日本女子代表は10月6日(金)、杭州市のHuanglong Sports Centre Stadiumで行われた第19回アジア競技大会（2022/杭州）決勝戦 朝鮮民主主義人民共和国女子代表戦に臨み、4-1で勝利しました。

日本は3日前の中国女子代表戦と同じ先発メンバーで4-2-3-1の布陣、GKに浅野菜摘選手、DFは左から小山史乃観選手、古賀塔子選手、後藤若葉選手、天野紗選手が並びます。ボランチを脇阪麗奈選手と谷川萌々子選手が組み、その前方に左から中嶋淑乃選手、塩越柚歩選手、山本柚月選手が立ち、最前線には千葉玲海菜選手が入りました。

涼しげな風が吹く会場は37,166人が集まり、DPRコリアを応援する声が大きく、試合開始と同時に圧力をかけて次々と日本ゴールへシュートを放ちます。日本はそれをはね返す守備の時間が続きましたが、10分に右サイド山本選手のアーリークロスを受けた中嶋選手がダイレクトシュート。この日、日本が放った1本目のシュートが先制点につながりました。その先制点で日本は相手を押し込む時間もありましたが、DPRコリアも再び攻撃に転じます。今大会好調のKIM Kyongyong選手が、38分にクロスボールを合わせて1-1の同点となりました。

日本は後半、前線に上野真実選手と大澤春花選手を投入。千葉選手が右サイドに移動しました。しかし日本は、前線にボールを収めることができず苦戦する時間が続きます。そんな中、状況を打開したのはセットプレーでした。66分、左CKを蹴った谷川選手のボールを大澤選手が頭で合わせて勝ち越し。その3分後には谷川選手が左足で強烈なミドルシュートを決めて3-1としました。その後も日本の勢いは止まらず、左サイドでボールを受けた千葉選手が巧みなトラップで前方に運び、そのままシュート。千葉選手の今大会7ゴール目で4-1とさらにリードを広げました。DPRコリアは次々と選手を入れ替て日本ゴールを襲いますが、GK浅野選手の決死のセービングや後藤選手と古賀選手の守備範囲の広いカバーリングでブロック。ボール際の戦いは激しさを増しましたが、後半アディショナルタイム6分も日本が追加点を許さず、4-1のまま試合終了。日本が大会連覇を達成しました。

試合後のメダル授与式では、3位決定戦を制した中国、DPRコリア、そして日本の順にメダルが授与。金メダルを首にかけた選手たちは誇らしげな表情で日本国歌を聞き、2大会連続3回目の金メダル獲得を喜びました。

監督・選手コメント

狩野倫久 監督（アジア競技大会2022日本女子代表）
今大会を戦う中で少しずつできることが増え、チームのコンビネーションも増えてきましたが、準決勝では中国に3失点したので、そこを改善してファイナルに臨みました。独特の緊張感や雰囲気でも選手は強い気持ちでこの一戦に挑んでくれました。苦しい時間もチーム一丸となって乗り越え、前半にできている部分をさらに追求して後半に臨み、追加点を挙げられたことが非常によかったと思いますし、途中出場選手もしっかり役割を果たしてくれました。チーム一丸となって得た勝利だと思います。トレセンシステムや地域における育成がしっかり構築された中、指導者も同じ方向性を持って活動している成果でもありますし、WEリーグだけでなく、なでしこリーグ、大学などでも拮抗したゲーム環境があることが（強さの）ベースにあります。一歩でも半歩でも進歩できるように指導者と選手が一緒になることで、もう一度世界一を奪還するなでしこジャパンへの積み上げができていると思います。

DF #4 後藤若葉 選手（早稲田大）
率直に嬉しいです。いつもプレーしている大学女子リーグとは強度やプレスの早さが違い、みんなに迷惑をかけてしまう部分がたくさんあったんですが、助けてもらいながら戦いました。自分は大学サッカーを代表してプレーするという強い気持ちで来たので、その中で結果を残せて素直にすごく嬉しいです。準決勝までの失点がすべてセットプレーからで、急造チームでそこまで詰め切れないというのは言い訳にもならないと思っていて、今日はCKからの失点をゼロに抑えられたのは大きな成果でした。若い選手が多い中で自分は中堅くらいで、若い選手はU-20女子ワールドカップなどを経験するので、さらに競争も激しくなっていくと同時に、日本女子サッカーは本当に層が厚いと感じています。その中で自分も上を目指していきたいですし、またこういった舞台に戻ってきたいと強く思いました。

MF #5 脇阪麗奈 選手（セレッソ大阪ヤンマーレディース）
素直に嬉しいです。守備で貢献しようと思っていて、自分たちを信じて「大丈夫、大丈夫」と常にピッチの中で声をかけていたんですが、若い選手も最初は緊張もある中、だんだん自分のプレーができるようになりました。ハーフタイムでも「自信を持ってつなごう、自分たちがやってきたことをとにかくやり切ろう」と話していました。うまくいかないことも多かったんですが、全員が団結していたことが相手を上回った要因だと思います。金メダルがとても久しぶりなのですごく重いですが、この3週間頑張ってきてよかったです。C大阪でも若い選手を引っ張ってWEリーグでは優勝を目指し、個人としてはなでしこジャパンに入っていけるように頑張りたいと思います。

MF #11 中嶋淑乃 選手（サンフレッチェ広島レジーナ）
金メダルが取れて最高です。先制点は自分の裏のスペースが空いているのが分かっていて、そこにいいボールが来たので触るだけでした。前から（ボールを奪いに）来る相手だったので、その裏のスペースをうまく狙えてよかったです。90分を通してみんなで身体を張って、あの1失点だけに抑えてくれたおかげで、後半のあの得点が続けて入るいい流れに持っていけたのかなと思います。今はとてもいいコンディションなので、帰国したらこのままWEリーグカップの決勝戦も得点して、そちらも絶対優勝したいと思います。

FW #15 千葉玲海菜 選手（ジェフユナイテッド市原・千葉レディース）
アジアチャンピオンを目指してきて、しっかりこの色のメダルを取れて本当に嬉しいです。金メダルは本当に重いですし、このチームで優勝を目指してやってきてよかったと思いました。初対面の選手もいて一緒にプレーする時間が短い中、最初はたぶん全員に不安などがあって大会が始まり、いろんな思いがそれぞれにあったと思います。試合に出られず悔しい思いをしている選手もいて、出場した選手はその責任を背負って戦っていました。チーム全員が短い時間で一体感を持てたことが、このメダルの色になった要因だと思います。自分も出た試合は全部（得点を）決めたいと思っていて、なでしこジャパンに食い込むために結果が求められる中、アウェーの雰囲気でも成果を示せたと思います。

第19回アジア競技大会（2022/杭州）

大会期間：2023年9月19日(火)～2023年10月7日(土)

【女子】グループステージ
第1戦　9月22日(金) 20:30[日本時間] ◯ 8-0 vs バングラデシュ女子代表
第2戦　9月25日(月) 20:30[日本時間] ◯ 8-0 vs ネパール女子代表
第3戦　9月28日(木) 17:00[日本時間] ◯ 7-0 vs ベトナム女子代表
【女子】ノックアウトステージ
準々決勝　9月30日(土) 20:30[日本時間] ◯ 8-1 vs フィリピン女子代表
準決勝　10月3日(火) 21:00[日本時間] ◯ 4-3 vs 中国女子代表
決勝　10月6日(金) 21:00[日本時間] ◯ 4-1 vs 朝鮮民主主義人民共和国女子代表

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