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男子はブラジルが連覇達成。ベストメンバーを揃えたチームが上位に 第32回オリンピック競技大会(2020/東京)
2021年08月11日
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)の男子サッカー競技は8月7日(土)に決勝戦が行われ、全日程を終了した。
最終結果
金メダル ブラジル
銀メダル スペイン
銅メダル メキシコ
男子サッカー競技は、ブラジルが金メダルに輝いた。横浜国際総合競技場で行われた決勝の相手は、準決勝でU-24日本代表を破ったスペイン。共に優勝候補と評されていた両チームによる一戦は、延長までもつれ込む激闘となった。先手を取ったのはブラジルだ。38分にリシャルリソン選手がPKを失敗したものの、前半終了間際にFWマテウス・クーニャ選手が決めて先制する。追う展開となったスペインは61分、右からのクロスボールをFWミケル・オヤルサバル選手が左足のボレーで合わせて同点に追いついた。
ゲームはここから一層熱を帯び、90分間では決着がつかずに延長戦へとなだれ込む。スコアが動くのは108分だった。押し気味に進めていたブラジルがカウンターを繰り出すと、FWマルコン選手がドリブルでゴール前まで持ち込み、決勝ゴールをたたき込んだ。
FIFAワールドカップでは5度の優勝を誇るブラジルだが、オリンピックでは金メダルに手が届かず、長らく「悲願」と言われてきた。しかし、地元開催だった前回のリオデジャネイロ大会でオーバーエイジとしてフル代表のエースであるネイマール選手を招集し、ついに金メダルを獲得する。これでプレッシャーから解放されたのか、東京大会ではドイツ、コートジボワール、サウジアラビアと同居した激戦区のグループDを2勝1分けで突破。エジプトとの準々決勝は1-0、メキシコとの準決勝は0-0からPK戦の末に勝利するなど苦戦しながらも、地力の差を見せつけた格好だ。
決勝を戦ったブラジルとスペイン、3位決定戦を争ったメキシコと日本の4チームに共通するのは、主力選手をしっかり起用したという点だ。
ブラジルはフル代表の主力であるリシャルリソン選手とオーバーエイジのDFダニエウ・アウベス選手、このあとに控えるFIFAワールドカップカタール大会の南米予選でプレーする可能性の高いドウグラス・ルイス選手やアントニー選手らを招集した。
スペインも6月~7月に開催されたEURO2020に出場したFWダニ・オルモ選手、GKウナイ・シモン選手ら6人を含むベストメンバーに近い陣容で参戦。メキシコもオーバーエイジのGKギジェルモ・オチョア選手やMFルイス・ロモ選手、フル代表の主力でもあるMFカルロス・ロドリゲス選手など、ベストメンバーを揃えて来日した。
もちろん、地元開催だった日本も17年12月にチームを立ち上げて準備を重ね、久保建英選手、冨安健洋選手、堂安律選手、さらにはオーバーエイジの吉田麻也選手、酒井宏樹選手、遠藤航選手など、森保一監督の望む選手たちを招集した。
一方、選手の所属クラブの招集拒否に苦しんだのが、ドイツ、フランス、アルゼンチンといったFIFAワールドカップの上位常連国だ。オリンピックが開催された7月~8月は、ヨーロッパの各国リーグにとってプレシーズンやシーズン開幕の時期。オリンピックは年齢制限があるため、クラブには選手を派遣する義務がなく、特に強豪クラブの派遣拒否が目についた。中でも日本代表と同組だったフランスは一度発表したメンバーがさらに入れ替わるなど、最後まで二転三転してチーム編成に苦しんだ。
一方、サッカーのトレンドに関しては、目新しいものがあったわけではない。ハードワークをするのは当たり前、ボールを失ったらすぐに奪い返しにいくのも当たり前だった。重要なのはそれをいかに効率良く、効果的にチームとして行うか。特に猛暑の中、中2日の試合間隔で進む過密日程だったからこそ、チーム戦術、グループ戦術、個人戦術の有無によって、体力の消耗に大きな差が生じたのではないだろうか。
また、改めて感じられたのは、スタンドを埋めるファン・サポーターのありがたみだ。声援や拍手が苦しい時間帯で自分たちをどれだけ奮い立たせてくれるか、攻め込んでいる時間帯で相手をどれだけ浮き足立たせられるか。地元開催だった日本にとって、ファン・サポーターの後押しが受けられなかったのは、残念だった。
おそらく今後も各国が年齢制限のあるオリンピックのサッカー競技にどれだけ力を入れるかは、差が大きく分かれるところだろう。逆に言えば、日本代表にとってオリンピックのメダル獲得は、地元開催だった今大会のように恵まれた環境で戦うことは難しいものの、実現可能な目標だ。3年後のパリオリンピックこそ、メダル獲得を実現してもらいたい。
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)
サッカー競技日程:2021年7月21日(水)~2021年8月7日(土)