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川崎FがACL開幕2連勝、甲府、横浜FM、浦和も勝点3を積み上げ
2023年10月05日
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24東地区グループステージ第2節が10月3日(火)、4日(水)に各地で行われ、川崎フロンターレはホームに迎えた韓国の蔚山現代を1-0で破って開幕2連勝。ヴァンフォーレ甲府はホームでブリーラム・ユナイテッド(タイ)に1-0、横浜F・マリノスはアウェイで山東泰山(中国)に1-0で、浦和レッズはホームでハノイFC(ベトナム)に6-0と快勝して、それぞれ今大会初勝利で勝点を積み上げました。グループステージ第3節は10月24日(火)、25日(水)に開催されます。
川崎、橘田選手のゴールで蔚山に雪辱
初戦で勝点3を手にしている川崎と蔚山が連勝を懸けて3日(火)に対戦。両者の顔合わせは3年連続で、川崎にとっては8強進出を阻まれた2年前の対戦を含めて通算で1勝4分4敗と分の悪い相手でしたが、川崎は「アジアを獲るには蔚山を超えないといけない」という鬼木達監督の下、試合開始から積極的にプレッシャーをかけて激しく戦い、勝利への強い執念を見せました。
試合序盤からMF瀬川祐輔選手やMF脇坂泰斗選手、MFマルシーニョ選手らが蔚山ゴールに迫りますが、ゴール前での精度を欠き、連係が噛み合わない場面もあり、枠を捉えることができません。
蔚山は直近の国内リーグ戦から移動を含めて中2日で迎えた対戦に、守備のブロックを作って対応し、中盤でのボールカットからのカウンター攻撃を試みますが動きが重く、なかなか好機を作れません。
スコアレスで後半に入り、蔚山は選手交代で初戦のBGパトゥム・ユナイテッド戦でハットトリックを決めたハンガリー代表FWマルティン・アーダーム選手やMFイ・チョンヨン選手らを投入して前線に厚みを持たせて得点機を探ります。
しかし、川崎は中盤の底で好守備を続けた橘田健人選手を中心に集中を切らさずに対応。後半半ばにはマルシーニョ選手がカウンター攻撃でゴールに迫り、瀬川選手がマルシーニョ選手のクロスにボレーで合わせる場面や、FWレアンドロ・ダミアン選手がペナルティエリアに持ち込んでシュートを放つ場面を作るなど、相手を押し込む場面も増えますがゴールには至りません。
川崎の鬼木監督が「我慢比べになる」と見ていた通り、ジリジリとした展開が続くなか、後半アディショナルタイム目前にして、ついに試合が動きます。
89分、DF山根視来選手の右クロスを途中出場のMF遠野大弥選手が中央で落とすと、それを受けた橘田選手がミドルレンジから思い切りよく右足を振り抜き、ゴールネットに突き刺しました。
これが決勝点となって川崎が勝利。勝点を6としてグループI首位に立ち、アウェイでBGパトゥムに4-2と快勝したジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)は今大会初白星で2位につけ、蔚山は勝点3でジョホールと並びながら総得点数で3位。4位はBGパトゥムです。川崎は、次節24日(火)にはアウェイでBGパトゥムと対戦します。
甲府、長谷川選手の決勝点でACL初勝利
グループHでは、アジアの戦いに初挑戦のJ2甲府が4日(水)、今大会のホームとする東京の国立競技場でタイ強豪のブリーラム・ユナイテッドと対戦し、後半終了間際に後半途中出場のMF長谷川元希選手がゴール。クラブ史上ACL初ゴールで記念すべき初勝利を挙げました。
雨の中で他クラブのサポーターも応援に駆けつけて声援を送るなか、甲府はFWピーター・ウタカ選手やFKのチャンスでDF神谷凱士選手がゴールを狙うものの決められず、連勝を目指すブリーラムのMFラタナコーン・マイカミ選手やMFゴラン・チャウシッチ選手、FWロンサナ・ドゥンブヤ選手らのシュートをGKマイケル・ウッド選手の好セーブや守備陣のハードワークで切り抜けます。
初戦をメルボルン・シティ(オーストラリア)と引き分けて勝点3が欲しい甲府は、60分を前に長谷川選手とFWクリスティアーノ選手を投入。さらにFW宮崎純真選手、MF中村亮太朗選手らをベンチから送り込むと、88分には右CKに中村選手がニアで合わせたヘディングがポストに弾かれます。そして90分、右サイドでスローインを受けたクリスティアーノ選手が上げたクロスをファーサイドで長谷川選手が頭で捉え、ゴールネットを揺らしました。
長谷川選手は、「これだけ多くのサポーターが来てくれて感謝している。そのなかで自分の得点でチームを勝たせられたことはすごくうれしい。この1勝がグループステージ突破につながればいい」と話しました。
同組のメルボルンはアウェイで浙江FC(中国)に2-1で勝利して、今大会初の勝点3を獲得。甲府と勝点4で並びながら、総得点で上回ってグループ首位に立ち、甲府は2位。1勝1敗のブリーラムは3位、浙江は2敗で4位です。甲府は次節10月25日(水)にアウェイで浙江と対戦します。
浦和、ホームで大勝
ホームにハノイを迎えた前回王者の浦和は4日(水)、前後半合計24本のシュートで相手を圧倒して6ゴールを挙げる快勝で、連覇へ向けて着実に勝ち点を積み上げました。
得点ラッシュの開始は前半9分、右CKに右足で合わせたFWホセ・カンテ選手のシュートが相手のオウンゴールを誘い、浦和が先制。前半19分にはFW髙橋利樹選手が倒されてVARでの確認を経てPKを獲得。これをDFアレクサンダー・ショルツ選手が決めてリードを広げ、37分には髙橋選手がMF関根貴大選手のパスを左足で捉えて、3-0で前半を折り返します。
