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鹿島、川崎Fに延長勝ちで天皇杯5度目の優勝
2017年01月02日
鹿島アントラーズは1月1日(日・祝)、大阪・市立吹田サッカースタジアムにて行われた第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝で川崎フロンターレを延長の末2-1で破って6大会ぶり5度目の優勝を飾り、Jリーグ優勝と合わせて年間2冠を達成。川崎Fの悲願のクラブ初タイトル獲得はなりませんでした。
天皇杯優勝5回は過去最多で、鹿島は今回の栄冠で、Jリーグ優勝8回、Jリーグルヴァンカップ優勝6回と合わせてクラブ通算獲得タイトルを19となり、歴代最多を更新しました。
両チームが前回対戦した11月23日(水)のJリーグチャンピオンシップ準決勝からこの1ヵ月余りで10試合目となった鹿島でしたが、FIFAクラブワールドカップ準優勝へつながった、粘り強く固い守備と鋭いカウンター攻撃を見せます。
対する川崎Fは、前回の雪辱と初タイトルを目指し、MF中村憲剛選手の「前回とは違う」という言葉通り、積極的にパスをリズム良く繋ぐプレーを展開。両者が激しい競り合いを見せる試合になりました。
川崎Fは13分にFW大久保嘉人選手がペナルティエリアへ切り込んでチップキックでゴールを狙い、その4分後にはダイレクトパスを繋いでFW小林悠選手がシュートを打ちますが、いずれもGK曽ヶ端準選手に止められます。
鹿島は22分、MF小笠原満男選手のFKをDF山本修斗選手が落としてDF西大伍選手が低いヘディングで合わせますが、相手DFに阻まれます。30分を過ぎると鹿島がゴール前へ迫る場面が増え、42分にCKを獲得。このCKを山本選手がヘディングで合わせてゴールネットを揺らし、鹿島は1-0リードで前半を折り返しました。
しかし、ハーフタイム後は川崎Fが反撃。後半開始からMF三好康児選手を投入すると、縦への推進力がアップし、攻撃が活性化します。すると54分、中盤右サイドで獲得したFKの流れから小林選手が三好選手からリターンパスを受けると、相手DFを交わして右足で同点ゴールを決めました。
小林選手はその4分後にもMF大島僚太選手のパスを受けて、さらにその7分後には三好選手からのクロスボールを受けてシュートを放ちましたが、相手DFとポストに阻まれて、追加点を決められません。
鹿島はFW赤﨑秀平選手やMF永木亮太選手がミドルレンジからゴールを狙いますがゴールは割れず、67分にFW鈴木優磨選手、88分にはMFファブリシオ選手をベンチから送り出して得点機を探りますが、均衡を破ることはできず、試合は延長戦へ入ります。
延長に入ると鹿島が序盤から攻撃のギアを上げ、延長前半3分にはファブリシオ選手がシュート。直後にはCKから西選手がクロスバーを叩きます。
再び試合が動いたのはその流れからでした。クロスバーの跳ね返りを拾って繋ぎ、鈴木選手からパスを受けた西選手が相手DFともつれながら中央のファブリシオ選手へ折り返すと、「鹿島で最後の試合でチームのためになにかしたかった」というファブリシオ選手が右足で決勝ゴールを決めました。
追いかける川崎Fは98分にMF森谷賢太郎選手、延長後半開始にはFW森本貴幸選手を投入し、選手のポジションを変更して得点機を探ります。しかし、再びゴールを割ることはできず、初の決勝進出でクラブ初タイトル獲得の願いは叶いませんでした。
なお、この結果、2月18日(土)に横浜・日産スタジアムにて行われるFuji Xerox Super Cupに2冠の鹿島は天皇杯覇者として出場し、Jリーグ年間2位の浦和レッズと対戦することになりました。
監督・選手コメント
石井正忠 監督(鹿島アントラーズ)
歴史ある天皇杯で6年ぶり5度目の優勝ができて、本当に良かったです。FIFAクラブワールドカップ決勝ではレアル・マドリードに敗れて悔しい思いをしましたが、天皇杯を獲って2016年の締めくくりにしようと話していました。しっかり勝てて嬉しく思います。クラブワールドカップ決勝でレアル・マドリードに延長戦を戦った経験がここで活きていましたし、押し込まれながらもしっかり守備で耐えてチャンスを狙う戦い方がはっきりしたことも、120分間持った要因だと思います。チームは最後まで一体感を持ってやるべきことをやってくれました。
柴崎岳 選手(鹿島アントラーズ)
川崎が良いサッカーをしていたので、すごく難しい部分がありましたし、延長までもつれましたが、チーム一丸となって戦えたのが良かったと思います。(連戦の)疲れは選手全員にありましたが、「もうちょっとだから頑張ろう」と全員で声を掛けあって、最後まで粘った守備ができましたし、本当に優勝したいという思いを選手がピッチで出せたと思います。この流れを来シーズンへつなげていきたいです。
小笠原満男 選手(鹿島アントラーズ)
勝ちにこだわってタイトルを獲りに行くことが1年を通してのチームの目標でしたので、シーズン最後に天皇杯を獲れてうれしいですし、勝ちにこだわったプレーができたと思います。選手、スタッフ、サポーターが一丸となって戦えるのがこのチームの良さです。来シーズンもさらにタイトルを重ねていけるように頑張りたいです。
風間八宏 監督(川崎フロンターレ)
選手が最後まで勝ちたい気持ちを出してくれて、実際にチャンスは多く作れましたし、我われのサッカーを見せられたと思います。ベンチから見ていても選手たちの成長した、逞しい姿を見ることができました。結果だけが残念ですし悔しいですが、次に繋がると思います。結果以上に、逞しくなった選手たちは僕にとって喜びでもあり、誇りでもあると感じました。
中村憲剛 選手(川崎フロンターレ)
勝つチャンスは十分あったと思います。開始から脅かす場面は多かったですし、相手に何かされたわけでもなかったのですが、自分たちが決めないで、セットプレーで相手に1本入ると流れは変わります。追いついてから畳み掛けられなかったのも、もったいなかったです。本当にちょっとの差ですが、その差は天と地の全然違う結果を産みます。その差を精査して埋めていかないといけません。
小林悠 選手(川崎フロンターレ)
前半0-1でしたが絶対に追いつくという気持ちでプレーして、追いついたところまではよかったのですが、もう一歩、1点獲ってチャンスが続いたところで決めきれないのは、自分の弱さだと思います。そういうところでもう一点とれるFWにならないといけないと感じました。
第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会
2016年8月27日(土)〜2017年1月1日(日・祝)