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スポーツ救命ライセンス講習会をJFAハウスで開催
2023年05月10日
(一社)日本アスリートライフサポート協会(JALSA)は5月3日(水・祝)、今年2月以降2度目となるJFAハウスでの「スポーツ救命ライセンス講習会」を開催しました。
トレーナー、看護師、学生など幅広い年代の方が受講しました。14名が新規にライセンスを取得し、1名がライセンスを更新しました。
午前の講義では、熱中症や脳振盪(のうしんとう)などスポーツ現場で起こり得ることが多い事象の対処法について学びました。午後の実技では少人数のグループに分かれて心肺蘇生の中でも最も重要となる胸骨圧迫とAED(自動体外式除細動器)の使い方、バックボードによる全身固定・搬送についてインストラクターから指導を受けました。受講者が協力しあって一体感のある講習会となりました。
日本サッカー協会は、ピッチ上の選手の安全を守ることを第一とした「スポーツ救命ライセンス講習会」と簡易救命講習会である「JFA+PUSHコース」を2017年から実施しています。「スポーツ救命ライセンス講習会」は、(公財)日本スポーツ協会(JSPO)公認アスレティックトレーナーが資格更新のために保有しなければならないBLS(Basic Life Support:一次救命処置)資格取得のための講習会として認定されています。
※AEDのご購入・リースは、「メディカル」の「AEDのご紹介」をご覧ください。
※講習会開催希望の団体は、「講習会を開催するには」の[問い合わせフォームはこちら]からお問い合わせください。
※講習会受講希望者は、「①スポーツ救命ライセンス講習会」の「開催要項」からお申し込みください。
インストラクターコメント
鈴木僚子さん(看護師/東京歯科大学市川総合病院)
今回は男女分けての班分けだったので、いつも男性にやってもらうバックボード固定の患者さん役も、女性に体験してもらえました。
BLSでは、雨が降っていたらどうしたらよいか等、自分の周りに起きたらどうするか?という質問をいただき、熱心さが伝わってきました。
私のブースの方は、医療者ではなくてもサッカーに通じているからこそ、何かあったら助けたい!という想いで参加されている方が多く、いつも医療に携わっている方々のコースに出ている私にとって、新鮮でとても楽しかったです。実際フィールドでアクシデントが起こった場合、そんな状況に慣れていないことでビックリしてしまい、率先して動けないかもしれません。でも、今回のコースを受けたことで何かしら一つでも行動にうつしていただければ幸いです。
また、人に伝達することで知識の振り返りにもなります。ぜひ、周囲の方にも広めていってほしいと思います。
参加させていただき、ありがとうございました。
受講者コメント
平野祐貴さん(アスレティックトレーナー/法政大学)
私は現在、中学生や大学生年代のサッカーの現場でトレーナーとして活動させていただいている中で、これまで心肺蘇生やAEDの使用などの一次救命処置が必要な場面に遭遇することはありませんでした。しかしトレーナーとしてチームに関わる以上、選手の命を守ることが最も重要であり、その様な有事に対応できるように常に準備しておく必要があるため本講習会を受講させていただきました。
講習は座学と実技が行われ、座学では講師の先生の経験や最新の科学的知見等も交えた講義を通して一次救命処置に必要な知識を再確認できました。実技では胸骨圧迫やAEDの使用法を中心に行った後、バックボードとヘッドイモビライザーを用いた傷病者の搬送法までを丁寧に実践しました。どちらもこれまでに講習を受けたことがあり、知っているつもりでしたが期間が空いてしまうと細かな部分は忘れていて難しく、やはり緊急時を想定して日頃から練習することが必要だと感じました。また今回は講師の方々が医師や救急救命士、看護師をされている方々だったため、よりリアルな学びを通して繰り返し実践することの重要性を再認識する上で大変有意義で貴重な時間となりました。その中で実技の講師の方から「一時救命処置や搬送について、少しでも知っている・できる人を増やすことが誰かの命を救うことにつながる」というお話が印象的で、現場でも自分一人が知っているだけではできないことも多いので今回学んだことはチームを巻き込んで実践していけるようにしたいと思います。
この度は本講習会をご準備いただいた方々、講師の皆さま、誠にありがとうございました。
佐野賢太郎さん(看護師/鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師)
仕事柄、一次救命処置の研修は度々受講していますが、今回受講したスポーツ救命ライセンス講習会では、よりスポーツ現場に特化した一次救命処置を学ぶことができました。
いつ誰にでも起こりえる心臓震盪や脳振盪、熱中症などを、ピッチ上で実際に起きた事例を取り上げて解説していただいたため、臨床のイメージがしやすい内容でした。さらに実技では、現場を想定した一次救命処置や、バックボードでの搬送など、より臨床を意識した実技講習で、内容の濃い講習会でした。
一次救命処置は、たびたびアップデートされ、以前私が学んだものよりも変化していますが、「時間が勝負の救命処置の中で、救急車の到着までの間に、周囲の人と協力して迅速に適切な処置を行えるか」という点は変わらず、積極性と協調性が重要であることを再認識でき、そして、一度講習会で学んだと言って、学ぶ事をやめずに学び続けていこうと感じました。