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【東京オリンピックに向けて】中山雄太選手インタビュー

2019年10月28日

【東京オリンピックに向けて】中山雄太選手インタビュー

開幕まで一年を切った東京オリンピック2020。U-22日本代表のいまをお届けします。
第1回はキャプテンの中山雄太です。

――今年1月に柏レイソルからオランダのPECズウォレに移籍して10か月が経ちました。昨季は途中加入だったこともあり、なかなか出場機会を得られませんでしたが、貴重な時間を過ごせたそうですね。

中山 あれだけ試合に出られないのは、日本で味わったことがなかったので、どうすれば試合に出られるか、どうしたら監督に起用してもらえるか、を常に考えながら生活していました。いろいろと考えることで自分を見つめ直すいい機会になりましたし、言葉やコミュニケーションの重要性についても、改めて実感しましたね。

――やはり言葉の問題が大きかったんですね。

中山 日本にいるときから英語を勉強していたんですけど、オランダに行って感じたのは、英語に触れる回数が圧倒的に少なかったな、っていうこと。実際、(ヤープ・スタム)監督と英語で会話していても、自分の言いたいことを100%伝えられたかというと、そうじゃなかったし、監督からも「プレーできるのは分かっている。だから、もっと周りとコミュニケーションを取ってほしい」と言われ続けていて。「ボランチはたくさん(コミュニケーションを)取れないといけないポジションだぞ」とも。

――言葉の部分さえクリアできれば、起用すると。

中山 ただ、僕自身は「言葉のせいにしたくない」とも思っていました。もちろん、コミュニケーションのところにフォーカスを当ててやっていましたけど、本当に力のある選手なら、言葉が多少通じなくても起用されると思うんです。だから、言葉も大事だけど、もっともっとプレーで示さないといけない、とも考えていました。そこが至らなかったというか、もっともっとやらなければいけなかった、と思っています。

――プレーと言葉の両方を磨いた成果なのか、最終的にラスト2試合ではスタメンの座を掴み取ることができましたね。自身の成長を感じられたのでは?

中山 成長は感じられましたけど、最後の2試合に関しては、掴み取ったというより、チャンスがめぐってきた、という感覚でしたね。怪我人が続出していたので。ただ、「このチャンスを生かすぞ」ということはすごく考えていました。次のシーズンのことを考えると、2試合に出るのと、出ないのとでは大きく違う。だから、自分が成長してチャンスを掴み取ったわけではないですけど、ポジティブな印象は残せたんじゃないかな、って思います。

――実際、今年8月に開幕した新シーズンでは、開幕から2試合連続して先発出場を果たしました。監督からはどんな面が評価されたと感じました?

中山 新しい監督になったばかりなので、そこまで具体的な話を聞いたわけではないですけど、開幕戦に関しては左サイドバックの選手が出場停止だったので、そのポジションで出場したんです。それに関しては、複数のポジションをこなせることがアドバンテージになったと思いますし、コパ・アメリカに参加したから、合流がちょっと遅れたんですよ。でも、自分の力をしっかり発揮できたから、アピールに繋がったのかな、って思います。

――開幕戦は左サイドバックで、2節はボランチとして出場しましたが、その後、負傷してしまいました。最高のスタートを切っただけに、不運でしたね。

中山 ケガをしたのは確かですけど、復帰した今、ポジションを取り戻せていないのも事実ですから。それに、起きてしまったことは、仕方がないと思っていて。プレーできないのは残念ですけど、逆に言えば、プレーできないからこそ、やれることもたくさんある。だから、僕はケガに対して、すごくポジティブというか。チャンスだと思っているので、次に繋がるように今をしっかり過ごさないといけないと思っています。

――かつて中山選手は「自分は中盤の選手」「ボランチにはこだわりがある」と話していましたが、今季の開幕戦もユーティリティプレーヤーだからこそチャンスを掴めた。欧州2シーズン目を迎え、ボランチへのこだわりに変化は生まれていますか?

