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【最後の青春ドラマ】仲間と走り抜けた“最初で最後の選手権”~第98回全国高校サッカー選手権大会・大島僚太(川崎フロンターレ)後編

2019年12月20日

【最後の青春ドラマ】仲間と走り抜けた“最初で最後の選手権”~第98回全国高校サッカー選手権大会・大島僚太(川崎フロンターレ)後編

第98回全国高校サッカー選手権大会が12月30日(月)に開幕します。高校年代の大舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。ここではSAMURAI BLUE(日本代表)として活躍する大島僚太選手の高校時代のストーリーをお届けします。

インタビュー前編 ~自分のぶれない軸を見出した高校時代~ 大島僚太選手(川崎フロンターレ)
インタビュー中編 ~高校3年時の“運命の出会い”がプロへの道を切り拓く~ 大島僚太選手(川崎フロンターレ)

信頼する仲間たちと挑んだ大舞台

全国屈指の強豪校として知られる静岡学園高校で3年時にレギュラーポジションをつかんだ大島僚太は、高校生活最後の大舞台となる全国高校サッカー選手権大会への切符を手にした。

川崎フロンターレ入りが内定していた大島には、もちろんスポットライトが当てられる。テレビ局には第89回大会の注目選手として取り上げられ、「静岡学園と言えば大島」という形で報道された。ただ、その状況は彼自身が望んでいるものではなかった。

「このチームにはこれだけ個性が強い選手たちがいて、すごい選手がいっぱいいるんだぞ、という思いがあったので、自分だけが注目選手みたいに報じられるのは嫌でした」

当時、2年生ながらメンバー入りしていた長谷川竜也も「いろいろな感性を持つ選手が多かった」と認めるように、選手権に挑んだチームは個性にあふれた攻撃的な集団だった。その中で、長谷川は大島について「僚太くんはそういう選手たちを後方から支える感じでした」と振り返るが、本人の考えは少し違っていた。

「あまり感情は出さないタイプですけど、『この中で1番になってやる』という思いしかなかった。正直、あまりサッカーをチームスポーツだと思っていなかったんですよ。結局、プレー中にボールを扱うのは1人だけじゃないですか。それならば、自分自身が誰よりもうまく扱いたい。そういう気持ちでした。静学に入ってからも自分の感情だけでプレーしていたと思います」

静岡県大会の決勝で退場処分を受けたため、昌子源(現トゥールーズ)らを擁する米子北高校と対戦した1回戦は出場がかなわなかった。試合は2-0で快勝。「外から見ていて、昌子のパワフルなプレーは並外れていました」と解説する一方、「正直、あの初戦が一番すごかった。自分が次の試合で出ることになったら逆に不安になるな、と思うぐらい」と笑うほど、チームの強さは際立っていた。

キャプテンの涙で受け入れた敗戦

2回戦の宇和島東高校戦でついに選手権のピッチに立つと、直接FKで長谷川のゴールでアシストした。チームも2-0で勝利し、日章学園高校との3回戦に進む。だが、「11人同士で戦った相手の中では、この時の日章が一番強かった印象があります」と振り返る試合は、相手の守備を崩すことができないままスコアレスでPK戦へ。最後はキャプテンの金大貴がキックを外し、静岡学園の戦いは静かに幕を下ろした。

負けた悔しさはあったが、「物事を客観的に見られるし、1人だけ空気が違う人間だった」と評するキャプテンの涙を見て、大島はすんなりと気持ちの整理をつけることができたという。

「大貴はめちゃめちゃ男気があって、人間性も素晴らしくて、まさにキャプテンという感じでした。そんな彼に僕たちはかなり大きなものを背負わせていたと思いますし、それを受け止めてくれるぐらいすごいキャプテンでした。その大貴がPKを外して泣いているのを見て、『ああ、このキャプテンに支えられてきたんだな……』と思い、そこで敗戦を受け入れることができました」

当時のチームメートのことを語る際、大島は高校時代に戻ったかのように嬉々とした表情でさまざまなエピソードを語る。それほど仲間たちとともに戦った学生生活が色濃く、思い出にも残る時間だったのだろう。今でも当時の同級生とはつながりを持ち、「もう1回、同じメンバーでサッカーをしたい」という思いがあるという。

喜怒哀楽に満ちた3年間を振り返り、大島は顔を上げてはっきりとした口調で言葉を連ねた。

「『やり切った』と思えるぐらいやれたと思います。その後の人生に生かされているかどうかなんて、実際にもっと大人になってみないと感じることはできないですよね。でも、なりふり構わずサッカーをしてきてよかったな、と思っています。中途半端に3年間を過ごさなくてよかったというのは強く思っています」

「この中で誰よりも上手くなりたい」。その思いを持って励んだ学生生活があったからこそ、今の自分がある。全てを懸けた3年間。あの日々を忘れない限り、これからも日本を代表して戦う大島の姿が見られるはずだ。

インタビュー前編 ~自分のぶれない軸を見出した高校時代~ 大島僚太選手(川崎フロンターレ)
インタビュー中編 ~高校3年時の“運命の出会い”がプロへの道を切り拓く~ 大島僚太選手(川崎フロンターレ)

第98回全国高校サッカー選手権大会

大会期間:2019/12/30(月)~2020/1/13(月・祝)

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