競技中、選手に脳振盪の疑いが生じた場合の対応について
2024年7月1日より2021年1月から3年間試行された「脳振盪による交代(再出場なし)」ルールが競技規則「第3条‐競技者 2.交代の数 脳振盪による交代(再出場なし)の追加」として追加されたことに伴い、ルールの適用は大会判断となりました。脳振盪の疑いが生じた選手の対応につきましては、従来通り、「サッカーにおける脳振盪に対する指針」にもとづき、チーム、審判員、競技会運営者との協力により、細心の注意を払って対応をし、決して無理をしてプレーを継続させることのないようご注意ください。
対象試合
大会にて脳振盪の疑いによる交代を採用すると決定している試合
手順
- ① 競技中、選手が頭頸部を強く打ったと主審が判断した場合、主審はすみやかに当該選手のチームドクターをピッチ内に呼び、チームドクターは脳振盪が疑われるか判断をする。主審の判断、またはチームドクターからの要請を受けた主審はバックボードを適宜ピッチに入れる指示をする。
(バックボードを扱うものは事前に使用訓練を受けること) - ② チームドクターは、当該選手に脳振盪の疑いがある場合、自分の拳を頭の上に乗せ、主審に「脳振盪の診断を始める」旨伝える。
- ③ それにともない、主審は時計の計測を始め、最長3分間を診断の時間として認める。
- ④ チームドクターは、脳振盪評価用紙(Pocket SCAT5)等を使用するなどし、適切な判断を行う。
- ⑤ 脳振盪が疑われなかった場合にはその時点で試合再開とする。3分間を超えても判断できなかった場合、主審は当該選手を一旦ピッチ外に出し、プレーを再開させ、チームドクターは引き続きピッチ外で判断を行う。
- ⑥ 主審は、チームドクターの許可がある場合に限り、選手が競技に復帰することを認める。
- ⑦ 主審は、脳振盪の判断のために使用された時間を把握し、その時間を通常のアディショナルタイムに追加する。
- ⑧ 脳振盪の疑いがあると判断された場合は、脳振盪の追加の交代枠を使用し、選手を1名まで交代できる。
なお、画像検査も含めて総合的に脳振盪と診断された選手は、脳振盪からの復帰プログラム(表1)にもとづき、段階的プログラムを組んで復帰するようにする。
脳振盪からの復帰プログラム
表1
| ステージ | 内容 | 具体的な行動 |
|---|---|---|
| ステージ1 | 活動なし | 体と認知機能の完全な休息。 |
| ステージ2 | 軽い有酸素運動 | 最大心拍数 70%以下の強度での歩行、水泳、室内サイクリングなど抵抗のないトレーニング |
| ステージ3 | スポーツに関連した運動 | ランニングなどのトレーニング。頭部への衝撃となる活動は控える。 |
| ステージ4 | 接触プレーのない運動 | パス練習などのより複雑な訓練で運動強度を強めていく。 |
| ステージ5 | 接触プレーを含む練習 | 医学的チェックで問題がなければ通常練習を行う。 |
| ステージ6 | 競技復帰 | 通常の競技参加。 |