中山 いや、そこは変わってないですね。もちろん、監督から言われたポジションで全力を尽くすというのが前提ですけど、僕自身は今もボランチが適正だと思っていて、ボランチでのプレーを自分の核として持っていたい。「ボランチだけ」と言ってしまうと、自分の可能性をシャットアウトしてしまうので、そうは言わないですけど、自分の中のプライドというか、やっぱり、ボランチで勝負したい。

――ボランチにこだわる理由は、なんでしょう?

中山 客観的に、自分の能力と照らし合わせて、特長を出しやすいというか。昔からずっとナンバー10、トップ下で攻撃を組み立てて来て、レイソルに入ってからセンターバックをやるようになった。そのおかげで守備力を身につけることができたんですけど、長年センターバックをやっている人の守備と、僕のように中盤をやってきた人の守備って、やっぱり違うんですよ。その点、ボランチなら、トップ下で磨いた攻撃と、センターバックで身につけた守備の両方を生かせるので、自分の特長が発揮しやすいと思っています。

――中山選手は東京オリンピック世代ですが、オランダには今、この世代の選手が多いですよね。中山選手と同時期に板倉滉選手がFCフローニンゲンに移籍し、この夏には中村敬斗選手がFCトゥウェンテに、菅原由勢選手がAZアルクマールに加入した。以前からいるPSVアイントホーフェンの堂安律選手も含め、彼らの存在を意識したり、刺激になったりしますか?

中山 刺激にはなっていますけど、意識しているかと言うと、今は、してないですね。

――「今は」というと、以前は意識していた?

中山 そうですね。やっぱり、同世代には負けたくない、という気持ちがあるので。ただ、僕の性格上、意識するとあまり良くない(笑)。ニュースはチェックするし、試合も観るので刺激にはなりますけど、意識しないようにしています。目標はその選手に勝つことではないので。自分にフォーカスしながら日々努力して、結果として、そういう選手たちを超えていけたらいいな、という感覚ですね。

――今回のU-22日本代表のブラジル遠征は、中山選手にとって6月のコパ・アメリカ以来の代表での活動となります。どういう心境で臨んでいますか?

中山 自チームで結果を出して(代表に)呼ばれるというのが大前提の中で、出られていないのに呼んでもらって、すごく光栄というか。逆に言えば、自分はやれるということをしっかりプレーで証明して、チームに貢献しないといけないと思っています。

――コパ・アメリカで先発したチリ戦では思うようなプレーができず、試合後に「評価する材料もない」と語り、ショックを受けていたように感じました。だからこそ、期する想いもあるのでは?

中山 コパでの経験は、あのあと、自分の中ですごくモチベーションになったんです。苦しいとき、キツいとき、なぜか、コパの映像が蘇ってきて。何クソ精神ではないですけど、パワーに変えられたのかなって。パフォーマンスが良くなかったのは分かっているし、それは自分でも受け止めていた。でも、それで終わりじゃないというのも確かなことで、あの経験を生かそう、生かそう、と思ってやってきた。あの経験を今でも忘れていない。それは自分にとって大きなこと。今後しっかりとしたプレーを見せて、「あの経験があったから」と言えるようにしたいと思います。

――では、最後に。中山選手にとって東京オリンピックは、自身のキャリアにおいてどんな位置付けなのでしょうか?

中山 目標と言えば目標ですけど、それがすべてじゃないという想いもあります。目指すものはもっと高いところにあるし、もし、出られなかったとしても、自分の性格上、その悔しさを次に繋げようと思うので。だから、難しいですね。

――では、その目指すべきものとは?

中山 それを言葉にするのは、控えさせてください。まだまだやるべきことがたくさんあるし、そのスタートラインにも立っていないような気がするので。今後、しっかり言えるように、頑張りたいと思います。

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)

サッカー競技日程:2020/7/22(水)~2020/8/8(土)

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