ハーフタイム後も浦和の優勢は変わらず、65分には左CKに関根選手がヘディングで合わせて得点します。その3分後には関根選手がペナルティエリアで相手に倒されてPKを獲得。カンテ選手のPKは相手GKに止められたものの、カンテ選手自らが素早い反応で捉えて押し込んで5-0とします。最後は85分、DF大畑歩夢選手のシュートリバウンドをMFエカニット・パンヤ選手が捉えて、後半途中出場の二人で6-0としました。
グループJの首位にはこの日、ホームで武漢三鎮(中国)に3-1で勝利し開幕2連勝を飾った浦項スティーラーズ(韓国)が立ちました。1勝1分で勝点4とした浦和は2位に付けており、次節10月24日(火)に浦項とホームで対戦します。なお、グループ3位は1分1敗の武漢、ハノイは2連敗で4位です。
横浜FM、水沼選手のゴールで勝点3
ホームでの初戦を落とした横浜FMは3日(火)にアウェイで山東と対戦。J1リーグのヴィッセル神戸戦から中3日の戦いに先発6人を変更して臨みましたが、山東ファンの熱狂的な声援に包まれたアウェイ感の強い雰囲気のなか、前半で手にした1点を守って勝点3を手にしました。
得点は試合序盤の相手の攻勢を凌いで徐々にボールをつなげるようになった前半37分、FWエウベル選手が仕掛け、MFナム・テヒ選手に預けたボールを受けてペナルティエリア左に切り込んでクロスを送ると、これをMF水沼宏太選手が捉えてゴールネットを揺らしました。
山東は元ベルギー代表FWマルアン・フェライニ選手をトップに据えて後半反撃に転じ、FWクリザン選手が2度ゴールを脅かしポストに阻まれる場面もありましたが、横浜FMは粘り強い守備で対応。相手にゴールを割らせず、今大会初勝利で1勝1敗としました。
2試合を終えてグループGの首位は仁川ユナイテッド(韓国)です。初戦の横浜FM戦に続いて、この日はホームでカヤFC・イロイロ(フィリピン)に4-0と快勝で勝点を6としました。横浜FMは勝点3で山東と並びましたが、今節の直接対戦での勝利で2位となり、山東が3位。カヤFCは2連敗で4位です。横浜FMは次節10月25日(水)にホームでカヤFCと対戦します。
なお、日本クラブが不在のグループFでは全北現代モータース(韓国)がアウェイでバンコク・ユナイテッド(タイ)と対戦して2-3で敗れ、今大会初黒星で1勝1敗となり、2連勝のバンコクがグループ首位に立ちました。ライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)はアウェイで傑志SC(ホンコン・チャイナ)に2-1で勝利して初勝利を挙げて3位、まだ勝点のない傑志は4位です。
監督・選手コメント
鬼木達 監督(川崎フロンターレ)
どうしても勝たなければいけないゲームと思って挑みました。アジアを獲るためには蔚山を超えなければ難しいと考えていたので、攻守においてどれだけアグレッシブに戦えるかと試合に入りました。スタートから最後まで選手は本当に集中力も高く、なかなか得点は入りませんでしたが、そのなかでも焦れずにやり続けたことがすべてだと思っています。選手に本当に感謝しています。フリーであればミドルシュートを狙っていこうという話はしていましたが、あんなに素晴らしいミドルになるとは思っていなかったです。ジョホール戦から今日につながっていると思います。アジア制覇しようと思ったら超えないといけない相手なので、うれしく思います。自分たちが目指すべきものに一歩ずつ近づいているという意味では、喜ばしい勝ちになったと思います。
MF 橘田健人 選手(川崎フロンターレ)
ずっと勝てていなかった蔚山に今日ホームで勝つことができて、本当に良かったです。得点場面は、ボールをもらう前から呼んでいて、落としが来たので入ってくれと思いながら思い切り振り抜いたら、いいコースに飛んでくれました。試合前から簡単な試合にはならないと思っていたので、そのなかで最後まで全員が集中して戦うことができたので、勝てたと思います。直接自分のゴールで勝たせることができて、特別な思いになりますし、今後もこういう活躍をしてチームの勝利に貢献したいと強く思いました。
MF 脇坂泰斗 選手(川崎フロンターレ)
蔚山は中2日で移動もあってスケジュール的に厳しいことも分かっていて、自分たちに体力的な分があるなと感じていました。試合前から得点を重ねて試合を進めたいと思っていました。狙い通りの展開ではあったのですが、前半で決め決めるところ、もっとチャンスを作るところはまだまだかなと思いました。J1の新潟戦の戦い方から反省して、追い方などを修正して臨んだのが良かったと思います。
ホン・ミョンボ 監督(蔚山現代)
負けてしまいましたが、選手たちは準備した通りに臨んでくれて、全体的には予定した通りに進めることができました。川崎は中盤にボールを入れるプレースタイルなので、中盤をコンパクトにする必要があると考えて、そこは選手たちがうまくやってくれました。ただ、終盤は体力的に心配していたところで、そこを乗り越えることができませんでした。失点場面はサイドチェンジからの展開で、我々の守備のバランスが崩れて良いポジションを取れていませんでした。リセットして、まずは残っているリーグ戦へ向けて準備したいと思います。
MF 江坂任 選手(蔚山現代)
相手にやりたいことはやらせずに、自分たちもチャンスはあったと思うので、そこで点が取れればよかったですし、最後は少し力の差というか決定力の差というのが出て、やはりアウェイだなという感じがしました。個人的には自分のところでタメもできて悪くはなかったと思うのですが、ゴールやアシストに絡めていないので、チームとしてゴールがないというところでは自分の役割としてはまだまだだなと思います。