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ブルーノ・ガルシアのフットサル道場 vol.13「共有することが重要なワケ」
2019年12月25日
必見「フットサル道場」!
機関誌『JFAnews』で連載中のブルーノ・ガルシアフットサル日本代表監督のコラムをJFA.jpでもお届けします。フットサルの魅力や指導法など、フットサルだけでなく、サッカーにも通じるポイント満載です。
※本コラムはJFAnews2019年4月に掲載されたものです
知っていることは話してもなくならない
指導している選手のレベルや年齢、性別を問わず、指導者ならば誰しもが何らかの実績を残したいものだと思う。自分の場合はどうか。フットサル日本代表で結果を残すことはもちろん大事だが、優秀な指導者を育てることで日本に貢献したいとも考えている。
勝負の世界に身を置いていると、勝つために何をすべきかというところにとらわれてしまい、自分を見失うことがある。そんなときは視点を変え、どのように指導者を育てるかについて考えるともやもやしたものが晴れてくる。
指導者養成講習会やリフレッシュ講習会などで指導者とやり取りする中で感じるのは、彼らの向上心だ。指導のエキスパートから指導を始めて間もない者まで経験値はそれぞれだが、誰もが何かを学ぼうという意欲を持っている。
そんな指導者たちにあえてリクエスするとしたら、「情報共有しましょう」に尽きる。
突然、「あなたが知っていることを共有してください」と言われると、自分が蓄積してきたものをさらけ出してしまうのかと不安になる人がいる。手のうちを明かすようで、違和感を抱くのだろう。
でも、怖がることはない。知識を共有することにはメリットしかないからだ。
自分のアイデアと誰かのアイデアを共有すると、アイデアが二つに増える。場合によっては、もっと増える。こうして知見を膨らますことによって新しい考えが生まれ、引き出しも増えていく。
こうした知識や情報は「物」ではないから、共有しても交換してもなくなる恐れはない。一方、アイデアを共有することに懐疑的な人は、知識や情報を食べ物や文房具のようなものに捉えているように感じる。そういう人には、「大丈夫、あなたが知っていることを誰かに話したとしても、その情報がなくなるわけではありません」と伝えてあげたい。
ブルーノ監督は、指導者講習会で必ず「恥ずかしがらずに情報共有しましょう」と
受講者に呼びかけるという(写真は第11回JFAフットボールカンファレンス高知の分科会より)
公の場で質問すれば答えもみんなに届く
指導者講習会で講義をすると、終わった後に個別で質問してくる参加者がいる。みんなの前で聞くほどのことではないと気を使っているからなのかもしれない。どんなタイミングであっても話を聞きに来てくれるのはうれしいことなので、私も喜んで答える。だが、その際に冗談半分で「あなたはエゴイスト(自分勝手)ですね」と言うと、質問者は決まって面食らったような顔になる。
これは半分本気だ。個別に来た質問に私がいくら丁寧に答えたとしても、それは個人にしか届かない。的を射た質問であればなおのこと、みんなの前でしてくれる方が答えも全員に届き、講習会はさらに有意義なものになる。
知っていることや思っていることを共有するのは、奥ゆかしさを美徳とする日本人にとって意外と難しいことなのかもしれない。だとすれば、こちらから受講者に働きかけ、それを少しずつでもいいから変えていきたい。
なぜなら、スペインのフットサルが急成長した背景には、戦術をはじめとする知識を「共有してきた」歴史があるから。何より自分自身が、講習会で投げかけられた質問や多くの人々との出会いに刺激を受け、成長してきたからだ。
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