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ブルーノ・ガルシアのフットサル道場 vol.8「アジアは育成に本気 日本も負けてはいられない」
2019年11月20日
必見「フットサル道場」!
機関誌『JFAnews』で連載中のブルーノ・ガルシアフットサル日本代表監督のコラムをJFA.jpでもお届けします。フットサルの魅力や指導法など、フットサルだけでなく、サッカーにも通じるポイント満載です。
※本コラムはJFAnews2018年6月に掲載されたものです
数々の取り組みを日本が前進するきっかけに
DUARIG Fリーグ2018/2019シーズンが6月16日に開幕する。今シーズンの見どころの一つは、リーグがディビジョン1とディビジョン2に分かれる2部制を取り入れ、昇格するチームと降格するチームが現れることだ。
スペインやポルトガルなどフットサルが広く認知されている国では、シーズンが終盤にさしかかると、リーグ全体が盛り上がる。優勝を争うチームと残留や昇格を目指すチームが、熱戦を繰り広げるからだ。程良い緊張感は、選手のプレーの質を向上させる。何かを懸けて戦うチームが多ければ多いほど、そのリーグは健全といえる。
リーグを盛り上げ、選手たちの成長につなげるのもリーグの大会方式次第。その意味では、Fリーグのディビジョン1で残留争い、ディビジョン2では昇格争いが行われることは喜ばしい。一人一人のプレーの迫力やテンションが直に伝わってくる機会が身近になることで、新たなフットサルファンも生まれるのではないかと期待している。
もう一つ、気になるトピックがある。若手の育成を目的に今シーズンからディビジョン1に参戦する「Fリーグ選抜」の存在だ。このチームは、1993年4月1日以降生まれの選手を集めたグループで、選手たちにはフットサルに専念できる活動環境が用意されていると聞く。いわばプロとしての取り組みができるわけだから、選手たちにはぜひそのチャンスを最大限に有効活用して将来につなげてほしい。来日したときから、チームの主力として君臨する経験豊富な選手とそれ以外の若い年代の選手に生まれた「世代間のギャップを埋めたい」と言ってきた自分としては、今回の選抜チーム導入を日本フットサル界が前進するきっかけにしてほしいとも思う。
21歳という年齢を感じさせず、日本代表の一員として奮闘する清水和也(写真中央)。
清水に続く選手が出てくれば、リーグも代表チームも活性化される
世界と渡り合うには二つの視点が必要
このコラムで、何度か「アジア各国の成長が著しい」と言ってきた。これはトップの代表チームだけではなく、育成年代にもあてはまる。選手を育てるには、一定の時間がかかる。だからこそ、若手を強化するという方針が固まったら、すぐさま行動に移すことがポイントになる。
ベトナム代表の監督を務めていたとき、代表チームの選手の高齢化が進んでいると感じ、同国フットサル委員会に「代表チームの強化には、若手の育成が絶対条件」と訴え続けた。私がベトナムを離れて日本に来た後、彼らはU-20フットサル代表チームを自国のリーグ戦に参加させることで強化を図った。昨年、タイで開催されたAFC U-20フットサル選手権で、日本はそのベトナムと同じ組に入った。われわれはベトナムに3-1で勝ったが、内容はほぼ互角だった。それどころか、彼らは日本が引き分けたタジキスタンに勝利するなど、私がベトナムにいた頃からは考えられないほどの成長を遂げていた。
ちなみに、タイでのパフォーマンスに手応えを得たベトナムフットサル委員会は、今度はU-20代表だけではなく、U-23代表チームをリーグに招き入れるという。
Fリーグやベトナムの施策を見ていて、二つの視点を持つことが大事だと感じる。一つは、若い選手を強化することによって国内リーグを盛り上げるという内的な視点。もう一つは、その若手を鍛えた後、どのレベルの相手と競い合ってほしいかという外的な視点だ。
日本の場合、アジア各国との差を広げながら、世界の強豪との差を詰めなければならない。イランやスペイン、ブラジルといった世界でもトップレベルの強豪と互角に戦うには、内的な視点だけでは足りない。リーグも代表チームも視点をそろえて、常に世界を意識しながら強化につなげる必要があるとあらためて感じている。
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