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U-15日本代表候補 5日間のトレーニングキャンプが終了
2022年04月02日
3月28日(月)からスタートした、今年最初のU-15日本代表候補トレーニングキャンプは、Jヴィレッジで5日間の活動を終えました。
今回のキャンプは全選手にとって初めての代表活動となり、所属チーム内や日本国内での競争だけではなく、世界と戦うための基準や、成長する選手がいかに日常から意識を高く取り組んでいるかなどが伝えられました。トレーニングではピッチに出る前に映像を使ったミーティングを行い、ゴール前の攻防やシュート意識、守備におけるポジショニングなど、テーマに応じた映像を見てイメージを共有してからトレーニングを行いました。
ピッチ外でも、帯同したスタッフ陣より、食事やセルフケア、フィジカル面での改善など、多くのことが選手に伝えられました。
新型コロナウイルス感染拡大予防のため、ホテルも個室、食事中も黙食など、選手同士の交流も制限がある中、選手たちはピッチ上で積極的にコミュニケーションを図り、非常に活気のあるチーム活動となりました。
最終日の1日(金)には尚志高校と40分×3本の形式で練習試合を実施しました。尚志高校は新1年生のチームで臨み、早生まれを除くと基本的に新中3の選手が中心のU-15日本代表にとっては1学年上の相手となりました。強風の中行われた試合は、序盤は風下かつ相手の激しいプレスと高いフィジカルを生かしたプレーに押し込まれる時間が続きましたが、トレーニングで培った守備の連係をいかし無失点で耐え抜きます。次第に落ち着きを取り戻し、自分たちがボールを保持する時間が長くなると、得点チャンスを作り始めますが、相手の好守にも阻まれ、1本目は0-0で終了します。
2本目がはじまると、入りに注意したい時間帯の開始7分、裏へ抜け出した相手FWに隙を突かれ、尚志高校に先制を許します。それでも、廣山望監督から「もっと積極的なプレーを見せてほしい」檄を飛ばされたU-15日本代表は、左サイドバックの小浦拓実選手が駆け上がり、味方と連係しながら最後は自ら切り込んでシュートし、1-1の同点に戻します。その後も押し込む展開が進みますが、PKを失敗するなど、フィニッシュの精度を高められず同点のまま2本目も終了します。3本目もスタートがバタついてしまい、相手にシュートチャンスを許すと、一度はGK亀田大河選手が防ぐもののこぼれ球を押し込まれ、再度勝ち越し点を許してしまいます。しかしその後すぐに、素晴らしいパスワークからMF仲山獅恩選手がGKをかわして冷静に決め、再び同点に戻します。最後まで勝利を目指してインテンシティの高いプレーを続け、相手ゴールを脅かし続けましたが、ゴールポストに嫌われるなど1点が遠く、最終スコアは2-2で終了しました。
各選手が持ち味を発揮したゲームになった一方、試合への入りで集中しきれない部分や疲れが見え始めるとプレーや判断の質が下がるなどの課題も見られました。多くの選手が「所属チームでさらに成長し、また次の代表活動に呼ばれたい」と話したように、次の活動に向けた競争が始まっています。
監督・選手コメント
廣山望 監督
U-15日本代表年代として初めてとなるキャンプでした。オープニングのミーティングでは、先日行われたアジア最終予選でFIFAワールドカップ出場権を獲得した日本代表に触れて、重圧のかかる試合の中で活躍する選手たちを、未来の自分ごととして捉えること、そのために今の自分に何が必要かを知ってほしいと伝えました。「自分がどうなりたいかを知る」をテーマに、選手全員で共有して活動をスタートしました。
4日間のトレーニングを経て、最終日に行われた尚志高校との試合は、お互いにモチベーション高く勝利を目指す熱のある試合となりました。2-2のシーソーゲームとなったこの試合は、選手個人にもチームにとっても新たな課題と成果が見えた貴重な経験になりました。5日間の活動中には、スピードやジャンプ等のフィジカル測定や体幹トレーニング、山本昌邦団長や各スタッフから選手へのレクチャーも多くあり、ピッチ上のみならずピッチ外でも多くの学びのあるキャンプになったと思います。
多くの地域で新型コロナウイルスの感染拡大が収まりきらない状況下において、キャンプ地のJヴィレッジをはじめ、多くの関係者のご理解とご協力のもと、今回のキャンプを開催できたことに心から感謝しています。また、選手を派遣して下さった保護者の皆様、所属チーム、学校の先生方、トレーニングマッチに快く応じていただいた尚志高校の選手、関係者の皆様、本当にありがとうございました。U-15年代のリーグ戦も本格的に始まるなかで、選手それぞれが成果と課題を持ち帰り、大きく成長した姿で次回キャンプに集まれることを楽しみにしています。
MF 野村勇仁 選手(名古屋グランパスU-15)
今回のキャンプはチーム立ち上げ1回目ということで、日本代表のエンブレムを背負うにあたっての責任や代表選手としての自覚を持つことの大切さを強く感じました。ピッチ外で強く心に残ったことは山本昌邦団長の話で、代表選手としての自覚だけでなく、「本当に歴史を変えようとしているか?変えようとする意識がなければこの場所にいる必要はない」と強く問いかけられたことでした。このお話をいただいたときに、本気で日本サッカーの歴史を変えようとする意識がないことに気づかされ意識のない自分を情けなく感じました。チームに帰ってからいつもの日常に戻ったとしても1分1秒でも多くサッカーのことを考えて自分が成長する環境、心を創っていきたいと思います。また、吉田麻也選手は15歳で英語の勉強、中田英寿さんは15歳でイタリア語を勉強していたと聞いて、上のステージを見据えている人は他の人の考え、常識の1つ2つ上にいるのだと感じ、焦りというものも覚えました。
練習試合は、日本代表である以上勝たなくてはいけないですし、試合内容としても点を獲られては追いつきの展開で常に主導権を握りながら試合を進めることができなかったので個人的にはとても悔しい試合でした。しかし、今回チームのテーマとしてあげられていた「守備の時の強度」、「前線での駆け引きで背後を取る」ところは5日間キャンプをして来たなかで一番良かったと思いますし、成長したと感じています。
今回のキャンプで刺激を受けたことを1週間2週間で忘れてしまう選手と1ヶ月、2ヶ月、それ以上続けられる選手とで差が生まれてくると思います。一日でも長く今回感じたことを継続し、ひたむきに取り組んだ選手が上のステージに登りつめていけると思うのでそういった選手になるために自チームに帰ってからも謙虚に頑張ります。日本サッカー協会の目標である「2030年までにW杯ベスト4」、そのピッチに立ち、歴史を変える一員でいられるように、常識(日常)を変えていきたいと思います。
MF 古賀竣 選手(レノファ山口FC U-15)
僕はこの期間中で自分の気持ちと意識が大きく変わりました。私生活ではまずは食事面です。僕たちはまだまだBMIが足りなくてプロでやっていくのになかなか通用しない体でした。たくさん食事を取り、期間中に1キロくらい増えました。これを継続して行うことが大切だと思いました。サッカーの部分ではオンザピッチもオブザピッチも当事者意識がみんな低いという課題が出ました。そこの部分を次ある日本代表候補トレーニングキャンプで意識し、日の丸をつけているということを自覚して行動しないといけないと思いました。今回のトレーニングキャンプで大きく変わった自分の気持ちと意識を継続して、大きく成長してまたこの場に戻ってこられるように頑張りたいです。