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[特集]部活動の実情とこれから 事例紹介~部活動の形とは~vol.03 「選抜」を女子全員の受け皿に 神奈川県中学校体育連盟サッカー専門部・横須賀ブロック 前編
2020年09月09日
部活動の形は一つではない。地域や環境によってさまざまな課題があり、それぞれに合った取り組みがある。
今回は、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に沿った形で活動しながら全国大会に出場した品川区立荏原第一中学校、JFAが作成した「中学校部活動サッカー指導の手引き」を活用している近江八幡市立八幡西中学校、合同部活動として地域の生徒を迎え入れている横須賀ブロック、学校と地域クラブの連動を実現している幕総クラブの事例を紹介する。
※取材は2m以上の距離を確保し、インタビュアーはマスクを着用して実施
※本記事はJFAnews2020年4月に掲載されたものです
選抜強化講習会が現状共有の場所
幼い頃からサッカーをしてきた少女たちにとって、中学校進学はサッカーを続けるかやめるかの判断を迫られる一つの転機となる。フィジカル面で明確な男女差が出てくるこの時期、女子だけでプレーできる環境は限られている。そのため、ボールを蹴り続けることを決断した女子選手の多くは、男子と同じチームで活動を続ける。しかし、男女間で身体能力の差が表れる中学2年生、3年生になったとき、彼女たちがレギュラーとしてピッチに立つのは、容易なことではない。
神奈川県中学校体育連盟サッカー専門部・横須賀ブロック(以下、横須賀ブロック)では、この状況に一石を投じる活動を行っている。各校から女子選手を集めて選抜強化講習会を開き、女子だけで活動できる場をつくったのだ。
活動の中心となっているのが、同県の横須賀市立神明中学校サッカー部の顧問を務める熊谷健太郎氏である。熊谷氏は宮城県南三陸町の出身・気仙沼高卒で、24歳で教員になると同時にサッカー指導者のキャリアをスタートさせた。2018年にJFA公認A級U-15コーチライセンスを取得し、7年前から横須賀ブロックのブロック長や神奈川県のトレセンコーチも務めている。
熊谷氏はブロック長に就任する際、前任者から「横須賀ブロックの各学校のサッカー部に、女子が2、3人いる。選抜の活動を展開してみたらどうか」と助言を受けたという。
「横須賀ブロックでは、中学サッカーの現状に危機感と夢を持った先生方が20年以上も前から選抜強化講習会を行ってきました。1年生から3年生まで学年ごとに年度始めに選考会を行い、25~60人の選手を選出します。年に20回程度、休日に活動を行ってきたのですが、そこに『女子』のカテゴリーを新たに加えることにしました」(熊谷氏)
2013年には、浦賀中学校サッカー部が横須賀ブロックから初めて神奈川県代表として全国大会に出場した。また、2020年には、選抜強化講習会に参加していた葉山中学校出身の鈴木唯人選手が市立船橋高校を経て清水エスパルス入りを果たしている。チームでも個人でも目に見える成果が出ている。13年当時、熊谷氏は浦賀中サッカー部の顧問兼監督を務めていただけに、部活動や選抜強化講習会の意義を強く感じている一人でもあるだろう。
「横須賀ブロックでは、学校のサッカー部の先生たちが全員、いずれかの選抜チームの指導に携わっています。選抜活動の際には選手たちを指導するだけではなく、指導者同士でも、指導方法や選手個々の状況、横須賀ブロックの育成コンセプトを共有し、知見を深め合ってきました」と、指導者のボトムアップにもつながっていることを強調する。
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