との交代で入りました。この頃から私はすでに途中投入という役割を与えられていて、後半から流れを変えるカードとしてチームの皆さんからも認識してもらっていました。ピッチに入ったときは、「点を取ってやろう」というよりも、せっかくの良い流れを切らないために、「変なボールの失い方をしないで長い距離を走ろう」とか、「相手陣地で仕掛けよう」とか、とにかくチームメイトを楽にさせたい一心でした。 澤さんとは同部屋だったので、彼女が足を痛めてコンディションが良くないのも見ていました。試合中はそれがわからないくらいのプレーを見せていて、「澤さんの負担を減らさないと」という思いが特に強かった記憶があります。一方で、DPR Koreaもここで勝たなければオリンピックに行けない。身体の当たりもすごくて、ユニフォームが破れるかというくらい引っ張られましたが、私はとにかく気持ちで負けませんでした。
その後のFIFA女子ワールドカップでさらに多くの観衆も経験しましたが、やはり、この時の国立競技場の雰囲気は忘れられません。当時は代表戦でも、スタンドにいるお友達や知り合いを見つけることができるほど観客が少なかったのですが、この日は誰も見つけられませんでした。DPR Koreaの応援席もいつもよりも気合が入っていたように思いました。在籍していた日体大サッカー部の仲間たちがバックスタンドに横断幕を出してくれているのを見つけて、とても心強かったのも覚えています。ピッチに入ってからも、前に仕掛けると歓声が沸き、たとえ話ではなく本当に背中を押されました。
アテネ五輪の出場権を獲得して、それまで「A代表」と呼ばれていた私たちのチーム愛称が「なでしこジャパン」となりました。正直、最初はしっくりこなかったのですが、徐々に好きになり、いまではこれ以外にないと思うくらい好きです。なでしこジャパンには、サッカー人生の多くの時間を過ごさせてもらって、メンバーが変わろうが、一緒にプレーした人たちは全員家族のような存在です。絆の強さをすごく感じます。
なでしこジャパンが世界トップレベルのチームと肩を並べてプレーする姿をもう一度見たいという思いがあります。そのためにはプレー人口が増えること、そして国を挙げての盛り上がりが必要なので、なんとしてでもFIFA女子ワールドカップの日本開催を、と期待しています。アテネ五輪の頃はテレビの前で応援していたであろう世代がその後入ってきて、一緒にFIFA女子ワールドカップを戦い、世界一になりました。日本でサッカーをやっている女子みんなが「なでしこジャパン」の一員だと思っていますし、戦う姿を見せることが次の世代につながっていくという気持ちで、女子サッカーがレベルアップしていってほしいなと願っています。
※配信は終了しました。
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